多趣味で生きる者の雑記帳

現在は主にごちうさに対する想いについて書いています。

きらま2022年7月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察

 こんにちは。最近色々とこなさなければならない事が増えていき、それ故に趣味事自体はできても、ブログ記事の様に腰を据えて取り組まなければならない事が中々捗らず、この記事も執筆開始までが今までと比べても相当に遅くなった*1訳ですが、ごちうさに対する熱意そのものは殆ど変わっていないので、ブログ記事にて感想・考察を起こす事に関しても、これからは時間こそかなり掛かるとは思いますが、今までと変わりなく行っていきたいと考えています。

 さて、今回はまんがタイムきららMAX2022年7月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察を書き出したいと思います。今月号は主に「ブロカント(古物市)」が中心となる回で、一見すると先月号と比べて比較的マイルドな印象を受けますが、今月号は何と言っても「ブラバ組*2の動向や経緯」がキーポイントになっており、その威力たるや、その観点から見ればかなりのインパクトを誇っているのは疑いないと思う程で、故に今月号も先月号とは別ベクトルで普段のごちうさとは一線を画している雰囲気を持っている事になる訳ですが、何れにしても今月号も印象深い事は間違いないので、今回も率直な想いを書き出していきたいと思います。

※注意※

最新話及び原作10巻以降のネタバレを含むものなので、その辺りをご了解お願い致します。また、ここで書き出した推察や考察は個人的な見解です。

1.はじめに

 今回のお話は神沙姉妹2人と冬優ちゃんの計3人で構成される「ブラバ組」に終始焦点が当たっている回であり、それは今月号を大きく見ると「ブラバ組の3人がブロカントに出店し、そこでラビハ組や年上組を始めとした木組みの街の人々と交流していく」と言う構成になっている事からも窺える。要するに「今月号のメインはブラバ組3人」と言う訳であり、その中でも神沙姉妹の切実な過去が明かされる点はとても重要である。因みにブライトバニーで新たにバイトを始めた狩手結良ちゃんについてだが、結良ちゃんは今月号終盤にてブラバ組3人とコンタクトをとっており、冬優ちゃんは彼女の事を(勤務先が同じ事から)知っていた様子を見せていたものの、神沙姉妹は結良ちゃんとの接点が無かったためか、2人共に知らなそうな反応を見せていた。この事から、今月号時点において結良ちゃんと神沙姉妹の接点はまだまだ途上と言えるが、将来的に神沙姉妹もブラバで勤務する様になった暁に、神沙姉妹が結良ちゃんを見てどの様な反応を見せるか。そこも気になるポイントである。尤も、現状の結良ちゃんと冬優ちゃんの関係性を見れば半ばお察しな面もあるが……。

 今月号の扉絵は、私としては「ブラバ組の結束を強く意識したもの」だと感じており、3人がそれぞれ別々のポーズをとりながらもその想いは共通していると言わんばかりの雰囲気は正に圧巻ものだが、よく見ると神沙姉妹の2人が手に旗を1つずつ持っているのに対して、冬優ちゃんだけ旗を2つ持っているのも、個人的には中々に興味深く、私としては冬優ちゃんだけ旗を2つもっているのは「冬優ちゃんがブラバ組を先導しゆく事を暗示している」とも「冬優ちゃんがブラバ組の核を担っている」とも受け取れると捉えており、何れの場合も「ブラバ組においては、主に冬優ちゃんが神沙姉妹の2人を引っ張っていくと私自身認識している」と言うのが共通している。

 また、今月号を読み進めていく中で私が特に気になったのは「神沙姉妹の切実な過去」「狩手結良の立ち位置とその心境」であり、前者はブラバ組がメインとなっている今月号においては半ば自然な流れだと言え、故に私としても自然と深く入り込んでいける感覚があるのだが、後者はただでさえ普段から特異的な雰囲気を持っていると言うのに、今月号における雰囲気も「何者にも染まらず、不気味なまでに思想も素性も掴めない」ものだった為、流石に戸惑いは隠せなかったが、それでもこの2つが気になった事に対して躊躇いは殆ど無かった。この事からも私の想いの広域さとある種の奇特さが見えてくる様だが、何があっても私としてはブラバ組も結良ちゃんも大好きなのである。

2.購読した感想・考察

ブロカントにおけるブラバ組の軌跡

 再三にわたって記述してきた様に今月号は終始「ブラバ組のブロカント」に主軸が置かれている為、必然的にブラバ組に視点が当たる事になる訳だが、同じブラバ組のブロカントでも中盤までとそれ以降では内容の趣旨がかなり違っており、特にココチノと出逢う部分が大きなターニングポイントとなっている。また、前半では3人共にブロカントに出店する事は初めてだと言う事で、3人共に緊張が中々解れずに苦戦していた様子も見受けられていたが、後半とりわけココチノと別れた後は、心愛ちゃんがお客さんが来る様な仕掛けを施した事もあって3人共に元来の性質こそそのままながらも、ブロカントに対して強い意気込みと抜群のコンビネーションを見せており、ブロカントを通じてブラバ組の3人が色々な意味でスキルアップを遂げているのが良く分かる様になっている。

 その様な事から、今月号は「『ブロカント』と言うブラバ組の何れもが初めてチャレンジする舞台上にて、3人がどの様な変化と成長を歩んでいくのか」を読み解いていくのがキーポイントになると考えている。また、今月号では最後のコマを除いて基本的に「ブラバ組がブロカントに来訪、出店していた時間軸がメイン」となっており、それ故に大きく見れば「夢」と「現実」と言う2つの概念が存在し、その「現実」においても細やかな時間経過が存在していた先月号とは対極とも言える様な構成になっているが、私としては「同一の時間軸で起こった内容が緻密に描かれている事で、ブロカントに出店し、実際に展開していく中でブラバ組がどの様な事を思い、どの様な事がきっかけで新たな一歩を踏み出したのか、それがより強調されている」と考えており、前半ではそんなブラバ組が見せたブロカントにおける軌跡からみえてくるものを、ココチノと別れる付近まで書き出していきたいと思う。

