多趣味で生きる者の雑記帳

現在は主にごちうさに対する想いについて書いています。

きらま2021年10月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察

 こんにちは。きらま勢になって丁度1年が経ち、ごちうさに対して一体何を追い求めるべきなのか、今一度考える時が来たのかも知れないと感じている今日この頃です。具体的には日々趣味を堪能しゆくにあたって新しい嗜みを常に取り入れていく事を強く意識している私にとって、ごちうさは自分の中でどの様な位置付けで扱い、どの様に考えていくべきなのか。それを改めて考える時なのだと感じています。尤も、ごちうさ好きを辞めようとは全く考えていないので、あくまで自分の中でごちうさを再確認したいという事です。こうもしないと満足しない気質持ちなので……。

 さて、今回はまんがタイムきららMAX2021年10月号掲載のごちうさの感想を書きたいと思います。このきらま2021年10月号のごちうさは、旅行編からの新キャラを掘り下げる内容ながらも構成や展開が初期の頃のごちうさを思わせる内容が多く、新しくも原点回帰的な雰囲気が漂うお話になっているので、今と昔の違いも意識しながら書き出したいと思います。

※注意※

 最新話のネタバレを含むものなので、その辺りをご了解お願い致します。また、ここで書き出した推察や考察は個人的な見解です。更に、今回のお話は仕組み上、初期の頃の構成ネタバレも一部ありますのでご注意下さい。尚、文中の高校生組は心愛ちゃん、理世ちゃん、紗路ちゃん、千夜ちゃんの4人を指し、ラビハ組は智乃ちゃん、麻耶ちゃん、恵ちゃんの3人を指します。

1.はじめに

 今回のお話は旅行編からの新登場キャラである冬衣葉冬優(ふいばふゆ)、神沙夏明(じんじゃなつめ)、神沙映月(じんじゃえる)の3人(ブラバ組)が、雷を伴った大雨が降っている事からチマメ隊*13人(ラビハ組)が店番をしていたラビットハウスに泊まる事になり、更に心愛ちゃん率いる高校生組が、新キャラ3人と同様の理由で千夜ちゃんの甘兎庵で泊まる事になった為、結果的に新高校生組6人によるラビットハウスで色々楽しみながらも親睦を深めていくと言うのが大まかな流れであり、今月号はラビットハウス即ち新高校生組6人に焦点が当てられている。

 今月号の特徴(と言うより旅行編後の単行本9巻後半辺りからその傾向は表れている)は何と言っても回帰であり、今月号の作中展開は過去に登場した場面・構成を同じ様に踏襲している部分が今までより多く、同じ場面・構成(特に構成)でも絶妙な変化が付けられる*2事も少なくないごちうさとしては少し異色ではある。ただ、構成そのものは回帰を思わせる部分が多いとは言っても登場人物が異なっている事や、既存の登場人物が過去と比べて大きく成長しているが故に中身は別物であり、故に「懐かしさも新鮮味もある」と言う仕上がりになっている。

 つまり今月号のごちうさは、大きく言えばごちうさの根幹たる緻密な構成を維持しつつ、新キャラの新鮮味も初期の雰囲気を思わせる懐かしさまで網羅すると言う構成を持つお話になっている。この事から最終的には最早回帰を超えた新しい構成になっていると言っても過言では無いとすら思うのだが、今回はそんな「回帰」について思う事を中心に、新キャラの魅力についても考察していきたいと思う。

2.購読した感想・考察

ブラバ組の新たな魅力

 前述の通り、今月号のごちうさのお話はラビットハウスにチマメ隊(ラビハ組)3人とブラバ組3人の計6人が天候の都合上泊まる事になると言う、所謂「お泊り会」を主軸にしたものだが、今までブラバ組とラビハ組は同じ学校の付き合いこそあった*3が、異なる学校同士の付き合い*4はあまりなく、実際に智乃ちゃんが神沙姉妹がブラバの社長令嬢である事を知らなかった*5様に、お互いに知らない部分も多かった。そんな2つの組がお泊り会と言う形で交流し、親睦を深める事は、それだけでも大きな進展なのだが、個人的には新キャラの新たな魅力が発掘された事が大きいと考えている。ここからは、そんなブラバ組1人1人の新たな魅力について書き出したい。

