多趣味で生きる者の雑記帳

現在は主にごちうさに対する想いについて書いています。

きらま2024年6月号掲載のごちうさ感想・考察「奇妙なすれ違い、埋まらぬ溝」

 ここ1ヶ月あたりの目まぐるしい環境の変化にも何とか適応していき、最近では荒波の時期が何だったのかと思う程に安定した環境下で過ごせている私。だが、心には大きな変化が起こったのも事実であり、まずは「社会人としての価値観」や「大人としての価値観」に凄まじいまでの磨きがかかったのもそうだが、それ以上に自分が如何に「人見知りな人間」であるか、自分が如何に「熱情と冷淡の狭間に揺れ動いているか」等々、自分の内面性について改めて考えさせられる機会があった事によって、改めて自分の身の振る舞いについて考える事も多かった。

 だからと言う訳では無いが、マンガやアニメの感想を書く際も、以前に比べてより鋭い視点から切り込み、時には容赦のない見解さえ辞さない事が増えてきており、良くも悪くも「忌憚のない事を淡々と書き出す」と言うスタンスが目立ってきている。顕著な例はコミック百合姫掲載作品だが、最近ではそのコミック百合姫と一番発売日が近い「まんがタイムきららMAX」に対してもその傾向が目立つ様になってきており、ごちうさに対しても例外では無い。以前の私だったら、こんな事は恐らく出来なかっただろうが、今となっては躊躇いも殆どないままに出来てしまう。これを「成長」と呼ぶには些か無理があるだろうが、ある意味「一口に成長と言っても、それは善い傾向だけとは限らない」といういい例にはなるし、元々「成長」と言うものを「善い方向だけでなく、邪悪な方向性にも存在している」と考えていた私にとっては好都合でもある。

 更に言えば、こんな傾向が現れた事で、奇しくも今月のごちうさにおいては「そういうスタンスが妙に噛み合う」という奇妙極まりない事態にもなっており、何だか複雑な気分にさせられてもいる。とは言え、複雑な気分になると言っても、上記のスタンスを適応する事には何の複雑な気分も抱いていない。問題なのは「そういうスタンスを適応するに相応しいと判断するに至った事例」であり、絶妙に責任転嫁していると受け取られかねないが、その引き金にはあの「狩手結良」が関与していると言えば、少しは分かってもらえるだろうか。別に結良ちゃんが全ての元凶であり戦犯だとは断じて思っていないし、その気になればたとえ狩手結良が何かしてもしなくても、そんなのは一切関係なしにバッサリ斬る事だって可能なのだが、今回に限っては狩手結良が1つの要因にはなっているのは最早言い逃れ出来ない事実なので、ここではハッキリ書かせてもらう。

 こんな状態であっても、まんがタイムきららMAX2024年6月号掲載のごちうさ感想・考察は毎月の必須なので書かせてもらう。こんな状態とは言っても、昔からこういった「冷淡な態度による冷たい意見」は何かと持ちがちな人だったし、そういう自分さえも自ら冷たい視線を送る事もザラなので、正直違和感が何もない。唯一心残りがあるとすれば、ごちうさに限らず、温かみある展開も多いきらら系統作品に対して「こんな視点を適応しても良いものか」と言う「良心の呵責」がある事だが、感想は「個人の思い思いの感情を乗せて書くべきもの」と言う見解もあること、きらら系統作品とて温かみある展開が多いとは言っても、同時に「意外と冷酷非情な展開も実は結構多い」*1のを思えば、良くも悪くも躊躇いはない。

 また、そういう冷たい視点を持つからこそ尊敬できる概念と言うのもあり、最近では「心愛ちゃんが持つ矜持や考え方」が改めて凄いと思う事も多い。先月号でも今月号でもそうなのだが、心愛ちゃんは何があっても基本的に折れないし、何があろうと「少しでも良い方向性へとなる為に、前へと進もうとする思考」を持っているが、それはただ明るいだけでは絶対に持てない思考だし、物事に存在する闇や影について知った上で、それでも「前を向いて歩いていたい」という屈強な精神力が必要にもなるので、本当に「誰もが持てる思考なんかではない」し、勿論私もこんな考え方にはなれない。

 でも、なれないからこそ凄いと思う訳で、心愛ちゃんのそういう絶対的な強さは、他の誰にも負ける事も無ければ、他にとって喰われる事も無い、正に「唯一無二の心の強さ」なんだと思っている。どこか斜に構えている奴にとってはあまりにも眩し過ぎる程に。下手な光の強さでは絶対に表に出ない「闇」さえも露呈すると思う程に。