マヤメグとの交わりと神沙姉妹の切実な過去

 今月号では冒頭からブラバ組3人で初めてブロカントに出店する事になった事実に対する意気込みが語られており、それと同時にブラバ組の3人が、このブロカントに出店するにあたってそれぞれが持ち寄った品物について見せ合っているのだが、前者に関しては接客業を主とする業種にバイト先にしながら、元来人見知りな傾向が強い冬優ちゃんにとってとても勇ましい意気込みが語られており、これに関しては称賛の一言に尽きるのだが、その一方で後者が中々にクセモノであり、冬優ちゃんは下宿先のオーナーに頼まれたもの、神沙姉妹は現在使っていない物を中心に持参してきたまでは良いのだが、その中で冬優ちゃんは自分の私物としてドラスティックなセンスの部屋着を、映月ちゃんはファッションアイテムと称しながらも相当に尖ったアクセサリーと、人を寄せ付けさせない印象を与えるまでに物騒な題材を扱った本を持参してきており、図らずも見る者を圧倒させる様な印象を植え付けさせる事になっている。尚、映月ちゃんがこの様な装飾品や本を所有していたのにはそれなりの理由があり、それも中々にえげつない。その為かどうかは定かではないが、ブラバ組の3人は出店してからと言うもの、マヤメグと出逢うまでは正に閑古鳥が鳴く程の有様であり、現実の厳しさが垣間見えてくる様である。

 そんなブラバ組が決定的なターニングポイントとなったのはマヤメグとの出逢いであり、最初こそ何時もの絡みの延長線上な雰囲気がしているが、ブロカントの出品物たるフォトフレームに「昔の神沙姉妹の写真」があった事をきっかけに大きく変貌を遂げていく。何故なら、その写真に写っていた神沙姉妹は、現在の神沙姉妹とは異なり「昔は2人共に髪が長かった事を証明するものだったから」であり、これに加えて神沙姉妹の2人の発言から「双子故に区別がつかないと言われてきた事から、区別できるようにする為にあくる日夏明ちゃんが髪を突然バッサリ切った」のも明らかになっており、この衝撃的な事実に対してマヤメグの2人も結構衝撃を受けていたが、2人以上に衝撃を受けていたのが同じブラバ組たる冬優ちゃんであり、マヤメグの2人が衝撃的な事実を知った後も、ありのままの2人を受け止めると言わんばかりに神沙姉妹が持つ元来の優しさを汲み取った行動をとっている*3のに対して、冬優ちゃんは「同じブラバ組でありながら、神沙姉妹の切実な過去や事情を全くと言っていい程知らなかった事」を痛感していたのは、私としても見ていて考えさせられるものがあったのは言うまでも無かったが、同時に決して晴れる事のないモヤモヤが心を覆う感覚がどことなくあった。これに関しては、私としても「人間関係のもどかしさに関して、冬優ちゃんと同じ様な経験をしてきた事」もあったのだろうが、一番に「同じコミュニティに属しているからと言って、相手の事を何でも知れる様になれる訳ではない」と言うごくごく当たり前の事を改めて知らされたのが心痛かったのだろう。無論、頭では「ただ時間と空間を共にするだけで相手の事を理解する程、世の中そう甘くはない」のは初めから理解しているのだが、心の方はそうはいかないのである。

 また、私としてはマヤメグ2人とブラバ組の交流を見ていて、映月ちゃんは特定の過去をオープンにする事にさほど躊躇いがない一方、夏明ちゃんは何かしら気にしている特定の過去があると感じた場面があり、それは「夏明ちゃんが『双子故に区別がつかない』と周りから言われ続けていた状態を何とか変える為に、自分の意思で髪をバッサリ切った過去」である。これに関しては「『切った本人』と『それを見ていた人』と言う立場の違い」も大きく関係していると考えられるが、それ以上に夏明ちゃんとしては「この事実を明かす事で、自分自身はそこまで後悔していないにもかかわらず、信頼できる大切な友達に対して変な気遣いをかけさせてしまうのが申し訳ない」と考えているのが大きいと捉えており、誰にとっても長い髪をバッサリ切る事がどれ程勇気のいる事なのか、その事に対して後悔はないと思い続ける事の大変さがどれ程のものなのか、その重大性を良く分かっているからこそ、この様な思想に繋がっていると考えている。

 なお、夏明ちゃんの双子の姉たる映月ちゃんにしても、夏明ちゃんがひしひしと感じていた事情は彼女なりに分かっていると思われるが、それでもこの事実を打ち明ける事に戸惑いを見せなかったのは、映月ちゃんとしては「信頼できる大切な友達相手だからこそ、その様な過去を戸惑いなく話せた」という事情があった様にも感じている。但し、今月号を見る限りでは映月ちゃんがこの過去に対してどの様に感じているのか、それが明確に分かる場面は基本的に存在していないため、断定はかなり難しいのだが、前提として映月ちゃんは外面と本来の自分の乖離が夏明ちゃん以上に激しい一面があり、自身が心を開いていない人とコンタクトをとる際には、普段の大らかで明朗な雰囲気が一転して、自身の本質を徹底して隠し、普段の映月ちゃんからは想像だに出来ない程に全く違う自分を作り上げる傾向にあるため、もしマヤメグの2人や冬優ちゃんに対して少しでも心を開いていなかった(=外面な自分として接していた)とするなら、自身にとっても多かれ少なかれ切実な想いを抱える過去を3人に対して戸惑いなく明かす事は考えにくく、故に映月ちゃんが何を考えて自分達の過去を割にあっさりと明かしたのか。その本心については分からない部分が多いのも事実ではあるものの、少なくとも映月ちゃんは「信頼出来る大切な友達だからこそ、自分達の切実な過去を明かしたのは紛れもない事実」だと言えよう。

 この様にブラバ組とマヤメグの交流は、初めて故に出だしから躓いていたブラバ組にとってその後の躍進の切っ掛けを掴んだだけでなく、ひょんなことから明かされた神沙姉妹の2人が抱える切実な過去にも触れていく意味でも重要であり、故に出だしからかなり飛ばしにかかっていると言えるが、一方で全員が同級生と言う事で、全体的に気が置けない*4雰囲気があるのもポイントであり、5人の良好な関係性が良く分かる場面でもある。その為、この序盤では僅かながら不穏な雰囲気を覗かせながら*5も、全体的には明るい雰囲気が中心的な印象が強く、5人の普段とほぼ変わらないやり取りと、そこから見えてくる各々が持つ優しさは必見である。

