多趣味で生きる者の雑記帳

現在は主にごちうさに対する想いについて書いています。

きらま2023年9月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察

 こんにちは。先月に引き続いて、ジョジョの奇妙な冒険Part8(第8部)ジョジョリオン」(JoJolion)15巻から27巻(8部最終巻)まで読み進め、これで遂にジョジョの奇妙な冒険Part1「ファントムブラッド」(Phantom Blood)から、Part8「ジョジョリオン」まで全て読んだ事になりました。現時点でも単行本にして累計130巻以上にもなるジョジョシリーズですが、改めて振り返ってみると、それぞれの部において異なる面白みと凄味があり、それを探求していく事が何よりの面白みだったのはないかと思っています。尚、ジョジョリオン15巻~27巻に関しましては、相変わらずの緊張感溢れる展開に加え、先の読めない展開にドキドキさせられる場面が多く、更に23巻以降の展開に至っては「これどうなってしまうんだぁー!」となり、最後にしても「これは結構しんどいよ......。」となっていました。それ故、シリーズの中でも随一の、何とも言えない後味の悪い感触を抱く結果となりましたが、ジョジョシリーズが持つテーマ性を踏まえれば、この様な結末も受け容れるべきであろうと思っています。

 私がここまでジョジョシリーズに魅せられたのは、ひとえに「この作品が描く『人間の素晴らしさ、美しさ』と言うものに大きく感銘を受けたから」だと思っており、無論、Part3「スターダストクルセイダース」(Stardust Crusaders)から登場するスタンド(幽波紋)能力*1や、シリーズを通してバトル要素が含まれている事、あらゆる手段によって行われる頭脳戦も、この作品に惹かれた理由ではありますが、やはり「人間の素晴らしさ、美しさ」が一番の理由でした。そんな事もあって、今となってはきららマンガの「星屑テレパス」がその代表に挙げられるのですが、他のマンガ作品の感想を書く際も、ジョジョシリーズの影響をもろに受けた感想を書く事もしばしばですし、百合マンガが好きになった理由も「人を好きになる事、人と人の繋がりを丁寧に描いてくれる所」と言う位で、あらゆる所でジョジョシリーズの影響を受けるに至っています。

 また、百合マンガ好きとしての活動も精力的に行っており、その主たる例としてコミック百合姫にて連載されている「私の百合はお仕事です!」(既刊12巻+公式アンソロジー1巻)を、今年4月から6月にて放送・配信されていたテレビアニメ版から視聴し、そこから原作1巻から12巻、それに公式アンソロジー1巻全てを購入した事です。このわたゆりに関しましては、言ってしまうと作風はかなり重め*2であり、苦手な人は注意しなければなりませんが、百合マンガらしく女の子同士でのスキンシップや、お互いを想い合う熱烈な気持ちの描写も多く、シリアス展開を乗り越えた後の楽しい展開にて感じられるカタルシスはひとしおなので、深淵たる心情描写を好む人にはうってつけのマンガだと思っています。なのでジョジョ好きな私が、わたゆりにもハマるのはある意味運命だったと言えるかも。尤も、わたゆりが正直決して明るい展開ばかりとは言えない作風である事を鑑みると、この運命に対してなんて思えば良いのか......、と思う所ではありますけど......。

 さて、ここからはまんがタイムきららMAX2023年9月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察を書き出したいと思います。今回からはいよいよ文化祭本番となり、心愛ちゃんのクラス、千夜ちゃんのクラス、そしてチノフユ2人のクラスと言う、正に三者三様の様相を呈していくのは想像に難くない訳ですが、今回はその中でも千夜ちゃんのクラスに焦点が当てられており、その中で描かれる描写が中々にインパクトがあるものだったので、結構衝撃を受けたものです。

 

※注意※

最新話及び原作単行本11巻以降のネタバレを含むものなので、その辺りをご了解お願い致します。また、ここで書き出した推察や考察は個人的な見解です。

1.はじめに

 今回のお話はいよいよ文化祭本番となっており、構成としても今まで続いていた文化祭準備編の答え合わせをも成す重要な局面と言える。また、雰囲気も不思議の国のアリスに代表される様なメルヘンチックなものと、そのアリスの世界観を下地に、ホラー及び悪戯好きな千夜ちゃんによってホラー色全開なものに仕立て上げられたものと、中々に両極端なものになっており、後者に至ってはホラーと言うより最早サイコスリラー若しくはサスペンスホラーじみた雰囲気さえ醸し出していると思う場面もある程。ごちうさにしてはかなり刺激の強い雰囲気ではあるが、本当にえげつなくどうしようもない展開になる訳では無いので、そこは凄く安心できる所である。