冬優ちゃんの変化

 まずはブラバでアルバイトをしている、智乃ちゃんと同じ学校の同級生にして友達を超えた仲でもある冬衣葉冬優ちゃんである。彼女は内気且つ内向的な性格で、恥ずかしがり屋故に他人に対する警戒心がとても強く、同じ学校の智乃ちゃんや智乃ちゃんと深い親交のあるマヤメグとは比較的打ち解けてきているものの、神沙姉妹とは社長令嬢という事もあって警戒心を解くのに難儀している様子が見受けられ、実際に本人の口から智乃ちゃんにそう伝えてもいる位である。ただ、冬優ちゃんは神沙姉妹ともっと交流を深めたいと考えており、神沙姉妹に対して警戒心こそあるものの、嫌悪感は無い様子を窺う事ができる。

 そんな冬優ちゃんだが、このお泊り会でも途中まで神沙姉妹に対して苦手意識が強く存在していた。やはり恥ずかしがり屋故に打ち解ける為の一歩が中々踏み出せないのだろう。この部分はかつての智乃ちゃんにも重なるものがある。しかし、智乃ちゃんが時間節約のためにと提案した、お風呂を交代で2人ずつ一緒に入ると言う場面から徐々に変化していく。冬優ちゃんは智乃ちゃんと一緒にお風呂に入る事になったのだが、その際に智乃ちゃんから「距離を置くのはあのふたりも寂しいんじゃないでしょうか」とハッキリ言われたのである。あのふたりと言うのは勿論神沙姉妹の事であり、智乃ちゃんからの「遠慮はいらないと思います!」と言う後押しもあって、冬優ちゃんは神沙姉妹に対して気恥ずかしさはあっても、勇気を出して神沙姉妹と親交を深めようと決意を表した。なお、この決意には冬優ちゃん自身が「智乃ちゃんに気を使わせて申し訳ない」と言う気持ちが芽生えた事も関係しており、自分を応援して気遣ってくれている人の為にも頑張らないといけないと言う、冬優ちゃんの強い意思を感じ取る事ができる。

 それからの冬優ちゃんは気恥ずかしさこそあったものの、自分と言う特性を遺憾なく神沙姉妹に見せつけていた。智乃ちゃんの中学生時代の制服を着て顔を赤らめている*6夏明ちゃんや、心愛ちゃんが実家(?)から持ってきた、可愛らしい服を着ている映月ちゃんをみて、腹話術を用いて「ふたりとも思ったより威厳ないね」本当に遠慮もなければ容赦もないコメント*7を出したり、ボードゲーム対決でラビハ組とブラバ組に分かれ、ブラバ組には負けられないと闘争心を剥き出しにする智乃ちゃんを見て、智乃ちゃんがその気ならと言わんばかりに冬優ちゃんも勝負の為に闘争心を滾(たぎ)らせ、神沙姉妹を統率したりする等、持てる自分を時に智乃ちゃんの力も借りながら発揮していたのである。何とも凄い力だが、その様な力を秘めていた冬優ちゃんは勿論の事、その特性を引き出した智乃ちゃんも中々に成長していると言える。

 まとめると、今回のお泊り会で冬優ちゃんは「神沙姉妹とはもっと交流を深めたいと思っている事や、気恥ずかしささえなければ、誰であっても交流・統率できる程の強い意志を持っている事」が判明したと言え、特に神沙姉妹に対してもっと交流を深めたいと思っていた事が明確に確認できたのは非常に大きいと言える。人間は、他人に対してどう思っているかで交流を深める事の難しさが往々にして大きく変わるものだと私は思っているのだが、今回冬優ちゃんが神沙姉妹に対して気恥ずかしさはありつつも好意的な感情を抱いていたという事は、今後冬優ちゃんと神沙姉妹の距離を縮めていく上で有利に働くと思われ、今月号の終盤にある様なブラバ組3人だけのやり取りがもっと増えていく事も考えられる。