千夜シャロが魅せる情熱と拘り

 ここからは千夜シャロとの出逢いを書き出していきたい。ブロカントにおける千夜シャロとブラバ組の絡みは、一言で表すと最近のごちうさでは少しレアとなりつつあるシリアスとは全く無縁の明るい展開*6であり、幼馴染の仲柄を存分に発揮した軽快な掛け合いと、それぞれが持つ熱意を十二分に発揮する千夜シャロの2人と、その雰囲気に半ば呑まれながらも、ブロカントに対する確かな想いを目の当たりにするブラバ組の3人の雰囲気は、見ていてどこか微笑ましいものがある。

 そんな千夜シャロとブラバ組の絡みだが、ブロカントにおける出逢いの始まりは中々にぶっ飛んでおり、その出逢いは「ブラバ組が出店していた出品物から『お宝』を感じて、紗路ちゃんが千夜ちゃんと共に一目散に駆け寄ってくる」と言うもので、その「お宝」と言うのはもちろん、紗路ちゃんが心から好きとするティーカップもとい「陶器」*7であり、流石は陶器に対して凄まじい拘りを持っている紗路ちゃんと言った所である。因みに千夜ちゃんは登場時こそ割と平静なものの、品物の売買交渉となった途端に巧みな話術で、冬優ちゃんを見事に誘導させている場面があり、勿論すぐに紗路ちゃんによって突っ込まれていたものの、その話術の技巧さは流石千夜ちゃんと言った所であり、2人共に「やはり血は争えない」と言わんばかりに、親の影響が色濃く反映された強烈な特性を発揮していたのは印象的である。

 その様な事から、千夜シャロの2人はブロカントに「出品者」として構えていたブラバ組に対しても相当な影響を与えている。例えば紗路ちゃんは、上質なティーカップ「適正価格が良く分からないから」と言う理由で、所謂ダンピング*8と言わんばかりの破格の値段で良物を売ろうとした映月ちゃんに対して「そんな値段で売ろうとするなんて信じられない!」と言わんばかりに凄まじい剣幕と衝撃を露わにし、半ば怒りの説教と言う形で「ブロカントにおいて、良い品物を相応しい人に相応の値段で売ることの大切さ」を説いており、これに対して映月ちゃんや冬優ちゃんは、千夜ちゃん以外にはまず見せる事はなく、今回の映月ちゃんの様に年下相手になら尚更その傾向が強い紗路ちゃんが、烈火の如く鬼気迫る雰囲気を醸し出していた事におどおどしていたが、その鬼気迫る雰囲気をしてまで紗路ちゃんが熱弁をふるっていたのも、ひとえに「彼女がそれだけ物の価値(特に自身がこよなく愛する陶器)を大切に考えているから」であり、自分が心から愛する特定のものに対して際限なき情熱と拘りを爆発させているその姿は、一見何事にも冷静沈着に取り組んだり、捉えていたりしている様に見えて、実は誰よりも自分や友達が現時点で心から好きなものや、自分若しくは友達が将来的には到達したいと考えている目標に対して凄まじい情熱と拘りを持っている(=熱血)紗路ちゃんらしいものであると思うし、今回の様に時には相手を図らずも圧倒する事もあるとは言え、紗路ちゃんの事を良く知っている人からすれば、どこまでもひたむきな情熱を持ち、ここぞと言う所でそれを遺憾なく相手に伝える事ができるのが彼女の良い所なのであり、故に驚きはあっても嫌悪感は一切無かった。何と言うか、私としても最早紗路ちゃんが魅せた気迫に圧倒されたのだろう。

 また、千夜ちゃんに関しても紗路ちゃんが見せた様な血気迫る気迫は無かったとは言え、ブロカントもといマーケットにおける戦略構築の巧みさや、言葉巧みに出品者もとい相手の心を掴み取り、自分のペースにうまく誘導するだけの話術の上手さ等々に、紗路ちゃんとは別ベクトルで千夜ちゃんの情熱さ(したたかさ?)が表れており、作中では冬優ちゃん相手に冬優ちゃんが普段着として来ていたかの「ドラスティックなセンス」を感じさせるTシャツを褒めちぎり、冬優ちゃんの心を見事に掴み取り、その上で冬優ちゃんが好む感性に直接届けにいく様な喋りでますます冬優ちゃんの心を鷲掴みにさせて、終いには自分にとって有利な条件を、ごく自然な形をもって冬優ちゃんに承認させると言う凄まじいまでの口八丁*9ぶりとしたたかさぶりを見せ付けており、最早一抹の恐怖すら覚える程の喋りの上手さは流石千夜ちゃんと言わんばかりの話だが、当然ながら紗路ちゃんはそんな年下を誘導する様な流れを良しと思わなかった様で、冬優ちゃんに対して「流されてはダメ」と警鐘を鳴らしている。その為、この「これが商談における人心掌握術」と言うのを地で行く千夜ちゃんの立ち振る舞いは、私としては「この展開にはある種の毒が含まれている」とも正直思ったのだが、冷静になって考えてみれば、千夜ちゃんも冬優ちゃん相手だからこそ出来た事だと思われるし、何より千夜ちゃんは良識をきちんと弁えており、本当に人を騙す様な事は絶対にしない(と言うよりできない)人なので、必要以上に深刻に考え込むのはいささかお門違いだった気もするが、何れにしても千夜ちゃんの喋りや交渉術はそれ程までに上手かったと言う訳であり、やはり千夜ちゃんはブラバ組が設営しているブロカントにおいてもただ者では済まなかったのである。

