多趣味で生きる者の雑記帳

現在は主にごちうさに対する想いについて書いています。

きらファンメインシナリオ第2部「断ち切られし絆」8章・最終章・外伝の感想・考察

 こんにちは。今回はきららファンタジアのメインシナリオ第2部8章・最終章・外伝を読み進める中で抱いた感想と考察について書き出したいと思います。ただ、8章・最終章に関しては、このブログ執筆時点でも実装されてからかなり時間が経ってしまいましたが、これは今まで新章を読破する度に記事を制作してきた中で、この8章と最終章だけは何故か書くタイミングを逸していたからで、その中では色々と悩む事もありましたが、この度外伝が公開されると聞いて、これまでずっと書き続けてきた事に一つのピリオドを打つべきと思い、改めて書く事にしました。尤も、結果的に外伝も公開後時間が経ってしまいましたが......。

※注意※

きららファンタジアメインシナリオのネタバレを含むものなので、その事を了解の上、読み進める事をお願い致します。また、内容も重めなので十分注意してください。また、本文中に出てくる「リアリスト」は「現実主義、写実主義」を意味するものではなく、「ゲーム内に登場する組織体」です。今回は括弧の有無に関わらず、特に脚注や注意書きが無い場合は全てゲーム内で使われる単語の意味合いを指します。

1.はじめに

「断ち切られし絆」の名を持つ、きららファンタジアメインシナリオ第2部。どの聖典にも載っていない謎の存在である住良木(すめらぎ)うつつと共に、きらら達はうつつの故郷を探す為に新たな旅に出る。だが、その道中はあまりにも悲愴的且つ壮絶な展開の連続であり、これまでも幾度となく数々の事実が明らかになってきたが、この度遂に終止符を打つ事になる……。

 特徴は何と言っても大筋を支配しているシリアスなシナリオで、その威力はきららファンタジア全体でも随一である。私はそんなシナリオを2章から7章にかけてずっとブログ記事にて感想・考察を書き続けていた訳だが、私とてこの「メインシナリオ第2部の世間体」を一切気にしないでいられる訳では無かった為、時にはこの第2部に対して迷いが生じる事もあり、8章及び最終章の記事を長らく書けなかったのもその迷いが一因にはなっている。ただ、結果として私は迷う事があっても「好き」と言う気持ちがブレる事が無かったのも事実であり、正直第2部には色々と問題点がある事も分かっていたのだが、それでも私は「どうして嫌いになれようか!」と言う切実な気持ちがあり、それは外伝まで無くなってしまう事は終ぞ無かった。やはり、自分の気持ちは裏切れないのである。

 今回はそんな複雑怪奇な気持ちを書き出すと言うより、どんな形であっても最終章を迎え、外伝も公開されたメインシナリオ第2部に対する純粋な気持ちを率直且つシンプルに書き出していきたいと思う。

2.第2部8章・最終章・外伝の感想・考察

8章・最終章・外伝自体の感想・考察

まずはこれまで同様。8章・最終章・外伝そのものについてや、そこから読み解ける事を書き出したいと思う。内容は今までの例に漏れず、重い内容が含まれているので注意して欲しい。

8章・最終章・外伝の軌跡

 8章はリアライフによってエトワリアに召喚されたクリエメイトも登場する上、メインシナリオ第2部の世界観も深く掘り下げられており、更には「きららのパスが断ち切られる、ランプがリアリスト達の支配下に置かれる」と言ったイレギュラー要素も満載と、正に最終局面に繋がっていくに相応しい章であり、時系列としては激動の展開続きだった7章から割と地続きとなっている。

 この章は前半が「リアリスト達によって奪われた人々を救出する中で、数々の困難や苦悩と向き合っていく展開」が中心となり、後半は「リアリストの幹部『真実の手』との決戦とクリエメイトの完全なる救出」が中心となっており、前半では割と絶望的とも思える展開も少なくないが、苦節あってもあらゆるものを取り戻していく流れにある後半では、うって変わって勇ましい展開も多く、各々が秘めし「心の強さ」「めげない根性」が見え隠れするのもポイントである。

 また、8章は構成上「真実の手」が揃い踏みする章でもあり、その癖のある性格は相変わらずだが、きらら達と邂逅し敗れると、人物にもよるとは言え、今まで見せなかった意外な一面を僅かながら露わにしており、彼女達の行いはどう足掻いても悪辣非道なものだった故に赦すのはかなり難しいが、少なくとも「真実の手」の面々も「最初から聖典に対する信仰心が全く無かった訳では無かった」と言える。尤も、エトワリアは聖典の力で生きる活力を得ている世界」なので、当然と言えば当然だが、外伝のシナリオを観た後では、多少なりとも見え方も変わるものである。