 これらの冬優ちゃんに対する神沙姉妹の反応としては、結論から言えば「少し戸惑いはありつつも冬優ちゃんの意志を尊重する」ものだったと考えている。つまり冬優ちゃんの事を認めるという事であり、神沙姉妹とて冬優ちゃんとはもっと交流を深めたかった事が分かる様になっている。ここからは視点を変えて、神沙姉妹から見た魅力を書き出したい。なお、神沙姉妹はこのお泊り会ではほぼ全ての場面で2人一緒に行動している*8為、今回は2人共一挙に書き出すものとする。

神沙姉妹の歓喜

 次に書き出す魅力はブラバことブライトバニーの社長を父に持つ、所謂社長令嬢の神沙姉妹である。姉妹関係は姉が映月ちゃん、妹が夏明ちゃんであるのだが、普段は夏明ちゃんが映月ちゃんを引っ張っている事が多い事や、夏明ちゃんの方が普段からしっかりしている事から、本来の姉妹関係を知らずして姉妹関係を見抜く事は中々に難しい。尚、神沙姉妹は今までの経緯から2人で一緒に行動している事が多く、長らく2人だけの孤立した世界しか無かったが、旅行編において木組みの街の人々と出逢い、そこから自分達も木組みの街の住人になる事で徐々に世界観が広がりつつあり、それは2人にとって非常に大きな糧になっていると思われる。

 性格は、映月ちゃんは普段の時はマイペース且つのんびり屋で、おっとりした性質を持った穏やかで物腰柔らかな人であり、それ故にお姉さんと言うより妹キャラと言う印象が強めだが、その実自分が思った事を躊躇なく人に言える度胸の強さと、何があっても決して折れない芯の強さを併せ持っており、優しさだけに留まらない姉御肌的な気質をも持っている。やはりお姉さんはお姉さんなのである。また、その性質故に同じおっとりした性質たる恵ちゃんと仲が良く、普段から気が合った様子である事が多い。

 一方夏明ちゃんは普段の時はしっかり者且つ常識人であり、はきはきとした性質故にのんびり屋なお姉ちゃんを引っ張っている事が多いのだが、その実ナイーブで寂しがり屋な一面も併せ持っている。また、客観的に自分がどう見られているのかを気にしがちな人でもあり、良くも悪くも普段から立ち振る舞いを意識しているのが他の人以上に目立っている。実は熱血な一面もあり、自分の使命を果たす為には時に燃え上がる一面も持っている。学校では麻耶ちゃんと仲が良く、お互いに照れ屋な性質持ち故に無理に意地を張って言い合いになる事も少なくないが、なんだかんだ言ってもお互いを認め合っている。

 そんな神沙姉妹だが、このお泊り会では会そのものを智乃ちゃんから提案された時から前向きであり、戸惑い気味だった冬優ちゃんとは対照的にマヤメグ以上の乗っかり具合を見せていた。何故この様な反応を示したかと言えば、神沙姉妹は旅行編において美味しいコーヒーを智乃ちゃんが淹れてくれたことから、智乃ちゃんが住むラビットハウスに強い関心があり、かねてからラビットハウスに来訪してみたいと言う願望があって、それがお泊り会と言う形でより深く適えられる絶好のチャンスだと思ったからだと考えられる。その為、終始友達の家に泊まれる事に対する楽しげな様子が窺える場面が多いが、その一方で、ボードゲーム対決で冬優ちゃんとチームを組む前は、冬優ちゃんが私達(神沙姉妹)に対して引き気味である事を気にかける様子もあった。これは良くも悪くも神沙姉妹が友達に対して割とグイグイ行きがち(裏を返せば友達と積極的に関わりたいとも言える)な事*9が、内気で内向的な冬優ちゃんにとっては苦手だと言うのが大きく、実際の所は冬優ちゃんも神沙姉妹に対して好意的な感情を抱いているのだが、仕方ない事だとは言え、冬優ちゃんの心境を知る術もなかった神沙姉妹は冬優ちゃんに対して気にかける様子がしばしば見受けられていた。