 最早自分でも何が言いたいのか良く分からなくなってきそうだが、端的に言えば「千夜シャロそれぞれが持つブロカントに対する拘りと情熱はあまりにも凄かった」という事に尽きる訳であり、そこからベクトルこそそれぞれ違っているものの、紗路ちゃんは「ブロカントにおいて、上質な物若しくは大切な物を売る時に必要な心意気」を、千夜ちゃんは「ブロカントもといマーケットでの立ち振る舞い」をそれぞれブラバ組に向けて伝えているのではないかとも捉えており、千夜ちゃんのはブラバ組の反応が良く分からないが故に少々無理矢理な所はあるが、何れにしても千夜シャロの2人が持つブロカントに対する情熱と拘りは本物であり、その強き想いは確実に存在しているのである。しかしながら、紗路ちゃんのはともかくとして、千夜ちゃんのは「使い方を絶対に誤ってはならない。もし使い方を誤れば必ず後悔する未来が待っている。」と言う条件付きであり、考え様によってはライトながらもある種のブラックユーモアすら感じる程である。単に私が考え過ぎなだけな気もするが……。

ココチノの視察と運命の転換点

 前半最後の項目は何と言ってもブラバ組にとって多大な影響を与え、今回のブロカントにおいても大きな転換点を担う事になるココチノの2人との絡みである。ココチノとの絡みに関しては、どちらかと言えば「ブラバ組の現状視察」の意味合いがあり、故に前半では単純にココチノの2人が「お客さん」としてブラバ組の出品物を吟味する面が強いものの、後半では心愛ちゃんが「立役者」としての強みを誇示し、その後のブラバ組のブロカントの繁盛に貢献し、ブラバ組自体も大きく躍動すると言う展開を迎える事になる為、ここがブラバ組にとって大きなターニングポイントとなっているのは間違いないと思われ、名実共に重要な役割を担っているのは言うまでもないだろう。

 そんなココチノとの出逢いだが、前半ではブラバ組の出品物を割と興味津々に視察するココチノの2人が存在しており、ここでは「ブラバ組にとっての先導者」と言うより「買い物をしに来たお客さん」としての印象が強くあるが、心愛ちゃんが選んだものが「冬優ちゃんのオーナーさんが大切にしていたコーヒーミル」と言う、喫茶店に勤務する者としても、一人のお客さんとしても中々にお目が高い選択をしている一方、智乃ちゃんは例の映月ちゃん持ち込みの「拘束具」が目に留まっており、その様なものが存在する理由に神沙姉妹の2人がそれぞれ「間違えて買った」だの「ジョークグッズ」だの、冷静に考えてみても「そんな理由があるのかよ……。」となる場面は、私としても笑って良いのかよく分からなかった。ただ、この手のものは「2人してそう言っているのだから、きっとそうなんだ」と思い、場合によっては笑い飛ばしてでも受け止めておくのが吉なのは分かっているが、それを一旦立ち止まって真剣にあれこれ考えようとする辺り、私はやっぱりどこか感性がズレた変わり者なのだと思う。

 後半においてはそれまでとは毛色が一気に変わり、ブラバ組にとってこれまでの状況は正直芳しくないと言う大真面目な話になっており、ここから一気に真面目な展開になると思いきや、それを知った心愛ちゃんが取った行動が「にこやかな表情を見せ、その後突然凄まじい大声でブラバ組の出品物に掘り出し物がある事を宣伝する」と言う、シンプルながらも中々にぶっ飛んだものであり、当然ながら智乃ちゃんとブラバ組はそんな心愛ちゃんの行動に対して目が点になるまでに茫然とした様子を見せ、私としても「良くも悪くも心愛ちゃんのそういう所は高校1年生の頃と全然変わっていないなぁ。」と思ったものだが、更に凄いのはここからであり、なんと心愛ちゃんは大々的な宣伝をした直後にブラバ組に対する応援の言葉を言い残して智乃ちゃん共々その場を去ると言う、俗に言う「鬼畜和菓子」*10や「鬼畜こけし*11もびっくりの奇想天外と言うほかない行動を見せており、流石の私も「えぇ……。」と思わず困惑する展開がそこにはあったのだが、この様な行動を心愛ちゃんが取った理由として、直ぐに智乃ちゃんがフォローを入れていた様に、心愛ちゃんとしても「ブラバ組3人の事を心から全面的に信頼していたから」ではないかと考えている。尤も、今月号を見る限りではブロカントに対してそこまで自信がなさそうに感じられるブラバ組ではあったが、それでも心愛ちゃんはこれまででもブラバ組がどれ程の成長を遂げているのか、その事を良く知っているが故に「今のブラバ組なら、繁盛する状況でも適応できるだけのチームワークとポテンシャルがある」と信頼しており、故にブロカントに対してどこか尻すぼみ気味になっていたブラバ組に対して「自分達が秘めている力はとても凄いんだよ」と伝えたくて、ブラバ組を否が応でも一念発起させる様な事を仕掛けたのではないかと言う訳であり、勿論「万が一上手く行かなかった時に生じる多大なリスク」を鑑みれば、一概に称賛するのはいささか考えものだが、それでも心愛ちゃんの行動がブラバ組にとって更なる成長を踏み出すきっかけとなった事と、ブラバ組と心愛ちゃんの間にある確かな信頼関係を鑑みれば、今回の一連の流れは十分に称賛できるだろう。

 この様にココチノ2人との出逢いは、ブラバ組にとって大きな転換点となっているだけでなく、その後一気に繁盛する事になるブラバ組が展開するブロカントにおいて、3人がどの様な行動を見せていく事になるのかも重要な要素であり、故にここから毛色が一気に変化していく事になるのだが、その端境(はざかい)となるこの場面では心愛ちゃんがとにかくぶっ飛んだ行動を見せていたのが印象的であり、正直その印象があまりにも強過ぎる感は私自身否めないのだが、冷静に考えてみてもあの心愛ちゃんの立ち振る舞いがあったからこそ、その後のブラバ組の躍動にも繋がっている事と、ブロカント自体も大きく繁盛する事を思えば、ある意味当然だったのかも知れない。

ブロカントでブラバ組が得たものと一抹の不穏

 ここからはブロカントの後半部分を中心に書き出していきたい。前半では主に「ブラバ組と木組みの街の住人の絡み」が中心的だったが、後半では「繁盛したブロカントをブラバ組がどの様にさばいていくのか」にスポットライトが当てられており、故に「中盤とそれ以降では内容の趣旨がかなり違う」と言及したのだが、そんな中盤以降は心愛ちゃんによって繁盛する事になるブラバ組のブロカントに対して、冬優ちゃんが主導となって3人のポテンシャルを存分に引き出したコンビネーションを見せけていたのが印象的であり、ブロカントを通じてブラバ組の3人がどの様な成長の一歩を踏み出したのか。その事を思えば思う程、心に来るものが大きくなる。