 最終章は8章から完全に地続きのシナリオとなっており、構成としては「8章にて逃れたハイプリスとサンストーンと対峙し、この一件にピリオドを打つ為に、きらら達は残されたクリエメイトであるかおすちゃんと、かおすちゃんの担当編集である網沢さんと共に最後の決戦に臨む」と言うものであり、この章は1章から8章と比べると、章立て自体はかなり少ないものの、内容は負けず劣らず重厚であり、特に「うつつちゃんの正体」「ハイプリスの行動原理」が明かされた点がその最たる例である。

 その様な事もあって、最終章は8章前半とは別ベクトルで痛々しい展開が存在しており、特に「うつつちゃんの正体をめぐった言動」「ハイプリスの自暴自棄な立ち振る舞い」はかなり痛々しく、後者に関しては完全に因果応報とは言え、彼女が辿った運命を考えると中々に残酷である。尚、最終的にハイプリスは全ての力を使ってきらら達に挑むも、あらゆる力を授かったきらら達の前には力及ばず、そのままあえなく敗北してしまい、サンストーンはそんなきらら達に対して、ハイプリスに先立ってきらら達を倒そうとして襲い掛かるものの、きららが持つ輝かしい力の前に最早手も足も出ず、退けられた拍子に言の葉の樹から落下してしまい、そのまま最終章の表舞台からフェードアウトしてしまうと言う、両者共に凄惨な結末を遂げている。因みにサンストーンは最終章では最後まで生死不明のまま終わってしまったが、外伝にて樹がクッションとなった為に助かっていた事が判明している。

 そして、2人との最終決戦を終えたきらら達は、多くの謎を残しつつもこの一件にとりあえずピリオドが打てた事を振り返る場面が入り、この2部にて主軸だったうつつちゃんは、同じく2部における重要人物である、スクライブギルドのギルド長たるメディアちゃんと共に暫く住む決断をし、ここで最終章はピリオドが打たれている。

 外伝は端的に言えば「リアリスト達が進む軌跡を見届ける」と言うもので、2部の事件以降すっかり改心したハイプリスが、真実の手達が元々持っていた「聖典への憎悪」を拡張する形で利用していた事を清算し、自分が進むべき事の為に奔走するのが中心的である。また、最終章終盤にて行方が分からなくなっていたサンストーンも無事だったのが判明しており、彼女もまたハイプリスの意思を添い遂げる形で穏やかな性格になっており、故に外伝はそれまでの2部とは大きく異なるテイストになっている。

 外伝においては「真実の手のそれぞれの過去」が明らかになっており、何れも大切な人に裏切られたり、信頼していた人に騙されたり、使い物にならないと理由で捨てられたりと、何れも悲惨な過去を抱えている事が判明しているが、その中でもリコリス聖典を理解できないが故に大切な人を救えなかった」と言う悲愴的な過去を持っており、真実の手が何故聖典を憎んでいたのかが理解できる訳だが、真実の手達もハイプリスの手によって新しい未来に進む決断をし、嘗ての様に聖典の破滅を目論む様子は見せなくなっており、真実の手も改心する兆しが見える様になっている。

 最終的にはハイプリスが辺境の神殿にて再び聖典を広く伝えに行く決心を胸に、辺境に向けて旅立つ場面にて終了しており、2部本編では後味の良くない終わり方も多かった中で、外伝は未来に向けて明るい終わり方を見せているのも印象的である。

うつつちゃんの正体

 メインシナリオ第2部の重要人物たる住良木うつつ。どの聖典にも載っていない謎の存在であり、本人も「名前と年齢と女子高生である事」以外は全て記憶を失くしてしまっている。その為、7章まででも部分的に正体を仄めかす様子はあったものの、彼女が何者かを断言できる要素は無かった訳だが、最終章にて遂に正体が明らかになっており、その意味でも非常に重要となっていた。