 今回の扉絵は、おとぎ話を思わせる雰囲気を帯びた理世ちゃんと千夜ちゃん、それに紗路ちゃんの3人がいると言うもので、理世ちゃんは仰向けに寝そべり、千夜ちゃんは片膝を立てた座り方をし、紗路ちゃんは横向きに寝そべっている。また、今回は色合いがやや特殊な印象を受けており、それをして個人的には、色合いが場面や時期によってしばし変化する事をしてジョジョみたいな感じだなぁ。」と思った。因みにそれは良い意味で位置付けており、決して今回の色合いが肌感に合わないとかそう言う訳では無いのであしからず。

 今月号からは文化祭本番に突入した為、今までの文化祭準備期間の答え合わせとも言えるフェーズに突入したとも言えるし、故にこれまでのごちうさでは見なかった新たなる一面を目撃する事になる可能性もある。現に今月号においても千夜ちゃんが、文化祭の出し物の一貫としてであり、それ即ち演技項目として行った事ではあるとは言え、今までにない程の恐ろしい雰囲気を纏った様相を見せており、それが何故なのかは断定できないが、確実に言える事は、今月号を含めて、この文化祭は色んな意味でちゃんと心して読み進めないといけないと言う事だけだろう。

2.購読した感想・考察

 

今月の内容に対する感想・考察

 まずは「今月号の中でも特に深掘りしたいと思った内容」から書き出していきたい。今回は千夜ちゃんが見せた衝撃的な姿に突き動かされている節があり、サイコスリラーともサスペンスホラーとも受け取れる、演技とは雖も(いえども)その緊迫感溢れる姿と、常軌を逸した言動が、私に緊迫とある種の原動力を与えたのである。

新境地の文化祭

 最初は純粋にいよいよ始まった「文化祭での軌跡」について書き出したい。今回のお話では心愛ちゃんと千夜ちゃん、それにチノフユの4人は全員出し物の運営係に回っており、必然的に招待状を貰って来校したリゼシャロ、マヤメグ、それに神沙姉妹2人に焦点が当たっている。そして、初っ端から印象的なのは神沙姉妹2人であり、なんとこの2人、映月ちゃん提案の下、まんま不思議の国のアリスのアリスを彷彿とさせる格好で文化祭へと来たのである。これは映月ちゃんが「文化祭とはそういう格好をするもの」と認識していたからであるが、どちらかと言えばそれは仮装の代表例たる「ハロウィン」の方だと思われ、現にリゼシャロ、マヤメグは普通の私服で来ていたので、結果的にそういう格好をするのに乗り気ではなかった夏明ちゃんが危惧していた様に、初っ端からド派手に浮いてしまう事になったのである。ただ、浮いているとは言っても格好としては凄く様になっている上、後述する様な心愛ちゃん達の出し物との雰囲気のマッチングも(ある意味当たり前だが)抜群なので、そういう視点では凄くプラスに働いていると言えよう。

 神沙姉妹2人による一展開の後は、心愛ちゃん、千夜ちゃん、そして智乃ちゃんによる三つ巴対決が繰り広げられ、その目的は勿論「自分達のクラスの出し物に来てもらう為」だが、ここでは心愛ちゃんと智乃ちゃんがちょっとした諍いを繰り広げている間に、千夜ちゃんが頭脳プレーで制している*3。その為、今回のお話では千夜ちゃんのクラスの出し物から巡っており、以降これが終盤までの主軸となる。