 

※注意※

最新話及び単行本12巻以降のネタバレを含むものなので、その辺りをご了解お願い致します。また、ここで書き出した推察や考察は個人的な見解です。

そして、今回は冷たい視点から淡々と書き出したり、忌憚のない意見を書き出したりする事さえ辞さないスタンスが強く表れているので、その意味でも注意して下さい。

1.はじめに

 今回はブログのタイトルにも「表題」なるものを付けてみた。今回付けた「奇妙なすれ違い、埋まらぬ溝」と言うのは、ブラバ組内とりわけ冬優ちゃん、神沙姉妹2人それぞれが持つ「結良ちゃんに対する想いの『ズレ』」及び、神沙姉妹2人が持つ結良ちゃんに対する届かぬ想いを象徴したものであり、良くも悪くも最近の私の「忌憚なき意見さえ辞さない」と言う傾向をそのまま象徴する様な表題でもある。そしてこれが、冷たい視点を持つ事になった元凶とも言える概念でもある。責任転嫁も良い所だが。

 今回の扉絵は、何やら妖しげな雰囲気を帯びた心愛ちゃんと冬優ちゃんが、2人して異国情緒溢れる格好をしてこちらを見つめていると言うもので、特段不思議に思う事は無い。ただ、この妖しい魅力と言うのが中々に曲者で、元々人間が持つ「底知れぬミステリアスな魅力」と言うか、人の心さえも掌握してしまえる程の妖しい魅力が好きな私にとっては、こういうのが良いと思ってしまう。

 今月号は全体的にコミカルな展開が多く、題材も多種多様な点が面白いが、その一方で背景事情に暗い影が強く差し込んできており、そう簡単に笑い飛ばせる程気楽なものなんかではない。特に結良ちゃん周りの背景は、捉え方に依る所もあるとは言っても普通に「複雑に入り組んだ感情」を体現するものであり、冷たい視点から忌憚なき意見を述べる事さえ辞さないと決意したのも、これがきっかけである。

2.購読した感想・考察

 

今月の内容に対する感想・考察

 まずは「今月号の中でも特に深掘りしたいと思った事」から書き出していきたい。今回も大きなテーマとしては1つ書くだけでも手一杯だし、これからも恐らくそういうスタンスで続けていくのが精一杯だと思うが、あくまで手を抜くつもりはない。

感情の交錯と埋まらぬズレ

 複数の物が織り交ざる事を「交錯」と言うなら、ズレと表現するのは些か表現が対立していると思われるかも知れない。だが、今月のごちうさ「感情が重なっている筈なのに、それが噛み合わない」のだ。なので、上記の表現は決しておかしいものでは無いと思うし、その「ズレ」こそ、今回のごちうさの捉え所を難しくしている最大の要因なのだ。

 事の発端は「ブラバ組」にある。ブラバ組は定義にもよるが、ブラバ組と呼ばれたきっかけが「冬優ちゃんと神沙姉妹2人の共同結託」である事を踏まえると、間違いなくこの3人は含められる。そして、それに付随する形でブラバでアルバイト経験がある「狩手結良」を含めた4人とする考え方もあり、今回は便宜上狩手結良ちゃんを含めた4人をブラバにおける一括りとする。

 このブラバ組だが、最近のごちうさにて神沙姉妹2人も念願のブラバのアルバイトの椅子を勝ち取る事ができ、これからは狩手結良ちゃんを含めた4人で勤務する事になると思われた。のだが、実際には神沙姉妹2人がブラバに加入するのと入れ替わる形で、結良ちゃんは既にブラバのアルバイトを辞めてしまっていた事が判明しており、結果的にブラバで勤務するのは「冬優ちゃんと神沙姉妹2人」と言う、同級生組にして同じ学校に通う仲間組3人となったのである。

 厄介なのが「結良ちゃんがブラバを辞めた理由を全くもってはぐらかしている事」で、おかげで神沙姉妹2人はおろか冬優ちゃんでさえも心情が大きくぐらつく結果となり、神沙姉妹2人に至っては「ブラバアルバイトの座を勝ち取った意義」さえ思案する事態にまで発展している。当然、結良ちゃんがこの様な事態になっている事は知る由もないのだが、これが「どうしようもない『ズレ』」を引き起こしているのは明白であり、悪意や敵意が一切ないのも相まって、状況としては中々に「誰も望まなかった最悪の状況」とも言うべき事になってしまっている。