 性格は極端なまでのネガティブ思考であり、初期の頃は何かにつけて悲観的な事を述べたり、自虐的な事を述べたりする事が常だったが、きらら達と冒険を重ねるにつれて精神的に成長を遂げていき、メディアちゃんと親交を深めてからは、後ろ向きな事を言いつつも満更でもない表情を浮かべたり、大切な人には自分がどうなっても構わず突入していったりと、気丈な一面が見られる様になっていった。終盤には己の強い想いから新しい力を会得しており、彼女独特の強みが光る人物へと成長している。ただ、根暗且つ後ろ向きな所も変わっておらず、それ故に明朗快活なメディアちゃんに半ば強引に引っ張られているケースも多く、その事に対して表立っては四の五の言いつつも、本心ではメディアちゃんに対して感謝の念を抱いている事が殆どである。

 物事に対する鋭い洞察や、言葉選びのセンスが持ち味であり、彼女独自のセンスに裏付けられた語録は、高い緊張感が絶え間なく続く様になった本編終盤において「リラックスできる要素」として機能している。また、意外にも毒舌家でもあり、自分のネガティブ特性に対して余計な口添えをする者*1や、共感できない思想に目の当たりにした際に、中々に容赦がない毒を吐く事があるが、基本的には人の気持ちを鑑みる事ができる優しい人物であり、恥ずかしがり屋な性格故に普段は中々素直になれないものの、自分にとって大切な人の好意は大切に想っている。

 そんなうつつちゃんだが、最終章にて遂に彼女の正体が明らかになる。その正体は「消滅する筈だった『クリエメイト』」であり、これは聖典の世界が生み出される為には、聖典を構成する為の特殊なエネルギーを持つ事が条件であり、特殊なエネルギーを持てなかった聖典世界はやがて消滅してしまうのだが、うつつちゃんはその「特殊なエネルギーを持たなかった為に、最終的には聖典にならずに消滅する世界にいたクリエメイトだった」のである。だが、それならば何故エトワリアにやって来られたかと言えば、後述するハイプリスを今回の第2部の騒動を引き起こさせる様に唆した「混沌の使者」の手によって消滅世界から救い出されたからであり、この様な経緯から、彼女は消滅世界に居たが故の強大な絶望のクリエと、その絶望のクリエを根源としたウツカイを生み出せる能力を持っており、また抑々が消滅する運命にあった世界の出身であった為、エトワリアに来るまでの自分自身の記憶が殆ど無かったのである。その事を突き付けられたうつつちゃんは大変に絶望してしまうが、その場に居たきらら達によって再び気概を取り戻し、その後は絶望に苛まれる事無く、最後まで気丈な立ち振る舞いを持ったうつつちゃんであり続けていた。その事は彼女の大きな成長を物語っているだろう。

 メインシナリオ第2部全体を振り返ってみれば、うつつちゃんは終始ネガティブ思考且つインドア派な思想は一貫しているものの、後ろ向きで根暗だった自分を決して見捨てずに親身であり続けたきらら達と、誰に対しても明るく優しい雰囲気を見せ、うつつちゃんに対して誰よりも理解を示していたメディアちゃんとの親交を経て、最初はネガティブ思考且つ弱気であるがために勇気が出ず、本人も気にする程に情けない事になってしまうのも少なくなかったが、最終的には後ろ向きな所はあっても精神的な芯の強さを持ち、自分の大切な人の為に勇気を出せる立派な人物へと成長しており、メインシナリオ第2部における紆余曲折が、彼女を強く逞しく、そして深い慈悲を持つ人物へと変化を促したのは最早疑いないだろう。

 余談だが、うつつちゃんと彼女の親友メディアちゃんとの会話から分かる側面として、うつつちゃんは規則正しい生活が好きでは無く、それ故に夜更かしが好きで、おまけに食べ物の好き嫌いも多いのがあり、他にもうつつちゃんの独白から人参が嫌いと言う一面も明らかになっており、これでは一緒に住むメディアちゃんが多少なりとも気遣いをする事になりそうだが、性格が正反対故に気が合っている2人なので、余計な心配をする必要もないだろう。

ハイプリスの結末と未来

 リアリストの首謀者にして、聖典の世界の破滅を目論んでいるハイプリス。元々はメディアちゃんと同じ優秀な女神候補生であり、メディアちゃんとは同じ学び舎で研鑽を積む良き理解者であり、ハイプリス本人も聖典に対して深き愛を持ち、彼女は後に辺境の神殿に勤める神官として、聖典をエトワリアのあらゆる地域に届ける事を目標としていたが、ある事(後述)を境に聖典に対する考え方を変貌させていき、第2部開始時点で聖典を破滅させようと目論み、リアライフを用いた計画を実行する。