 ただ、今月号の後半は前半には無かった「異質さ」も存在しており、それは理世ちゃんの幼馴染にして、現在はブラバでバイトをしている狩手結良ちゃんその人が見せる「雰囲気そのもの」である。結良ちゃんは言わずもがな、ごちうさの登場人物の中でも一際異彩を放つ人物であり、そのミステリアスな雰囲気と、何を考えているのか全然読み解けない行動原理は、一部の例外を除いて彼女が登場する度に途轍もない緊張感と異質な雰囲気をもたらしてきているが、その実結良ちゃんには「誰よりも人間らしい人」とまで思う程に人間味に溢れている一面があり、ある意味「不器用な人」でもあるのだが、ここではそんな狩手結良ちゃんが見せた立ち振る舞いについて考察したい。

屈託なきコンビネーション

 心愛ちゃんのシンプルながらも中々にぶっ飛んだ方法の呼び込みにより、ブラバ組の3人が展開するブロカントが一気に繁盛する事になり、3人は必然的にその対応に追われる事になったのだが、ここでは冬優ちゃんが凄まじいまでの主導権を見せ付けており、冬優ちゃん自身も意識しなければ平静を保つ事は難しい状況ではあったものの、未曽有の繁盛ぶりに混乱していた神沙姉妹の2人を励まし、冬優ちゃん自ら「冬優ちゃんが会計、夏明ちゃんが品物の実演宣伝、映月ちゃんが品物の説明」と言う形で、3人それぞれの適役を神沙姉妹の2人に指示をしている姿は正にブラバ組の柱であり、内気で大人しい冬優ちゃんが、木組みの街の住人との交流を経て新たなに身に付けてきている一面が窺える様になっている。

 その様な事から、私としては自分なりに培ったリーダーシップを発揮し、ブロカントにおいてはブラバ組の要として絶大な手腕を発揮していた冬優ちゃんに対して「彼女はなんて凄いのだろう……。」と思う事に異存は無かった。何故なら、原作8巻にて初登場した頃は、初対面の人と話す際には腹話術を用いなければ上手く会話ができないまでに人見知り且つ恥ずかしがり屋で、故に今月号で見せた冬優ちゃんの様相とは全くの別物だったからである。無論、冬優ちゃんはそこから自分にとってかけがえのない存在となった木組みの街の住人7人との出逢いと交流を経て、嘗ての自分とはまるで別人とすら思える程の凄みを会得していく訳だが、私が特に凄いと思うのは「冬優ちゃんの呑み込みと成長の驚異的な早さ」であり、彼女自身はまだまだ成長の余地があると考えているとは言え、現時点でも「最早旅行編の時の冬優ちゃんとは別人レベルに成長した」と思える程の驚異的な成長ぶりを遂げているのが只管に衝撃的なのである。

 そして、そんな爆発的な成長を遂げつつある冬優ちゃんに対して、同じブラバ組として冬優ちゃん程では無いとは言え、それなりにハイスピードで成長を遂げている神沙姉妹の2人が見せた立ち振る舞いも重要だと捉えている。神沙姉妹の2人に関しては、冬優ちゃんとは異なり繁盛したブロカントに対してどうすれば良いのか終始あたふたしていたが、その様な状況下でも、夏明ちゃんと映月ちゃん2人共に的確な指示と熱意あるリーダーシップを執っていた冬優ちゃんに対して彼女のリーダーシップ及び指示を全面的に尊重する反応を示していたのが印象的であり、これは考え様によって様々な捉え方があると思われるが、私は純粋に「神沙姉妹の2人にとっても冬優ちゃんはかけがえのない友達であり、同じブラバ組の仲間でもある」と言う、2人の冬優ちゃんに対する心に秘めた想いが見え隠れしていると感じ取っており、ここから私はこのブロカントを通してブラバ組の3人は、改めて自分達の絆が強固なものであり、お互いに助け合いながら成長していく関係性である事を認識していたと捉えている。

 尚、心愛ちゃんの呼び込みによって繁盛していたブラバ組のブロカントに関しては、最終的には冬優ちゃんの的確な指示と安定したリーダーシップによって見事大成功を収め、その後一段落した際にブラバ組3人で会話をする様子があるのだが、その会話は「神沙姉妹の2人が、心愛ちゃん達以外の木組みの街の人々にもちゃんと受け入れられていた事」「冬優ちゃんにもまだまだ可能性が秘められている事」が読み解けるものであり、前者はそれまで自分達以外の世界が殆ど無かった2人にとって、漸く見つける事の出来た新しい居場所の確立を意味し、後者は冬優ちゃんのさらなる成長の余地を意味しており、ブラバ組もとい神沙姉妹の2人が木組みの街で明確に受け入れられている事、既に飛躍的な成長を見せている冬優ちゃんも今後さらに飛躍していく可能性がある事を示唆する重要な局面だと思う。

一抹の不穏とブラバ組の絆

 心愛ちゃんの突飛ながらも熱烈な呼び込みによって、ブラバ組のブロカントは大盛況を迎えた訳だが、その様な大盛況を迎えても映月ちゃん持ち込みの「拘束具」や「人を避けるための道具」は、やはりあまりにも人を選ぶものである事が災いしてか、他の商品が全て売れた状態でも最後まで売れず仕舞いであり、3人共に諦める方向性に舵を切っていたが、そんな折に登場したのがブラバでバイトを始めながらも、その立ち位置はブラバ組3人とは全く別物である狩手結良ちゃんその人であり、彼女は何時もの様にどこか不気味とすら思える程の影たるオーラを纏いながら、ブラバ組のブロカントの中で唯一売れ残っていた「拘束具」や「人を避けるためのグッズ諸々」全てを購入していき、購入した後には、その影たる雰囲気を少しも変える事無く、ブロカントから去っていったと言う、ある意味彼女の予定調和とも言える行動を見せている。因みにブラバ組の3人の内、冬優ちゃんは神沙姉妹の2人がブラバのアルバイト採用の椅子が1つしかなかった為に、2人の仲の良さを知った店長が「2人をバラバラにする様な決断をしたくない」と言うある種の優しさを持った決断を下したのもあってその椅子には座れなかった所、結良ちゃんが後からその椅子に座った(=採用された)事*12からも、彼女の事はある程度知っていた様子を見せていたが、神沙姉妹の2人は結良ちゃんの事を全くと言っていいほど知らなかった為、彼女の事を「良い人」だと称していたのは印象的である。尚、結良ちゃんは本当に「良い人」な側面もあるし、少なくとも「根っからの悪人ではない」のは紛れもない事実だが、如何せん普段見せている性質が性質なので、どうしても歪んで見えやすい傾向がある。