 千夜ちゃんのクラスの出し物は、ホラー好き且つ悪戯好きな千夜ちゃんによってホラーテイストに仕上げられた不思議の国のアリスである。そして、それをマヤエル、メグナツメ、リゼシャロと言う3ペアでそれぞれ順番に体感していくと言うものだが、ここで興味深いのは「マヤナツメの2人より、メグエルの2人の方がホラー耐性がある事」であり、普段はどちらかと言えば前者2人の方が先導的で頼りになる印象なのだが、こういう場面になると後者2人の方が圧倒的な強さを見せていたので、なるほど興味深いと思った訳である。尚、リゼシャロの2人に関しては、2人共にしっかりしつつも実は怖がりな所がある事に加えて、紗路ちゃんが怖がりとは言っても理世ちゃんを相手にすると「先輩が居るから」と言う事で、恐怖さえも打ち克つ気力を発揮出来る面があるので、ある意味一番バランスが取れていると言える。

 そして、終盤では例のサイコスリラー若しくはサスペンスホラーじみた千夜ちゃんの迫真の演技が待ち構えており、初見でなくてもビビらされるほどのクオリティを誇っている。この様な事から、前述の様に今月号のごちうさ今までになく刺激的な展開となっており、怖いのが苦手な人にとっては戦々恐々とする構成となっているが、そこはごちうさなので、怖いままで終わらない様に絶妙に調整されており、その意味では優しい構成と言える。ビビらされる事に変わりは無いが。

迫真と戦慄の演技を纏いし少女

 次は今月号ひいてはごちうさ全体の中でもトップクラスの迫真と戦慄に満ちた演技を魅せていた千夜ちゃんについて書き出したい。抑々今回の千夜ちゃんは、自分達のクラスの出し物における登場人物の一人としての役回りがメインであり、その役回りとしてはアリスである。ただ、アリスとは言ってもメルヘンチックさ全開ではなく、再三記述した様に最早サイコスリラー若しくはサスペンスホラーの雰囲気を帯びたものであり、ホラー好きな千夜ちゃんがその様に解釈し、お化け屋敷としての演出の1つとして挿入したものなのだろうが、そのクオリティがあまりにも高過ぎるが故の恐ろしさを感じずにはいられなかった。正に「演技に存在するリアリティを見せ付けてきた」と言う訳なのだろうが、それにしても刺激が強過ぎるのも確かだろう。

 尚、この千夜ちゃん迫真と戦慄の演技が読者の前にハッキリと初披露されるのは、一番最後に千夜ちゃん達のクラスの出し物を体感する事になったリゼシャロのタイミングなのだが、そこで判明したのは「作中で描かれた千夜ちゃん迫真と戦慄の演技は、これまで千夜ちゃんが行ってきた演技の中でも特に気合が入っていた事」であり、これが意味するのは「千夜ちゃんとしても紗路ちゃん相手に何かただならぬ想いを持っている事」であるのに他ならない。幼なじみだから当然と言えばそうなのだが、千夜ちゃんは自分の本心を簡単には見せない人なので、余計印象的になるのだろう。

 千夜ちゃんが見せた演技の内容を端的に言うと「自分の世界から離れて欲しくない」と言う事であり、本編ではそれをサイコスリラー色若しくはサスペンスホラー色に仕立て上げ、半ばヤンデレじみた雰囲気で発露している為、捉え様によっては変な意味になってしまう可能性もあるが、心情としては「寂しい気持ちが溢れんばかりになっている」と言う事である。そして、その寂しい気持ちは恐らく紗路ちゃんに対して向けられていると思われ、紗路ちゃんが都会の国立大学に進学し、自分(千夜ちゃん)としてもその事に対して応援するとは決めていても、内なる気持ちとして寂しさがあるのは想像に難くないものであり、故にリゼシャロ2人に対しては、自分の内なる気持ちを大きく発露させた為に、他の人と比べて気合が入った演技になっていたと考えられよう。

 ただ、紗路ちゃんが都会の国立大学に行く事に千夜ちゃんが寂しさを覗かせているとは言っても、千夜ちゃんとしても紗路ちゃんが都会の国立大学に行く事に反対している訳では無いし、寧ろ前述の通り紗路ちゃんが決めた進路を応援する気概を見せている為、今回見せた演技は「それでどうにかして欲しい訳では無いが、自分の内なる気持ちは表したい」と言う千夜ちゃんの気持ちの表れだったのではないかと考えている。世の中どうにもならないと解っていても、自分の心情として「これだけは言いたい表したい」と思う事は、何かしらの形で存在しても何らおかしくないのが人間のサガと言うものであり、今回千夜ちゃんが見せた迫真の演技は、そんな人間味ある面に裏付けされたものだったと考えられるのかもしれない。真相は本人にしか分からんがな......。