 普段は冷静な判断力と知識を持った人物であり、リアリストの首謀者として「真実の手」を率いるだけの統率力とカリスマ性を見せており、特にサンストーンとロベリアが篤い忠義心を見せているが、リコリスやスズランの様にハイプリスの事をあまり忠義していない人もいる。また、比較的気性が荒く、思想も退廃的な面々が少なくないリアリストの中ではかなり穏やかな人柄でもあり、部下の失敗を咎めず、自分がなせる事を果たしてくれればそれでよいと言った器の大きさを持っている。ただ、他方で最終章終盤にて聖典が持つ底力を見せ付けられた時、ハイプリスは怒りを露わにしながらきらら達に襲い掛かっている為、実はキレると感情が抑えられなくなる凶暴な一面を持っている様にも思えるが、後に分かる事として彼女は聖典をめぐって悲愴的な過去を抱えており、それ故に聖典に絶望した経緯があった為、視野狭窄に陥っていた当時の彼女からしてみれば「信じていてもどうせ裏切られるだけの聖典に、何故これ程の力がある!」となるのも無理はない事から、普段の冷静さを失うまでにキレてしまうのも納得は出来る。尤も、それにしては感情を爆発させすぎな様にも思えるが、それだけ彼女に燻っていた、聖典に対する怒りや憎しみは相当なものだったと言う訳である。

 計画の為ならどんな事でも厭わない強情な一面があり、メインシナリオ第2部本編でも禁呪魔法に手を出してまで聖典の世界の破滅を望んだり、過去には大切な人を失ってしまった反動から、やはり禁呪魔法や闇魔法に手を出し、問題を起こした為に辺境の神殿を追放されたりと、行動がかなり過激且つ危険な印象を受けるが、これは嘗て自身の身の回りに不幸が連続して襲い掛かる中で、彼女の中で何時しか「どうすれば誰も失わない世界に出来るのか」と言う思想に憑り付かれる様になり、その過程で過激な手段すら辞さない様になったからであり、故に過激な行動の裏には、客観的な判断を欠いた思想が彼女の中で支配的になった事と、後述する「混沌の使者」に唆されたと言う背景が大きく関係しており、そこには「最早この身がどうなっても構わない」と言う覚悟さえ見え隠れしている。

 そんなハイプリスだが、彼女は8章及び最終章と、外伝では様相が大きく異なっており、前者はリアリストの首謀者としてきらら達との決戦に臨み、決戦を制した上で自身の目的たる「聖典の世界の破壊」を成し遂げる為、聖典に対しては基本的に何の慈愛も持たず、性質も正に「悪の首謀者」に相応しい冷徹さと冷酷さを併せ持った雰囲気だが、後者は、結果的に聖典を破滅させようとしても破滅させられなかった事から、事件の首謀者として神殿に囚われた中で再び聖典に対して向き合う気持ちを見出し、嘗ての凶暴性及び冷酷さはすっかり鳴りを潜め、以前の女神候補生及び神官として聖典に対して深き愛情を持ち、何者にも分け隔てなく接する立派な人格者へと変化しており、完全に聖典を信じ切れる様になった訳では無いとは言え、元々は聖典を信じていた身でありながら聖典に疑念を抱き、一度は聖典の完全破滅を望んだ事に対する贖罪*2として、再び聖典を広める為に尽力するまでに更生している。何とも凄まじい切り替えの早さだが、ハイプリスは元々が優秀な女神候補生であり、神官になってからもその才覚で多くの活躍をしていた為、それに付随した思考力と頭を良さを兼ね備えている事は想像に難くなく、切り替えの早さもその頭のよさ故と思えば合点はいく。