 この様な展開を見て私が気になったのは、勿論と言うべきかやはり「狩手結良ちゃんが見せたダークな雰囲気」であり、単純に考えてみてもその何を考えているのか全く分からない雰囲気は正に彼女の十八番と言うべきものだが、結良ちゃんは何も四六時中ダークな雰囲気を帯びている訳では無く、寧ろ普段の彼女は(掴み所が無い点を除けば)そこまで逸脱した雰囲気を持った人物ではないことから、私としては「何故今回は終始ダークな雰囲気を帯びていたのだろうか」と、やたらと気になって仕方なかったのである。そして、今月号の結良ちゃんが終始影たる雰囲気を帯びていた事に対して、私は考察の末に2つの見解を持つに至り、1つ目は「冬優ちゃんひいてはブラバ組にとって結良ちゃんはまだまだ未知の部分が多いから」と言うもので、2つ目は「結良ちゃん自身が誰にも染まらない独自の立ち位置と世界観を貫き続けているから」と言うものである。

 1つ目の見解から説明すると、1つ目は今月号の結良ちゃんは最終コマを除いてブロカントにおけるブラバ組との絡みしか登場していないのに着目し、ここから「今月号で結良ちゃんが見せた雰囲気は、殆どがブラバ組から見た結良ちゃんのイメージ」と言う性質を持ち合わせている事が前提として、神沙姉妹の2人にとって結良ちゃんとは殆ど面識がなく、冬優ちゃんは同じバイト先と言う事もあって面識はあるものの、心愛ちゃんや智乃ちゃんとは何もかもが違っている事もあって、警戒心が解き切れない存在である事から、ブラバ組の3人共に「結良ちゃんとの絡みが少ない(若しくは内面が窺い知れない)が故に素性が良く分からず、故に3人共に多少なりとも彼女に対して影たる雰囲気を帯びている様にも感じられる」と考えられる事から編み出した仮定論であり、端的に言えば「ブラバ組3人にとって結良ちゃんは素性が知れない部分が多い事から、その掴み所のない行動と雰囲気がどこか影の属性たるものに見えた」と言う訳である。

 2つ目の見解は、結良ちゃんはこれまでにも心愛ちゃんや理世ちゃん達とは一線を画す様な言動や立ち振る舞いが多かった事からも、彼女が他の木組みの街の住人とは一線を画す様な価値観を持っているのは明白な中で、ブラバ組に対してもその様な影たる雰囲気を崩さずに現れた事によって、結良ちゃん自身「心愛ちゃん達とは一線を画す価値観と立ち位置を保ち続ける事を暗示している」と言う仮定論である。抑々論として今月号時点においては、結良ちゃんとしてもブラバ組3人の事はまだまだ知らない事が多いと思われる中で、結良ちゃんが上記の様な異質な雰囲気を見せたと言う事は、彼女自身が持つ「心愛ちゃん達とは一線を画す様な立ち振る舞い」をブラバ組に対しても見せる意思がある事の証明とも考えられる訳であり、良くも悪くも「結良ちゃんの一線を画す雰囲気はなくならない」と言う訳でもある。

 ここまで私が今月号の結良ちゃんに対して考察した内容を2つ書き出したが、1つ目と2つ目どちらをとるにしても「結良ちゃんの価値観や雰囲気は、心愛ちゃん達のそれとは全くもって異なっているのを示唆している側面がある」と言うのが共通点として存在しており、この事からも今月号で結良ちゃんが見せたダークな雰囲気を私自身「何者にも染まらない独自たる雰囲気や価値観を持ち、尚且つそれを貫き通そうとしている事の表れ」と捉えている訳だが、結良ちゃんはごちうさの登場人物の中でも、おっとりしつつもミステリアスな雰囲気を纏う青山さんと並んで特に素性が掴みにくい人物*13である為、果たしてこの様な見解がどこまで真相に迫れているのかは私自身も良く分からないのが実情である。しかしながら、学生組の中でも特に異質な雰囲気を持つ結良ちゃんの雰囲気は決して無視できるものではない事は明白であると私自身考えており、故に今月号だけでブラバ組と結良ちゃんの関係性を断言は難しいとは言え、それ故に今後の「ブラバ組と結良ちゃんの絡み」は目が離せないとも言えよう。

 そんなブラバ組と結良ちゃんとの絡みだが、今月号においては「結良ちゃんがブラバ組のブロカントの出展物の中で最後まで残っていた品物を買ってくれた人物」と言う事もあってか、神沙姉妹2人からの心証はとても良かった訳だが、それにより映月ちゃん持ち込みの物が遂に本人の手元から離れた事を意味する為、その事に対して心配を思う心情を冬優ちゃんから投げかけられているが、映月ちゃんからしてみれば、例のグッズは「自分を尖らせてみせるため(早い話がグレる)に買ったもの」であり、それは映月ちゃんもとい神沙姉妹の2人にとっては「人間関係の事で変に傷つかないようにする為の防衛手段」を意味する為、変に自分を偽る必要性もなくなった今の自分達にとっては最早いつまでも取って置く理由がなくなっているのは明白であり、故に今回売りに出して、結果的に自分の手元から離れて次の持ち主に受け継がれた事に対しても寂しい感情は全く無く、寧ろ「過去の悲しき自分を象徴するアイテムを断ち切る事ができた」と言う意味でも、映月ちゃんは晴れ晴れした気持ちを抱いていたとすら思えてくる。