 この状況を打開する為には、結良ちゃんがブラバのバイトを辞めた理由を簡潔でも良いから話す事なのだが、結良ちゃんの性格からして自ら積極的に話すとはとても思えず、恐らく今後も話す事は無いと思われる。ともすれば、ブラバ組である神沙姉妹2人や冬優ちゃん、結良ちゃんの幼なじみである理世ちゃん、結良ちゃんの弱みをある意味知っている心愛ちゃん辺りが、結良ちゃんを詰問して問い質せば良いのではないかとも思われるが、結良ちゃんは「自分が話したくないと思った事は意地でも話さない頑固な一面」があるので、結果は恐らく「はぐらかされて終わるだけ」だろうし、実際そういう一端も今月号にて既に見えている。

 こうして、結良ちゃんがブラバを唐突に辞めた事によって、既存のブラバ組3人には大きな動揺が走り、乗り越える為には多大なる努力が必要となってしまった......、と言う訳だが、一方でドライな考え方をするなら「辞めた事情を話さない以上、辞めてしまった人の事で周りも必要以上に気に病む必要性はない」と言う考え方もある。どんな事情があるにしても、結良ちゃんがブラバを辞めたのは他でもない「自分の意思」なのは恐らく間違いないし、それならば抑々が誰のせいでも無い。辞めた事情を話さないのも「何か言いたくない事情がある」と思えばある程度は溜飲(りゅういん)も下がるし、何より「聞かれて何も言わなかったのは他でもない結良ちゃん自身の行動であり態度」なので、いわば「これ以上は何を言っても無駄」とも言える。

 何も話さないなら話さないで「それが結良ちゃんの態度」な訳だし、結良ちゃんは以前から「肝心な事ははぐらかす」という行動をとり続けてきた人なので、そんな人に「ブラバを辞めた理由」を聞き出そうとするだけ無駄な思案だったと言うだけに過ぎない。人の心配をするのだって大事だし、人の思想を思案するのだって人間のサガではあるが、同時にそれらは当人から聞き出せない限り、どこまでいっても「憶測の域を出ない」上に、それでこちらの身が持たなくなったら本末転倒も良い所。故に、正直な所「結良ちゃんがそういう態度をとるんなら、こちらとしても『必要以上に何か思案する事』はないのではないか」と言うのもまた、一理あるんじゃあないかと思ってしまう。良い悪いは別として、ある程度は割り切るのも必要だし、どこまでいっても結局は「何も話さない奴が悪い」のだから。

アウトローな雰囲気と記憶の上書き

 物語の前半は錯綜する感情の中で織り成す思案劇みたいな所があったが、後半はうって変わってアウトローな雰囲気が目立つ様になっている。とは言え、本当に「やってはいけない事」に手を染めるのではなく、ファッションが攻撃的なものになると言う事であり、いわば「かわいい悪」と言った所。ごちうさにおいてはこれが丁度良いと言った所であり、ジョジョPart9の様なマジモンの「クライム(犯罪)サスペンス」なり、コミック百合姫のぜんこわの様な「破壊衝動と虚無的な感情が織り成す本物の『地獄』」なりが出てこられると、それはそれで困る。正直、本当に悪の道へと突き進んでいってしまうのも、それはそれで「そういう世界線も面白そう......」と言う悪魔の声が聞こえなくもないが、実際にそうなったらどうなるかなんて、火を見るよりも明らかなのは解っている。私とてそういう一線はちゃんと引いている。

 無駄話はこのくらいとして、この題目の焦点が当たっているのは心愛ちゃんと、結良ちゃんがブラバを辞めたショックで動揺しているのを見かねた心愛ちゃんが連れて来た冬優ちゃんの2人であり、神沙姉妹2人は「ブラバを一手に引き受ける」為に残っている。ただ、その際に結良ちゃんの謎深き行動に対して思い詰める様子も見受けられており、神沙姉妹2人とて冬優ちゃんと同等あるいはそれ以上のショックを受けているのが窺える。それでも冬優ちゃんの為に一肌脱いだのは、それだけあの2人が「お人好し」だからとも見てとれるが、その優しさが本物なのは間違いない。