 しかしながら、ボードゲーム対決においてブラバ組で冬優ちゃんと一緒のチームになった時から、状況は一変する。前述の通り冬優ちゃんは智乃ちゃんに触発されて闘争心を滾らせ、神沙姉妹に対してリーダーシップを発揮すると言う状況に、神沙姉妹は乗り気な反応を見せているのだが、心なしか表情が嬉しそうに見えるのである。これは神沙姉妹にとってどこか距離を取られている様に思えた冬優ちゃんが、自分から私達と距離を縮めてくれた事に対して嬉しく感じている為だと思うのだが、何れにしてもボードゲーム対決でブラバ組として3人が一緒になれたのを契機として、冬優ちゃんと神沙姉妹の距離感が縮まったのは確実だと言え、今月号の終盤には前述の通り、ブラバ組で会話する様子も見受けられる。今後どの様になるかは未知数だが、きっとブラバ組もより距離が近い関係性になると思われる。

 まとめると、今回のお泊り会で神沙姉妹は「冬優ちゃんともっと交流を深めたいと考えているが、どうしたらもっと距離を縮められるか悩んでいる面」が判明したと言え、結果的に言えば冬優ちゃん・神沙姉妹共にお互いもっと距離を縮めたい即ちもっと親交を深めて仲良くなりたいと考えていた事になる。この事からも今後冬優ちゃんと神沙姉妹はもっと親交が深まっていくと予測できるうえ、ひいてはお互いに様々な一面を知りゆく事で、かけがえのない関係性が構成されていく事も十分に考えられると言えよう。今後のブラバ組の動向に注目したい。

ラビハ組の覚醒した魅力

 ここまでは旅行編からの新キャラ3人であるブラバ組に焦点を当てていたが、ここからは古くはチマメ隊であり、今月号はラビハ組と紹介された智乃ちゃん、麻耶ちゃん、恵ちゃんの3人が持つ、ずっと変わらない魅力と新たな成長について書き出したいと思う。

智乃ちゃんの魅力と成長

 まずはラビットハウスのマスター(祖父)の孫である智乃ちゃんから書き出したい。智乃ちゃんは嘗てはクールと言うよりどこか素っ気ない雰囲気の持ち主であり、何事に対しても感情の起伏をさほど表さない淡白な人だったが、その実マヤメグと友達になってから少しずつ変わり始めており、心愛ちゃんを始めとした高校生組と出逢った事で変化は決定的なものになり、それからの智乃ちゃんは様々な人の特性を採り入れ、自身の良き特性を前面に発揮した、感情豊かな明るい人へと変化・成長した。因みにこの変化・成長だが、原作だと大きくは4巻以降、アニメなら2期の中程から見えてくると考えている。ただ、細かく見るなら原作だと3巻、アニメでも1期の終盤から既に智乃ちゃんの変化は所々に表れていたとも考えられる為に悩ましい面もあるが、何れにしても智乃ちゃんは心愛ちゃんと出逢った時から今までの自分とは確実に変化し始めていたと思われる。もっと言うなら、智乃ちゃんの母親の性質を見るに、智乃ちゃんも元々は明るい特性を持っていた人だったと言え、心愛ちゃんを始めとしたかけがえのない人との出逢いが、嘗ての明るいとくせいを持った自分を呼び起こす事に繋がったとも言えよう。

 そんな智乃ちゃんだが、このお泊り会においては大きく成長、変化した智乃ちゃんを見せつけていた。事あるごとに感情をオーバーなまでに表に見せる様になった*10のもそうなのだが、自分から率先して友達を誘ったり、友達の悩みを聞いてあげた上で後押ししてあげたりと、お泊り会企画の発起者ならびに頼れるお姉ちゃんとして、他の5人を率先して引っ張っていたのである。また、これ以外にも以前は甘えたがり屋な一面がありながらも気恥ずかしさから中々甘える事の出来なかった自身の父親(タカヒロさん)にも甘える事ができる様になったり、事あるごとに何かと人に対して気に掛けたりと、細かな成長もこのお泊り会からは沢山読み解く事ができる。

 しかし、これらは一昔前とりわけ中学2年生時代前半(原作初期)の頃ならまず考えられなかった事であり、それ故に智乃ちゃんの大きな成長と変化をひしひしと感じる事の出来る場面の一つになっている。一つと書いたのは、これ以外にも智乃ちゃんの大幅な成長を感じ取る事の出来るお話が数多く存在するためで、これ以外にも智乃ちゃんが成長したと感じる事の出来る要素はまだまだ存在する。ただ、その中でも今月号の成長は智乃ちゃんの成長の中でも特に大きなものである事は間違いなく、智乃ちゃんが高校生組のあらゆる個性や良い所をふんだんに採り入れて、大きく変わろうとしている事を見せつけてきた。そして、その事実が一体どれ程凄い事なのか、最早全てを推し量る事は困難になりつつあるのだろう……。そんな未知数の成長を遂げる智乃ちゃんは、今後ラビハ組とブラバ組を合わせた6人の中でも、高校生組をも凌ぐ程の能力を発揮していくに違いないと個人的には考えている。