 ただ、そんな映月ちゃん御用達の「拘束具」含めた「映月ちゃんの尖った意思を反映させたグッズ」を結良ちゃんが買っていた事実はそう簡単に流せるものでは無い。何故なら、ここでも映月ちゃん理論を適用するなら、結良ちゃんが例のブロカントで映月ちゃんが持っていた「拘束具」諸々を購入していったと言う事は、それだけ彼女には親しき仲柄の人物を自分のものだけにしたいと言う、所謂「親密な人物に対する独占欲」があるのを意味しているとも考察できるからであり、これに対して作中では「冬優ちゃんが神沙姉妹の2人を手懐ける結良ちゃんを想像して、彼女に対する警戒心を更に強める」と言う展開があるが、私としては結良ちゃんが手懐ける(或いは操り人形)対象としているのは、寧ろ彼女にとっての幼馴染である理世ちゃんの方なのではとも考えており、確かに結良ちゃんが神沙姉妹の2人を手懐けるのも可能性としてはなくはないが、結良ちゃんは「育ちの経緯故に親密な関係性に対して多少なりともコンプレックスを抱いている節がある」ため、彼女にとって幼馴染と言う特別な関係性にある理世ちゃんの事を束縛しようとしていると考えるのが自然な流れではないかと思い、この様な見解に至った訳である。しかし実際には作中においても「結良ちゃんは必ずこの様な未来を辿る事になる」と確証をもって言及されている訳では無く、私としても「確証は正直どこにもない」ため、言ってしまえばこれらは所謂取り越し苦労なのかも知れないが、現状では「否定するにしろ肯定するにしろ、それを確約するだけの証拠が十分にない」事もあって、何度も言う様にたとえそれが取り越し苦労だとしても、この「否定も肯定もできない」が故に頭のどこかで「もしかしたら……!」と言う想像が絶えないのである。

 因みに例の「拘束具」一式を買っていった結良ちゃんだが、その日の夜に理世ちゃんに見せびらかして、彼女をビビらせると言う一幕があるのだが、ここでも結良ちゃんはあくまで「ブラバの面接に落ちたっぽい2人がいたから助けた」と言っており、これにより結良ちゃんは神沙姉妹の2人の事をある程度知っている可能性が浮上した訳だが、何れにしても彼女は「人助けの為に買ったまでであり、別に変な趣味は全く持っていない」という事なのだろう。ただ、当の理世ちゃんはその辺の事情を良く知らないが故に、完全にドツボにハマっており、それ故に結良ちゃんの話に聞く耳を持つ余裕が無かった為、どこか心配にもなってくるが、そんな状況下でも結良ちゃんは理世ちゃんに対して彼女を嗾ける様な事を発しているので、やはり深く考えても取り越し苦労に終わるだけかも知れない……。

 この様に結良ちゃんの行動をめぐっては、ブラバ組もとい冬優ちゃんの見解に代表される様に多少なりとも不穏な見解もなくはないのだが、その一方でブラバ組が出展したブロカントが大成功の内に幕を閉じたのは紛れもない事実であり、その際に神沙姉妹の2人が冬優ちゃんに対して「私達の個性を考慮した指示をしてくれた事に対して、驚きつつも喜ばしそうな感情を表していた」のが特に印象的である。何故神沙姉妹の2人がこの様な事を発したかと言えば、言わずもがなではあるが、「2人には双子故に見分けがつかないと言われていた過去があったから」であり、夏明ちゃんが髪をバッサリ切ったのもそれに起因しているのだが、そんな中でも冬優ちゃんは2人の事をしっかり理解した上で、それぞれの特性に合った形で的確な指示を下していたため、それが2人にとっては何よりも嬉しかったのだと考えている。尤も、冬優ちゃん自身は「心愛ちゃん達が来てくれなければ不可能だった」と謙遜しており、実際に心愛ちゃん達が来てくれたからこそ、冬優ちゃんは一歩を踏み出す勇気が持てたと思う事からも事実だと思われるが、それでも冬優ちゃんが2人の事を内面からしっかり理解しようと思わなければ、双子である神沙姉妹の2人に対してそれぞれの個性や特性に合った的確な指示を下す事は、例え心愛ちゃん達の存在があったとしてもまず不可能である為、冬優ちゃんが言う様に「心愛ちゃん達の来訪があったからこそ」なのは前提だとしても、冬優ちゃんの心の中に夏明ちゃんと映月ちゃんそれぞれをしっかり理解しようとしていた自分がいたからこそ、今回の様な事ができたのは紛れもない事実だと言えよう。

3.あとがき

 以上がきらま2022年7月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察である。今回は先月号に比べると圧倒的なまでの衝撃的な展開は控えめとなっていたが、代わりにブラバ組の軌跡と成長がブロカントを通してはっきりと分かる回になっており、それ故に今月号も先月号と比べて、別ベクトルながらも全く遜色ないインパクを私自身感じ取っており、ブログ記事自体も今月号の方が文量が多い程である。とは言っても、先月号のインパクトは相当なものであった為、甲乙つけ難いとは正にこの事だと思う。

 今月号はブラバ組中心にして、ブラバ組がかけがえのない存在でもある木組みの街の住人*14とブロカントを通じてどの様に絡みを見せ、成長していくのかが重要であるが、一方で「ブラバ組と木組みの街の住人」の関係性がかなり色濃く描かれている点も同じ位重要であり、ブラバ組を軸にしてブロカントに訪れる木組みの街の住人との絡みと言うのは、ブラバ組3人にとってはそれまで無かった経験*15でもある為に読み手にとっても結構新鮮であり、また関係性が濃縮されている事からも、読んでいて中々に重要だと思う訳である。