 アウトローな雰囲気に身を包んだ心愛ちゃんと冬優ちゃんだが、この様な事した背景には、心愛ちゃんの「記憶の上書き」と言う名の「優しさ」が大きく起因している。心愛ちゃんは元々「超」が付くほどのポジティブ思考の持ち主であり、どんなトラブルや災難であっても「見方を変える事」で、悲観的にならない前向きな考え方にもっていく思考の天才であるが、今回は「記憶の上書き」と称して、嫌な事や不安に思う事を超える勢いの「思い切った事、楽しい事」をして、結果的に「良くない気持ちよりも良い気持ちを大きくさせよう」と言う思考を見せている。

 この様な考え方はメンタルヘルスの観点からも結構合理的であり、どんなに嫌な事、不安に思う事があったとしても、そこから不安に思う様な事を忘れる程の経験や思考を張り巡らせれば、案外気持ちの整理はつくものである。とは言っても、決して「嫌な記憶が消える」とかそういった事にはならないのだが、世の中「嫌な記憶であっても消せないのが常」である事を思えば、その嫌な記憶を上回る程の新しい記憶を作れば良いと言う発想は、凄く良い所を突いている。実際、アウトローな雰囲気に身を包んだ冬優ちゃんは、ブラバ勤務時に見せていた動揺は殆ど見せていなかったので、この施策は「大成功」と言える。

 ただ、このフェーズにおいても「奇妙なズレ」が多く、前半と違ってそのズレが悪い方向性へと進んでいない所が不幸中の幸いではあるが、前半の件を思えばそう易々と流せるとは言い難い。ズレにズレまくって、最終的には丸く収まると言うのはごちうさの常套句ではあるが、当たり前の話として「何時も丸く収まるとは限らない」訳だし、抑々そういう状況が半ば常態化している事自体、本来ならば「決して褒められた事案ではない」ので、そういう複雑な想いも昔ならば隠せたが、今となっては隠し切れない。

 

今回の内容について思う事 

 ここからは主観的な展望を強めた内容を書き出したい。今回は色んな意味で鋭い視点からの題目が多くなっているが、冷静になって考えてみれば、こういった事は以前からちょくちょくやってきた事だったし、今月になって特段変わった事を急にやり始めたと言う感じでは無かったのかもしれない。

底知れぬ奴の心情

 私は普段特定のキャラクターを指し示す時に「奴」と言うのは使わないのだが、今回は敢えて使わさせてもらう。その対象となるのは、ミステリアスな雰囲気を持ち、人を煙に巻く様な言動を取る狩手結良その人である。彼女はこれまでもその掴み所のない言動と行動原理で、人の間隙(かんげき)を縫っていく様な立ち振る舞いを見せてきたが、今回も「ブラバを唐突に辞める」と言う、これまた人の意表を突く様な行動を見せており、その予測不能な言動で人の心情を手玉に取る様は、結良個人を指し示す為の代名詞として「奴」が良く似合うと考えている。

 そんな狩手結良だが、彼女は自分の行動原理や心情をとにかくひた隠しにする傾向があり、自身が何故ブラバを辞めたかについても一切口を割っていない。これが起因となって、ブラバ組(特に神沙姉妹2人)は「何故結良ちゃんはブラバを辞めてしまったのか」と、途方もない勘繰りを入れる羽目になるのだが、結良ちゃん本人はそれを知る由は無く、歪な状態を引き起こしている。元々簡単に口を割る人では無いので、どんな勘繰りを入れようとしても所詮はいなされるのがオチだったろうが、今回ばかりはそう易々と引き下がる事もできないだろう。

 結良ちゃんは客観的に見て、以前の様に「人を煙にまけば、もうその人は追ってこない」と言う様なミステリアスな人なんかではない。1人の人間や先輩として十分に尊敬されたり、交友を持たれたりするだけの魅力と言うか、距離感を縮められる要素を持った人であり、簡単に言えば「人から気にかけられるだけの物を持った愛嬌のある人」という事である。こうなると、人を煙に巻けば逃げ切れるなんてそんな甘い事は通じなくなるし、今までの様に「はぐらかし続ければ相手から勝手に諦める」なんて思わない方が良いのだが、結良ちゃんはそれをちゃんと解っているのかどうか不明瞭なのが凄く気になる。解っているならそれで良いが、もし本気でそれを理解していないと言うなら、今一度己の立ち振る舞いを再考した方が良いと思う。