 ところで高校生組についてだが、智乃ちゃんはラビットハウスに心愛ちゃんが下宿している事や、そのラビットハウスに理世ちゃんも働きに来ている事から、マヤメグやブラバ組と同じ学年ながらも年上である高校生組との関わりが他の5人より圧倒的に突出しており、現在ではあまり見なくなったが、最初の頃は高校生組4人に中学生の智乃ちゃん5人と言う組み合わせの方が良く見られた程。その為、智乃ちゃんは高校生組の影響を特に色濃く受けており、ここから今回のお泊り会で見せた智乃ちゃんの数々の行動は、高校生組が智乃ちゃんに対して見せてくれた数々の行動や友情、他人を想う事の大切さや尊さを参考にして行ったものだと見る事ができ、それは智乃ちゃん自身が心愛ちゃんとの通話越しに「ある人達をお手本にがんばりました」と語っている事から推測できる。尤も、智乃ちゃん本人は「ご想像にお任せください」と、どの人達を参考にしたのかについてはぼかしているのだが、智乃ちゃんにとって年上である高校生組が自分の手本となり得る様なものをどれ程見せてくれたのか。その事を思うならば、自ずと答えは見えてくるものだろう。

 ここからはチマメ隊(ラビハ組)の幼なじみコンビ、マヤメグについての魅力を書き出したいと思う。

マヤメグの魅力について

 マヤメグは幼なじみコンビである麻耶ちゃんと恵ちゃんの2人を指し、麻耶ちゃんはボーイッシュな魅力を持つ元気っ子で、持ち前の好奇心旺盛を活かしてチマメ隊における企画発案者として2人を引っ張っていく事も多く、持ち前の好奇心を活かしたクレバー(賢い)な一面も持つ傍ら、実は寂しがり屋で人想いな一面を持ち、人の気持ちを誰よりも気遣える優しい一面もあり、友達を愛し、友達に愛されと言う女の子である。一方恵ちゃんは元気っ子たる麻耶ちゃんとは対照的におっとりしたのんびり屋な女の子であり、チマメ隊の中では癒しキャラ的な立ち位置にいる事が多いが、実はマイペースながら何事もそつなくこなせる器用な一面を持っており、頭の良さも相まってチマメ隊の中でもトップクラスの潜在的な能力の高さが光る女の子である。

 そんなマヤメグだが、ラビットハウスにおけるお泊り会前後を描く今月号においては他の4人に比べて描写がやや少なめだが、それでもラビハ組を構成するメンバーとして外せない存在感と可愛さを見せており、智乃ちゃんと心愛ちゃんのパジャマを借りたマヤメグの場面において、麻耶ちゃんが普段のボーイッシュさと真逆の女の子らしい可愛さを放ち、恵ちゃんは心愛ちゃんのパジャマを借りてふわふわした可愛さを見せたり、ボードゲーム対決においてはマヤメグ共に智乃ちゃんの熱血さに同調し、特に恵ちゃんは智乃ちゃんの熱意に触発されて燃え上がったりと、要所でパンチのある一面を見せてくる。

 また、マヤメグはブラバ組がラビットハウスに訪れる前と後で主たる存在感を発揮しており、抑々マヤメグの2人がラビットハウスにいたのも「ラビットハウスにおける2人のバイト始め」だからであり、その際にチマメ隊の団結力をもってお客さんをおもてなししようと一念発起したのもマヤメグの提案であり、その存在感を遺憾なく発揮している。更にお泊り会後にブラバ組がラビットハウスから去った後、昨日十分に働けなかった挽回策として、気合を入れ直すと言う提案をしたのもマヤメグであり、そこからラビハ組もといチマメ隊は智乃ちゃん、麻耶ちゃん、恵ちゃんの3人が揃って初めて完全体になり得ることを証明した格好になっているとも捉える事ができる。この事から、マヤメグは成長を続ける智乃ちゃんを同学年として支え続ける良き親友としての立ち位置を今月号で改めて見せつけてきたと言える。因みに気合を入れ直した時にチマメ隊が各々声を上げているのだが、その掛け声はバラバラになってしまっている。尤も、バラバラであっても想いは一つと言うのはチマメ隊らしい友情の形だと言えよう。