 

今回の内容について思う事

 ここからは主観的な展望や想いを強めた内容を書き出していきたい。今回は前回と違って題材探しにはそこまで苦労していないが、別に苦労していないからと言って、何か良い事がある訳でも無い。ただ、苦労はしないで済んでいると言うだけの事であり、それ以下でもそれ以上でもない。

和気藹々、戦々恐々の文化祭幕開け篇

 まずは今月号の印象について書き出したい。今月号からは遂に文化祭本番となっており、1発目と言う事もあって展開としては和気藹々(あいあい)とした楽しげなものとなっている。また、一番最初に巡る事になった千夜ちゃん達のクラスの出し物にしても、お化け屋敷をコンセプトにしているもの故に多少なりとも不気味な雰囲気はあるものの、コミカルな描写が要所に挟まれる事もあってそこまで身構える必要性はない。だが、中盤に出てくる千夜ちゃんの迫真の演技だけは相当に戦々恐々するものがあり、ここだけを見るなら普通にサスペンスホラーやサイコスリラーにも匹敵する怖さと不穏さを兼ね備えている。しかしながら、終盤になると再び和む雰囲気が戻ってきており、最後の最後にも戦々恐々とする場面はあるが、総じて見ると「コミカル」と「ホラー」のバランスが上手く取られていると言える。それでも、怖いのが苦手な人は注意が必要だと思うが......。

 今回は千夜ちゃん達のクラスの出し物に焦点が当てられている為、心愛ちゃん達のクラス及びチノフユ達のクラスの出し物に関しては次回以降に持ち越しと言う形になっている。しかしながら、今回1クラスの出し物に丸々1羽を割いたと言う事実は、そのまま心愛ちゃん達のクラス及びチノフユ達のクラスの出し物においても、それぞれ1羽を割く可能性が浮上してきたと言う事でもあり、その意味では今後も楽しみがいがあると言う事でもある。尤も、実際にどの様な構成になるかは、その時まで分からないが。

 またしても今まで書き出していなかったが、今回のお話には、私の記憶が確かならば旅行編以来となる千夜ちゃんのお母さんが登場しており、ヤンデレじみた千夜ちゃんの浄化をする傍ら、クールでいて実は悪戯をかけられる事や、怖いものが苦手と言う茶目っ気ある様子を見せている。まぁ千夜ちゃんのお母さんは、以前にも昔から交流のある紗路ちゃんのお母さん*4に対して、ちょっとしたからかいをしてみせる一面を覗かせていたので、今思えば想定内と言った所だろうか。因みに千夜ちゃんのお母さんの「怖いものが苦手」「ビックリする仕掛けを施すと、結構いいリアクションを見せてくれる」と言う一面が、千夜ちゃんが悪戯好き兼怖いもの好きになったきっかけでもある事が判明している。その為、千夜ちゃんのお母さんからすれば色々と複雑かもしれないが、それをして千夜ちゃんを本気で咎めている様子も無いので、お母さんとしても最終的には「本人の好きな様にすれば良い」と思っているのかもしれない。

 また、今月号終盤ではあの千夜ちゃんの迫真と戦慄に満ちた演技は結良ちゃん考案のものである事も判明しており、決して千夜ちゃん一人で考えていた訳では無かった事も分かっている。とは言っても、結良ちゃんはあくまで「提案した」に過ぎず、実際にそれを文化祭に採用したのは千夜ちゃんの意思である事は言うまでもないだろう。因みに結良ちゃんに触発される形で披露する事になった、あの千夜ちゃんの迫真と戦慄に満ちた演技は、個人的には「演技でありながらそれとは思えない怖さがどこかにある」と言う意味で結良ちゃん以上に怖いとすら思う。底知れぬ何かを持つと言う意味では、結良ちゃんも千夜ちゃんも同じだと言うのに......。まぁ、それ以上に恐ろしい雰囲気や展開を持つマンガを知っている私からすれば、どうしようもなき大事に発展しないであろうと言う信頼が、ごちうさにはあるだけマシだと思ってしまうのもまた、揺るぎなき事実なのだが......。