 だが、その一方でもし結良ちゃん自身が今の「飄然とした態度で人の間隙を突き、自分の本心は一切表に出さない」と言うスタンスを貫かんと考えているのなら、私としては「それならそれで良い」と思っている。無論、こういうスタンスを今後も貫き続ける過程では、今月号と同じ様なズレや綻びが生じる可能性は非常に高く、更にその回数も1度や2度では済まないと睨んでいるが、彼女がそういうスタンスで行くと言うなら、読者を筆頭に周りの人達には止める事なんて出来ないし、無理矢理にでも止めようとする事自体が悪手であるとさえ思ってしまう。これはどこまでいっても「自分がどうしたいか」に委ねられており、周りがどれだけ「自分の本心を明かす必要性」を説いた所で、本人がその意味を心から理解しなければ何の意味もなさない。

 ただ、そこまでして頑なに自分の心情を明かそうとしない結良ちゃんの頑固な一面を見ていると、ふと「何故にそこまで自分の本心を隠そうとするのか」と言う疑念も湧いてくるが、これも結局は「本人が口を割らなければ真相の確かめようがない」ので、今の段階では打つ手がない。なんにしても、今の状態を放置していれば、何時しか「取返しのつかない大きな溝」を生む可能性さえあるので、結良ちゃんには良く思案してもらいたい所である。何度も言う様だが、これは結良ちゃん自身がどうにかしなければ意味が無いのだから......。

深入りし過ぎない態度の必要性

 この題目では少しばかりごちうさの理念とは反するかもしれないが、人との距離感を考えていくには大切な事なので書き出させていただく。題目からして察しは付くと思うが、これも「狩手結良関連」であり、ここでは狩手結良を心配する者達、即ち神沙姉妹2人や冬優ちゃんが見せた、ブラバを去ってしまった結良ちゃんに対する思案ぶりから感じた事、思った事を書くものである。

 ブラバ組とりわけ神沙姉妹2人を見て思ったのだが、3人共に結良ちゃんに引っ張られ過ぎている節があると感じられる場面が多く、それで「仕事にも支障をきたしていた」と言うのは、気持ちこそ分からなくもないが、世間一般から見れば決して看過してくれるとは言い難い為、そこはある程度でも「気持ちの切り替え」が必要なのではないかと思ってしまった。また、神沙姉妹2人に至っては、結良ちゃんがバイトを辞めてしまった事情が分からない事に囚われ過ぎて、冷静に考えてみれば「それとこれは別問題」と解る見解を一緒くたにしてしまう状態にまで悪化しているが、これは「他人の事情に深入りし過ぎているが故に起こった事に他ならない」ので、あまり良くない状態だと感じている。

 行動原理の分からない人の行動を心配するのも大切な事だし、ましてやそれが「同じアルバイト先の先輩」となれば、何故辞めてしまったのかと思案する気持ちも解る。だが、同時に「現段階で深入りしてもどうにもならないのも事実」であり、更に言えば「ひた隠しにしている事は絶対に口を割らない人」が相手だとするなら、周りがどれ程ジタバタしたって意味は殆どない。それでいて、ジタバタしている周りだって無傷のままもがき続けられる筈もなく、もがけばもがく程精神的なダメージは蓄積されていくし、何の結果も成果も得られないなら、これでは「何の為にもがいているのか全く分からない」となり、更に悪化すれば「自分事じゃない事案で己の心を自ら食い潰してしまう」と言う最悪の結果さえ招きかねない。

 この様な事を思うなら、多少の非情さは覚悟で「他人の事情に深入りし過ぎない態度」も時には大切だし、それが必要になる時もあるのではないかと考えている。往々にして言われる事だが、まずは「他人の心配よりも自分の心配をしろ」と言う訳であり、自分の事を慮る事さえできない人が、自分以外の誰かを慮るなど笑い話にもならない事を鑑みて、他人の事で自分を追い詰めてしまっては何もならないと、どんな状況においても「冷静かつ公平に物事を見る視点」を失って欲しくはない。勿論、他人を心配しても自分は平気と言うならそれに越した事は無いが、現実においてそんな器用な事が出来る奴はまずもっていない。いたとしても、それは「自分の事などこれっぽっちも大切に想っていない」と言う可能性があり、それだと好ましい状態とはとても言えない。

 それならば、人の心配をする際に「自分の出来うる範囲を見誤ってはならない」のである。そうでなければ、神沙姉妹2人も冬優ちゃんも最悪の場合、身の破滅を招きかねないのだから......。