 ここからは今月号もとい最近のごちうさを形成している要素でもある「回帰」について個人的に考えている事を書き出したいと思う。

回帰について思う事

 私自身、ごちうさを語る上で外せない要素の一つだと考えているのが回帰(かいき)。回帰とは「繰り返すこと、一回りして元に戻ること」を意味する言葉で、最近のごちうさは原作初期にあった様な出来事や描写を思い起こす様な場面構成や描写が所々に登場している事からそう定義付けたのである。

 では、何故今月号を読む事で「回帰」について思いを馳せたのかと言えば、何度も言う様に今月号のごちうさはラビットハウスでのお泊り会が主軸なのだが、今回のお泊り会は原作初期・前期にあった、高校生組4人と智乃ちゃんの5人によるものと、チマメ隊3人によるラビットハウスでのお泊り会を強く想起させる展開・場面が多く、それに加えて過去のエピソードをそのまま持ってくるコマも多く存在している事から、回帰の流れが強くなった昨今のごちうさの中でもそのコンセプトが特殊だと言う印象を抱くものになっていたからである。先にも述べた事だが、ごちうさにおける回帰と言うものは往々にして絶妙な変化を付けられる事が多く、今月号の様にある一つのコマをそのまま持ってくる事は無くは無いが少ない為、それがふんだんに盛り込まれていた今月号に対しては何か特殊な想いを抱いた。尤も、冷静になって考えてみれば特殊と言うまでに変わった想いと言うのとはまた違うのだろうが、何にしても今月号を読んで心動かされるものがあったのは事実である。

 思えばチマメ隊(ラビハ組)が名実ともに高校生になった原作9巻中盤からと言うもの、原作のテイストがそれまでと若干変化した事は私自身感付いてはいた*11。今思えばそれが私の言う様な「本格的な回帰の流れの始まり」なのであり、その要因としては旅行編からの新キャラであるブラバ組の3人が本格的に登場したタイミングと重なっているのもあると思うのだが、一番はチマメ隊3人全員が大幅に成長している姿や一面が、高校生になってより際立つ様になったためだと考えている。普段何気なく読んでいても、高校生になったラビハ組を見ると、過去と比べて明確な成長を遂げたのを感じる事は多く、しかもその表し方が昔高校生組4人が当時中学生だったチマメ隊にお披露目した事を、今度は成長したラビハ組(チマメ隊)が新しく木組みの街の住人となったブラバ組にお披露目すると言う中々に粋な継承の姿を表している事も多く、ここから私は「回帰」を編み出している。尤も、この様な形を回帰と言うのが適切かどうかは私には分からないが、ごちうさ私にとって日常系の面白さ、輝かしさの真髄を教えてくれた作品でもある為、最早一義的な言葉では表す事の出来ない特別な何かに突き動かされているのだろう。

 そして、上記の様な形の回帰の描写が多くなっている事は、ごちうさにおいては同時に新しい人間関係の描写を促す事をも意味していると捉えており、実際にラビハ組の高校生生活が本格描写されてから今月号まででもチノフユ、マヤナツメ、メグエルと、ラビハ組とブラバ組の同級生交流が描かれており、他にも千夜フユ、リゼナツメ、シャロエル等といった高校生組4人とブラバ組との交流や、ココアユラ等の異色な交流も描かれている。この様に多くの成長を描く為に嘗てを思わせる様な回帰描写を用いるだけでなく、そこに新しい人間関係の交流を加えて描く事で、古くからのファンにも新鮮味を提供してくれると言うのは、ごちうさが特に深き魅力を持つ理由の一つにもなっていると私は考えている上、その魅力はこれからも増大していくと予測している。因みに新しい人間関係を描き出すと言うのは原作初期から今に至るまでコンスタントに描かれてきた事でもあり、ここでも回帰の要素は入っていると言える。