奇抜なセンスに裏付けられた出し物

 次に今月号にてお披露目となった、千夜ちゃんの達のクラスの出し物である、不思議の国のアリスをモチーフにしたお化け屋敷に対して思った事を書き出していきたい。何故この様なテーマで書き出そうかと思ったかと言えば、シンプルにこれ以外に良いテーマが何も思い付かなかったからと言う、身も蓋も無いもの。たとえ感想であっても文を書く以上、決して楽ではないのである。

 肝心の本題だが、千夜ちゃん達のクラスが創り上げたのが、不思議の国のアリスをモチーフとしたお化け屋敷と知った時、私としては「このセンスには敵わないなぁ。やっぱり千夜ちゃんは凄いなぁ。」と純粋に思った。確かに不思議の国のアリスと言えば、私の感覚としては多少なりとも不安を覚える要素も無くは無かったり、幼い頃に読んだらちょっと怖いと思ったりする場面も存在するイメージがあるとは言え、それを大胆にもお化け屋敷として落とし込んだと言うのだから、これ感服ものである。少なくとも、私にはこんな発想絶対に思い付かなかっただろうし、思い付いたとしても実行にはとても移せない。だからこそ、千夜ちゃんが持つ奇抜なセンスと、その奇抜なセンスから放たれる世界観を一丸となって創り上げてみせたクラスメートの面々には、最早平伏する以外に無かった。そこに悔しいとか妬ましいとかそんな感情は無かった。見事なまでの圧倒的な解釈だと私は思う。

 また、出し物の中身としても、原作に登場する要素を自分たちなりに昇華した形にしていたり、自分達にまつわる要素を原作の世界観にバンバン入れていたりと、自分達のクラスとしての色を存分に発揮している形に仕上げられているのも良き所である。紗路ちゃんも言及している事だが、千夜ちゃん達にとっては今年が高校最後の文化祭になる訳であり、故に私としては、ならばその文化祭を後悔の無い様に、存分なまでにやりたい事をやりたい様にすれば良いと思っている。勿論、何事にも限度と言うのはあるが、それは余程常軌を逸した場合のみであり、それで言うと今回千夜ちゃん達のクラスがやっている事は、多少尖ったテーマ性とは言っても、出し物としては全然許容範囲だと認識している。何が言いたいかと言うと「千夜ちゃん達のクラスの出し物は素晴らしい」と言う事であり、高校最後の文化祭を最高の出し物で見せ付ける姿には、何か心響くものがあると言う事である。

 そして、今月号中盤にて千夜ちゃんが見せていた、あのヤンデレじみた雰囲気に関しては、初めて見た時は「ホラーを超えて最早サスペンスホラー若しくはサイコスリラーにも匹敵する怖さ。千夜ちゃん凄すぎるし、怖すぎるよ......。」と思った。元々ジョジョPart4「ダイヤモンドは砕けない」(Diamond is Unbreakable)の影響もあって、サスペンスホラー系統の作風は凄く好みとは言え、まさかごちうさでここまでの描写が待ち構えているとは思ってもみなかった。無論、以前にも結良ちゃんを筆頭にこの様な不穏な雰囲気も無くは無かったが、それを考慮して尚凌駕する程のパワーがある。でも、最終的には自身の母親によって無事に浄化されていたので、そこは安心できた所である。まぁ、だからと言ってそれで安心し切っていると、思わぬ所で痛い目に遭わされてしまうのだろうが......。

 

3.あとがき

 以上がきらま2023年9月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察である。今回からはいよいよ文化祭本番と言う事で、それぞれのクラスの出し物をめぐっていく傍ら、ここからは今までの文化祭準備で描かれていた事の花開きとでも言うべき構成になっていると考えている。また、今回は千夜ちゃん達のクラスの出し物を1羽分かけて丁寧に描いていた事から、今回の文化祭も非常に緻密な描写がなされると窺える点も見逃せないであろう。