 また、最終章にてハイプリスが何故元々が聖典を深く愛していた身でありながら、聖典の破滅を望む様になった経緯について女神ソラ様の口から語られており、そこからハイプリスの素性を知る事ができる。ハイプリスは女神候補生から神官になった後も聖典を布教する活動に打ち込んでいた様だが、その最中で自身の両親と、自身と同じく聖典の布教に尽力していた友人を事故で亡くしてしまうと言う不幸に見舞われてしまい、その事がきっかけで豹変*3し、やがて禁呪魔法に手を出して神殿を追放され、さながら浮浪者と化していた事が判明している。尚、ハッキリとした時系列は不明だが、ハイプリスがウツカイを生み出す力を持ち、聖典の破滅を望んだ直接のきっかけは、うつつちゃんを消滅世界から救い出した「混沌の使者」との接触にあり、混沌の使者から聖典に頼らずに強いエトワリアを生み出せれば、大切な人が理不尽にいなくなる事も無くなる」等と、ハイプリスが持つ弱みにつけ込んだ様な発言でハイプリスを唆し、それをハイプリスが承諾した事により、混沌の使者はハイプリスに対してウツカイを生み出す能力及び、聖典を破滅に追い込む為には必要不可欠の絶望のクリエを多分に持つうつつちゃんをコントロールできる様にする力を与えた事で、ハイプリスは今回のメインシナリオ第2部本編における行動を引き起こすに至ったと言う訳である。尚、これは一種のリンクと言える構造の為、2部本編にてうつつちゃんがハイプリスの会話を聞き出せた事も、混沌の使者が与えた力の副次的効果と思えば納得できる。

 一方外伝では前述の通りすっかり更生しており、女神ソラ様からの赦しを受けて、監視付きながらも以前の様に聖典を広める為の活動に勤しむ決心をしており、その前に自分がした事の清算に奔走する姿を見る事ができる。思想もかなり穏やかなものになっており、そこに嘗ての凶暴性はまるでなく、彼女が嘗ては立派な人物だった事を証明するには十分であり、外伝ではそんな嘗ての自分を取り戻した彼女を見る事ができる。尤も、それで本編の蛮行を許せるかどうかは別問題だが、本人も外伝にて本編の蛮行を反省しているので、絶対に許さないといけないと言う訳では無いが、多少なりとも配慮はすべきだろう。

サンストーンの正体

 ハイプリスが最も信頼を寄せている人物であり、リアリストの幹部「真実の手」が「右手」であるサンストーン。人と人の繋がり「パス」を断ち切る事ができる能力を持ち、メインシナリオ第2部における「パスの喪失」は彼女の能力によるものである。その為、第2部でも特に重要人物でありながら、本編では彼女にまつわる情報が少ない事もあって、リアリストの中でも謎多き人物でもあったが、外伝にてその素性が明らかになる(それは後述)。

 信頼する人物に対して絶対の忠誠心を持ち、ハイプリスを悪く言う者は例え仲間内であっても咎める事を厭わず、常にハイプリスの移行に添い遂げられる様な行動をとる事を理想としている。実力も非常に高く、常に冷静な立ち回りで隙を見せず、鋭い言動で相手の信条に揺さぶりをかけつつ、圧倒的な実力で相手を追い詰める等、正にハイプリスの右腕と呼ぶ相応しい盤石さを持っているが、他方であらゆる慈悲を捨てて強硬手段に出たり、ハイプリスが止めなければ、最早己の身がどうなってでも彼女の意向を添い遂げようとしたりする等、ハイプリスの意向を成し遂げる為なら手段を選ばない強硬さも併せ持っている。その為、ハイプリスを快く思っていない者からすれば、サンストーンも「目の敵」となり得る存在だが、サンストーン自身はあくまでハイプリスの意向を添い遂げる事を心情としている為、自分の事を目の敵にされるのはあまり気にかけていない様子が見受けられる。

 目的の為にならあらゆるしがらみを捨てられる覚悟が備わっており、本編でもきららと何かしら重要な関わりを示唆しておきながら、サンストーン本人はその事に対して(悲愴的な事とは言え)見切りを付けていたり、真実の手としてのサンストーンにとっての主君ハイプリスの為に全てを捧げる覚悟を秘めていたりと、一度捨てた物を自ら振り返らない決心の固さと、信頼する主君に添い遂げる意思の強さはリアリストの中でも随一である。しかしながら、その過程で彼女は絆さえ自身の能力で捨ててしまっている上、自身の過去を頑なに語ろうとしない性格でもある為、きららとの対面の際にきららが無意識に涙を流した事を筆頭に、目標の為に余計なものを捨てる事ができる覚悟が備わっているが故の弊害があるのも事実である。