 ただ、私には回帰について気にしている事が1つあり、それは「回帰の流れが進むにつれて、今後どの様にごちうさが進んでいくのか最早私には分からなくなっている」事。昨今のごちうさが昔を思わせる回帰の流れが存在している事は自分なりには理解しているのだが、その構成があまりに緻密な為に毎月ごちうさを読み進めるにつれてどの様に展開が進んでいくのかが徐々に分からなくなってきており、それ故に直近のきらま掲載のごちうさを読む時、私は敢えて先の展開を殆ど考えないままに堪能する事が多くなっている。尤も、見方を変えてみれば最早容易に先の展開が読めなくなった作品を、いかにして楽しむ事の真髄を見出すのか、その絶好のチャンスだとも言えるのだろうが、私にはどうも引っ掛かってやまないのだ。

 しかしながら、我ながら細かい事を深刻に捉え過ぎていると思っているし、実際にこの細かい事を気にし過ぎる性格故に、ごちうさに対して良い意味だけでなく、悪い意味でもど壺にはまってしまった事もある*12為、そこまで気にし過ぎない方が良い事もよく分かっている。その事を思うならば、この先の展開が分からなくとも変に気を揉まずにごちうさを純粋に楽しむ気持ちをもって楽しむのが適切だと言うのは自明の理だろうし、それこそ自分自身にも「自分がごちうさを知りたての頃の気持ちに回帰してみる」と言う風に課して、ごちうさを象徴するものたる「かわいい」を全力で堪能していた頃の気持ちを呼び起こし、ごちうさは可愛い世界なのだから無理に気を揉む必要は無いと思い起こすのも良いと考えているが、何れにしても、無理のない範囲で楽しむ事を意識するのが一番良いと言えるのだろう。

 この様に回帰という考え方は、私にとっては今月号のごちうさにおいて強く感じ取った概念としてだけでなく、私自身がごちうさに対して思い悩む事があった時に、ごちうさの純真たる楽しさを呼び起こす概念としても機能していたとも言え、ある意味昔からごちうさに対して私が何となく抱き、時には知らず知らずの内に助けられていた概念だったと言える。その様な概念が今回急に表舞台に呼び起されたと言うのは、何とも不思議な感覚だが、それを何の違和感もなく受け止められると言うのも、私がごちうさに対して特別な感情を抱いているが故なのだろう。

3.あとがき

 以上がきらま2021年10月号掲載のごちうさを読んだ私の感想・考察である。今回は旅行編からの新キャラ3人たるブラバ組と、古くはチマメ隊であり、今月号ではラビハ組とも称された3人が一緒になって、高校1年生組6人でラビットハウスでお泊り会をする回であり、言うならば高校1年生組6人の結束を高め、親交を深める回だったと認識している。その為、全編にわたって異質な雰囲気があった先月号とはうって変わり、何時ものごちうさらしい構成となっているが、よくよく読み込んでいくと新しい展開にも懐かしさを感じる描写が多く含まれており、それ故に嘗てとは一線を画す構成になっている事は見逃せないだろう。

 お話の構成上高校1年生組6人を中心に焦点が当てられている中で、特にブラバ組の心境や意外な一面が明らかになったのは、個人的には大きなキーポイントだと考えている。無論、それまでもブラバ組の3人が少しずつ木組みの街に馴染んでいく様子は多く存在しており、馴染んでいく過程の中で木組みの街の住人やその人達が構成する空間にも大きな影響を与えてもいる*13のだが、今回ラビハ組3人とお泊り会と言う形で交流する事で、今までの馴染んでいく過程では見られなかったブラバ組3人の意外な内面性や心境が明らかになった事は、ブラバ組3人がより木組みの街の住人としての色を付けるにあたって非常に意味のあるものだと考えていて、ともすれば今後このお泊り会が大きなキーポイントになる可能性も十分に考えられる。勿論、そう簡単に断言できるものでも無いのは承知の上だが、何らかの可能性を秘めたお話である気がしてやまないのは事実である。