 また、ブラバ組3人の中でも冬優ちゃんがブロカントを通じて深い観察力、優れた洞察力、高い成長力、そして柔軟な適応力を見せていた点も印象的であり、それをもってそれまで双子故に区別がつかないと言われていた神沙姉妹それぞれの特性を上手く掴み取り、夏明ちゃんと映月ちゃんそれぞれが得意とする分野の仕事を託したり、心愛ちゃんの呼び込みによって空前の繁盛を迎えた局面においても、智乃ちゃんの励ましがあったとは言え、最後まで冷静さを失わず、柔軟な適応力をもって上手くお客さんを捌いていたりと、自然な形でブラバ組の要としての存在感を発揮していたのは見逃せないが、それらを超える程に衝撃的なのはその様な強みを心愛ちゃん達と出逢ってからたった数ヶ月で自ずと発揮していた事実であり、その成長スピードの早さはブラバ組はおろか、ごちうさの登場人物全体で見ても一二を争う驚異的なレベルだと思う程だが、更に凄いのが「冬優ちゃん自身がそれでも自分はまだまだ成長途上(未熟者)だと考えている事」で、今月号時点でも既に嘗ての自分とは比べものにならない程の成長を遂げながら、それでも自分はまだまだ未熟だと捉え、精進を決して怠らないその姿は、将来的に冬優ちゃんは何かしらの大物になるとすら思う程であるし、そうでなくても周りから尊敬される様な人であり続けると思う。

 尚、ブラバ組3人の中で誰が中心的存在なのかは人それぞれだと思われるが、私としては「人を導くだけの力を持ち、何があっても軸がブレない強さを持つ」と言う観点では冬優ちゃんが別格の強さを持っており、神沙姉妹の2人もその意味でも冬優ちゃんの事を信頼し、とても頼りにしている場面は少なくないことから、「有事の際の中心は冬優ちゃん*16で、普段も冬優ちゃんが割と中心的な存在感を持つ」と捉えているが、当然の事ながらそれぞれが信頼し合っているからこそ、冬優ちゃんがその象徴として存在しているのは言うまでも無く、その意味では「誰一人として欠かせない存在」だと考えている。

 そして、今月号においても異質な雰囲気を持ち、ブラバ組にも大なり小なり影響を与えていた結良ちゃんに関しては、今月号における行動から「心愛ちゃん達とは一線を画す価値観を持っている事がほぼ確定した」と言う意味で重要だと捉えているが、それ以前に結良ちゃんはブラバでバイトを始めたと言う経緯からも、ブラバにそれなりの関わりを持つ人物である事は明白である為、「結良ちゃんもブラバ組の一員」と言う考えもできながらも、現状結良ちゃんはブラバ組の3人とは一線を画す存在である事も気になっており、これに関しては「結良ちゃんは3人とは別学年だから」とも「抑々現段階では結良ちゃんと3人の接点が殆どないから」とも受け取れるが、何れにしても今月号で結良ちゃんは「ブラバ組の3人と接点を持った」訳であり、それ故に今後の動向次第では結良ちゃんも正式なブラバ組の一員若しくはそれに準ずる立ち位置になる可能性もある事から、結良ちゃんの今後の動向からはますます目が離せなくなったと言えよう。

 先月号と比べてもかなり膨大な文量となり、それに伴い書き上げるまでに相当な期間を要したが、これもいつ如何なる時もごちうさに対する想いが強くある事の証ともって、この感想・考察の締めとしたい。

 

 

おまけ

今回の文量は全て合わせてのべ400字詰め原稿用紙50枚分である。先月と比べてもかなり字数が増えているが、これよりも更に字数が多かった記事は沢山ある為、何とも言い難い側面はある。因みに書き切るまでにかかった期間は2週間程度であり、書き始めの遅さと多忙さも相まって今回はかなり遅いペースだった。

*1:今までがあまりにも早過ぎたとも言えるが……。

*2:ブライトバニーの社長令嬢たる神沙姉妹2人と、そのブライトバニーでバイトをしている冬優ちゃんから成る、都会から木組みの街へとやってきた3人組の通称。

*3:これに対して夏明ちゃんはかなり恥ずかしそうにしていた。

*4:気を遣わなくても良い程に仲が良いこと。

*5:尚、覗かせているとは言っても結良ちゃんの雰囲気に比べれば幾分かわいい方である。結良ちゃんがあまりにも特殊だとも言うが……。

*6:但し、考え様によっては多少毒を含んでいる展開だと言う印象もなくはない。

*7:紗路ちゃんは作品の初期の頃から「陶器を心から愛する」と言う一面があり、これ自体は旅行編で明らかとなる紗路ちゃんの両親の職種の影響と思われるが、彼女の「陶器好き」はそれを考慮しても並大抵のものでは無く、所謂「マニア」と呼ばれるレベルを軽く超えていると思われる程。

*8:採算性を無視した価格で品物を叩き売ることであり、「不当廉売」や「投げ売り」とも呼ばれる。

*9:喋りが優れていること。

*10:心愛ちゃんの親友である千夜ちゃんが持つ、悪戯(いたずら)好き且つ揶揄い(からかい)好きな一面から放たれる数々の鬼畜行動を指す言葉であり、本人には悪意のないケースが殆どなものの、純粋に悪戯や揶揄いを楽しんでいる面が見受けられる所が「鬼畜」と呼ばれる所以なのだろう。尤も、私としては言う程「鬼畜」だと思った事がないのだが、感覚が少々鈍いのだろうか。一通り書き出してみたら「鬼畜」よりも「小悪魔」の方が似合っているとは思ったが……。

*11:きんいろモザイクに登場する大宮忍ちゃんを指す言葉であり、彼女の場合悪意は一切ないのにも関わらず、客観的に見れば相手を容赦なく攻撃する言動が少なくないが故に「鬼畜」と呼ばれている。とは言っても、私としてはそんな一面もひっくるめて忍ちゃんが好きなのだが……。

*12:その事から、冬優ちゃんは結良ちゃんが神沙姉妹の2人が落ちてしまったブラバの面接に受かった事実も知っている訳だが、神沙姉妹の2人には「自分が話す事で生じるであろう彼女達が受ける精神的なショック」も鑑みて、敢えて黙る決断をとっている。

*13:尚、青山さんが大人である事を鑑みれば、学生組の中で一番素性が掴みにくいのは結良ちゃんとなる。

*14:尚、現在の高校生組及び大学生組の中で理世ちゃんだけはブロカントに訪問している描写がなく、結良ちゃんとの絡みのみ描写が存在する。また、先月号では要だった大人組も今月号は基本的に登場していない。

*15:抑々ブロカント自体、3人共に初めてなのだが。

*16:自分達の居場所を守る為なら映月ちゃんの方が行動力、度胸共に上だが、あらゆる事態に対処できる安定性を持っていると言う意味では冬優ちゃんに軍配が上がる。