 

3.あとがき

 以上がきらま2024年6月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察である。今回は前回の記事と比べて書く際の心情は比較的安定的だったが、代わりに冷たい視点から忌憚なき意見を述べる態度が以前にも増すと言う結果となった。こうなった直接的な経緯はきらまの直前に読んだ「コミック百合姫6月号」にあるとは書いたが、実の所こういった「冷たい視点」ずっと前から持ち続けていたものであり、以前のごちうさ感想・考察でもその様な視点が顔を出す事は結構あった。だが、今回程「それを意識しなければならなかった事もそうは無かった」ものであり、それで今回はここまで強調して書き連ねている。

 以前私はごちうさとの向き合い方に対して悩んだ事があるのだが、それも今思えば今回の様な「冷たい視点」を、この温かみ溢れる物語たるごちうさに対して適応しても良いものかと言う「良心の呵責」があったが故なのではないかと思う。今となっては「作品を読んで感じる事はそのまま素直な形で残した方が良い」と思っているので、冷たい視点を持ってもそこまで深刻な悩みの種にはならないが、昔の自分はそこに対して「変な拘り」があり、それが歪な状態を招いてしまっていたのだと思わせられる......。

 何故に変な拘りを持っていたかについては、今となっては自分でもよく解らないが、恐らく自分なりに「淀んだ心でごちうさが持つ温かな世界観を黒く染め上げたくは無かったと思っていた」のだろう。今思えば「健気」だとも思うし、一方ではシニカルな態度をきかせて「そんなことしたって結局は誤魔化しにもならないのに......」とも思うが、どっちにしても元々が「相反する概念や感情さえも極力全てを取り込もうとする」と言うスタンスを持っていた私にとっては、淀んだ心を捨てる事自体無理な案件だったと言わざるを得ない。要するに昔立てた理想は正に「理想」でしかなかった訳だが、今となっては良い思い出だし、こうして淀んだ心を気兼ねなく見せる事が出来る様になった事も、良い面と悪い面両方あるとは言っても、決して最悪な結果では無かったのだと思う。何故なら、今でもこういった事を続けている事が出来ているのは、こういった考え方を受け容れられたのに他ならないから。そうじゃなければとっくに潰れていたと思う。

 今回私は狩手結良の事を何かにつけて槍玉にあげていたが、私は別に結良ちゃんの事を嫌だとは微塵も思っていないし、寧ろ結構気に入っているキャラである。気に入っているからこそ、今回の狩手結良が見せた一連の行動原理や態度が気になって仕方ないと言うやつで、一種のお節介でもあるが、何もお節介な態度ばかりではなく、前述した冷たい視点をもって「自分の本心を結良ちゃん自身がひた隠しにするなら、周りに出来る事は何もない」と思ったり、他にも「あくまでも結良ちゃんがその気にならなければ何も意味はない」と思ったりと、結良ちゃんの行動原理に対して最早諦観的な態度もとっている。

 何度も書いてきた事だが、今回の一連の問題はあくまで「結良ちゃん自身が何とかすべき事」であり、本来ならば周りは手出しをしてはいけない事である。故に私としてもお節介な態度と冷たく諭す様な態度が混在する訳であり、簡単には割り切れない想いもあるのだが、これはあくまで「結良ちゃん自身が蒔いた種」なので、その後始末は結良ちゃん自身の手でキッチリやるべきと言うのが本音である。

 今回も中々凄まじい内容となったが、前回と比べて安定性は飛躍的に向上しており、また小題目も「それぞれ1つだけ」になると思いきや、終わってみればどちらも「2つの小題目」が設けられたので、結果的にはまずまずの出来だったのではないかと捉えている。尤も、冷たい視点から見つめる様な題目が増えたのは何ともだが、昔から存在していた傾向ではあったので、馴染むと言えばそうではある。

 

 

おまけ

今回の文量は400字詰め原稿用紙のべ27枚分である。今回は比較的安定していた一方、鋭い視点から書き出す事の多かった記事となったが、恐らく今後はこれがデフォルトとなっていく可能性が高いと思う。今回程鋭い視点から切り込む事は無いにしても、このテイストの方が正直やりやすくはあるのだから。

*1:無論、コミック百合姫のそれはきらら系統の更に上を平気でいくが、きらら系統とて下手なコミック百合姫作品よりも平気で冷酷非情だと思った事もある。