 ならば書き出す内容にも苦労しないと考えるのは普通であり、実際に今回は感想・考察を書いていく上で強い原動力となったテーマも存在していた。しかし、蓋を開けてみると前回は勿論の事、前々回よりも書き出す内容に苦労する結果になってしまっている。何故なら、今回は原動力となった千夜ちゃんの迫真と戦慄に満ちた演技に対する衝撃があまりにも強過ぎたが故に、他の見識もろともそれに持っていかれてしまった上に、それに抗うだけの見識も見いだせなかったからであり、結果的に「強い原動力があるが故に視野狭窄を招いた」と言う事になってしまった。何ともほろ苦い事になった今月号の感想・考察だが、長きにわたって書き続けていると、この様な事も避けられないのであろう。

 今回は再三にわたる記述の通り「千夜ちゃんの迫真と戦慄に満ちた演技」があまりにも印象的であり、この場面だけを見るならサイコスリラー若しくはサスペンスホラーにも匹敵する怖さを持っていると思っている。そして、その様な心理的不安をそそる恐怖描写と、先の読めない緊張感の高い展開は、ごちうさとしてはあまり例を見ない異色な展開が故に、初めて見た時こそ驚いたが、個人的にはマンガの展開構成として、先の読めない緊張感の高い展開は凄く好みである為、終わってみれば割に受け容れられていた。もう完全にジョジョPart4「ダイヤモンドは砕けない」及びPart8「ジョジョリオン」の影響を受けた感性となっているのが目に見えて分かるが、これはもうどうしようもない。

 最近になって自分が手に取るマンガの読む傾向を考えてみた事があるのだが、どうも私は「人間の心の内なる部分が露呈する様な、読めば読む程『人間の持つ魅力』が読み解ける作品」が、手に取って一番心惹かれやすい事に気付いた。無論、これもジョジョシリーズの影響故なのだが、こればっかりはジョジョシリーズの影響があったからこそ、人間の心の内なる一面の凄みに深くまで気付ける様になったと言うか。もしジョジョシリーズに出逢って無ければ、多分今の私が持つマンガ好きの形は無かっただろうし、百合マンガに対しても、ここまで「人と人の繋がり」に対して心惹かれるものも覚えなかっただろう。やはり、繋がりと言うのは「運命」なのかも知れない......。なんか、個人的にはジョジョPart6「ストーンオーシャン」(StoneOcean)のラスボス「エンリコ・プッチ」を思わせる概念なのが(エンリコが独善的な奴である事もあって)若干複雑だが、こればっかりはエンリコの言い分も一理あると言わざるを得ない。エンリコの思想が「悪」としてはある意味好きだが、「真っ当な人間」としては絶対に好きにはなれない(なってはいけない)とは言ってもな......。

 また、上記の様な傾向の他にも「何かと過酷な展開若しくは描写を含んだ作品」にも度々巡り逢うケースも少なくなく、誇張抜きで今回の千夜ちゃんが見せた迫真と戦慄に満ちた演技でさえ「恐怖は恐怖だが、あれでもまだマシな方なんだよね......。」と思ってしまう程の、正しく地獄の様な展開にも巡り逢った事もある。その為、今回のごちうさに関しても、本音を言うと「更なる過酷な展開を知っているが故に、そう驚くに驚けない」と言うのが正直に抱いた気持ちである。ただ、これは単に「今回のごちうさ以上に恐ろしい展開もある」と言うだけの事で、思わず驚かされたのも事実である。

 最後の最後に難解な内容が中心となってしまったが、この様な状態でもごちうさの感想・考察を書く熱意は、嘗て程ではないにしても存在はしている。今回は特に内容を書き出すのに苦労したが、何時もこの様に苦労している訳では無い事をもって、この感想・考察記事の締めとしたい。

 

 

おまけ

今回の文量は400字詰め原稿用紙のべ26枚分である。今回は前回に比べると幾分少なめだが、本来はこれでもかなりの文量な訳であり、長きにわたって書き続けているが故の感覚の変化が表れている。とは言っても、今でも多くの文章を書くのは普通に大変なのだが。

*1:Part1「ファントムブラッド」及びPart2「戦闘潮流」(Battle Tendency)では「波紋」と呼ばれる特殊能力が骨子となっている。

*2:尚、ジョジョとは全く別ベクトルの重さです。

*3:所謂「漁夫の利」であり、映月ちゃんが正にそう指摘している。

*4:この親同士の交流関係が、そのまま千夜シャロの幼なじみと言う関係性に繋がっていると言える。