 また、今月号ではお話の構成を見て「回帰」と言う概念を強く意識したと書き出したが、実はここまで「回帰」を意識する作品と言うのも私の中では珍しく、またごちうさ程概念の定義付けを意識しないと、現在まで読み進められなかった可能性が高かった作品も今まで無かったと言うのもあって、ごちうさにおいてこの様な見識が合っているのか、今でもふと立ち止まる事がある。幾らごちうさに対して全力で読み込む事を意識しているとは言っても、悩ましい事はあるものである。ただ、全力で読み込んだ結果回帰と言う概念を強く思い起こしたと言うのなら、悩む事があってもそれを貫き通す事も大事だと考えている。まだまだ分からない事も大いにあるのだが、現時点では貫ける所まで貫き通したいと考えている。

 最後に、今月号のブラバ組とラビハ組を合わせた6人はとても輝かしいものだったという事は改めて書いておきたい。特にラビハ組の場合、原作初期を知っていると、その輝きがより分かる様になっているのもポイントである。思えば、2021年8月26日にはごちうさの完全版であるComplete Blendの1巻が発売されたが、これは通常版の1巻・2巻が収録されており、9月27日にはComplete Blendの2巻が発売予定となっている事を踏まえると、原作最新話が回帰を思わせ、懐かしさを感じる構成になっているのも、ある種のファンサービスと言えるのかもしれない。

 

おまけ

今回の文量は400字詰め原稿用紙33枚分であり、これは現時点で過去8番目の文量である。毎月の様にここまで安定して書けると言うのもごちうさ愛がなせる業だと言えるのだろう。

*1:ノ、ヤ、グという名前から一文字ずつ取って理世ちゃんが名付けた、いわば小隊の通称名。因みに提案された最初こそは3人共乗り気ではなかったが、今では作中に留まらず、読者ファンにも広く浸透しており、3人も普通にチマメ隊と自称するまでに乗り気になっている。

*2:球技大会やクリスマスが最たる例であり、どちらも過去2回登場しているが、1回目と2回目の繋がりを意識した描写こそ多い反面、2回共に殆ど合致する様な構成・場面は意外と少ない。ただ、2回描写された行事・出来事の構成・場面に絶妙な変化が設けられているのは「同一登場人物の心境変化と成長を表すため」だと言えよう。

*3:心愛ちゃん達の高校である智乃ちゃんと冬優ちゃん、紗路ちゃんの高校であるマヤメグと神沙姉妹は同じ学校故に良き仲である。

*4:冬優ちゃんとマヤメグ、智乃ちゃんと神沙姉妹。

*5:この事実を知った時、智乃ちゃんは神沙姉妹がブラバの社長令嬢だった事に驚愕していた。

*6:これは嘗て高校生組と智乃ちゃんの5人で行ったお泊り会の時の理世ちゃんを彷彿とさせるもので、顔を赤らめているのも、わざわざ智乃ちゃんの中学生時代の制服を着た理由も同じである。

*7:冬優ちゃんは腹話術を用いると、内向的で躊躇いがちな普段とは打って変わり、自分の思った事を相手に対して一切の遠慮も躊躇もなくストレートに言う様になるのだが、ここから冬優ちゃんは「物の力を借りると恥ずかしさと物怖じを振り払う事ができる」と言える。

*8:これに限らず神沙姉妹は2人一緒に行動する事が多く、それ故に単独で行動する事もあると言えど、神沙姉妹は常に2人一緒に居ると言うイメージが湧きやすい。

*9:特に映月ちゃんが顕著であり、他にも言いたい事を躊躇いなく言う事から周りを驚かす事もしばしばである。尤も、2人共に人が嫌と思う様な事は基本的にしない良い人である。

*10:神社姉妹が社長令嬢だった事を知った時の反応が顕著な例。

*11:尤も、原作のテイストが絶妙に変化するターニングポイントは原作9巻以前にも存在しており、その一つ一つがごちうさの良さを更に引き立てている。

*12:しかしながら、そんな悪い意味でど壺にはまってしまった時でも、ごちうさの可愛さを忘れてしまう事は一切無く、寧ろ可愛さにどんどん魅了されていた。この事から私が思い悩んでいた頃には、ごちうさは私の中では既に別格な存在だったのだろう。

*13:きらま2021年8月号の映月ちゃんがその代表格。