 そんなサンストーンだが、彼女はハイプリスの側近として8章・最終章・外伝何れの章においても、基本的にハイプリスと行動を共にしており、これ自体はそれまでのメインシナリオ第2部と変わらない。そして、彼女の主な任務も「クリエメイトやきらら達のパスを切る事」及び「ハイプリスの目的を成し遂げられる様に尽力する事」が主と、ここも今までと大きく変わっている面はなく、挙句彼女は最終章終盤にてきららが持つ聖なる力にあえなく敗北し、外伝にて生還していた事が判明するとはいえ、本編ではきららに敗北した拍子に物語の舞台からそのまま脱落してしまう結末を辿っている為、彼女は本編だけでは一体何者だったのか、どの様な思想を持っていたのかを詳しく窺う事ができず、結果的に本編では謎多きキャラクターとなってしまったのだが、外伝では彼女が何者かがきちんと掘り下げられている。

 外伝においては、前述の通り基本的にハイプリスと行動を共にしているが、サンストーンとハイプリスが邂逅した時点でハイプリスはすっかり改心し、嘗ての立派な人格者だった頃の人格になっていた事から、サンストーンもそれに感化されるかの様に、本編で見せた冷酷さはすっかりなくなっており、ハイプリス同様穏やかな性格へと変化*4している。また、自分の中で割り切った過去は振り返らない性格故に、外伝においても途中までは自分の事を語ろうとしなかったが、ハイプリスと共に辺境の神殿に旅立つ前日に、きららに直接会いに行き、きららに対して自分の素性を全て話しており、ここでサンストーンの素性が明らかとなる。

 サンストーンの正体は「きららの実の妹」であり、サンストーンがきららの事を「姉さん」と呼んでいたのは「サンストーンにとってきららは実の姉だったから」で、きららがサンストーンが妹である事を覚えていなかったのは、ズバリ「サンストーンがきららとの絆を自身の能力で断ち切ったから」で、絆を断ち切った理由は姉妹で絆に対する能力が正反対だった故に、サンストーンは何時しか「自らの手で簡単に断ち切れる『絆』に対して失望の念を覚えたから」と言うものだった。尚、きららがサンストーンと出逢う度に訳も分からないまま涙を流していたのは、きらら自身も気付かない内に「実の妹とのパスが断ち切られている」と言う事実を本能的に察知していたからだと思われ、持っていた能力がなまじ正反対だった故の哀しい姉妹の運命を物語っている。

 だが、外伝終盤にてサンストーンときららは両者の計らいで、遂に姉妹の絆を取り戻し、以降は両者の間にも深い信頼関係が蘇っており、細かくは違うとは言え、きららもサンストーンも「過去と今は別」と考える性格である事から、両者の間に深い溝は存在しておらず、サンストーンがあくまでハイプリスに対して絶対の忠誠を誓っており、ハイプリスの意思を添い遂げる事が、今の彼女にとって何よりの信条としている事から、きららとの絆を取り戻した後も、サンストーンは彼女自身の意思でハイプリスについていく道を選んだ事に対しても、きららはそれをいとも簡単に承諾しており、この事からも2人が如何に良好な関係性を構成したのかが窺える。

 尚、きららは自分の両親の事も分からないと言う事情を抱えており、きらら本人としてはサンストーンが何か知っているのではと以前から勘ぐっており、サンストーンとは実の姉妹だった事が判明した事で、きらら本人としても少なからず期待を寄せたと思われるが、残念ながらサンストーンも両親の事は分からないと言う事であり、この事実は「サンストーンが両親との絆を断ち切ったのではない」と言う証明にもなるが、何れにしてもきららとサンストーンの両親の事は、この外伝においても分からず仕舞いであり、明かされるかどうかも先行き不透明であるが、それでも外伝においては、分かたれた運命を歩き続けていたきららとサンストーンが再び絆を取り戻し、実の姉妹としての絆を再び大きくさせていく運命を確立させた事に大きな意味を見出せるだろう。

8章・最終章・外伝について思う事

ここからは8章から外伝を踏破していく中で思った事を率直に記載したい。ここからも多少なりとも重い内容が含まれているので注意して欲しい。

雌雄を決する時と新たな門出

 まずは8章から外伝全体の印象について書き出したい。8章、最終章、外伝では、8章から最終章(本編)の聖典を護ろうとするきらら達神殿サイドと、聖典を破壊しようとするリアリスト達の決戦」と、外伝の「完膚なきまでに打ちのめされたリアリスト達が、自分を変える為に新たな決心と旅立ちを決意する」と言う2つに大別される事と、外伝では未来に向けて比較的明るい終わり方になっていた一方で、本編の方は最終章と事実上地続きになっていた8章はともかくとして、最終章でも締め方こそ前向きなものになっているとは言え、謎な部分が多いまま終結を迎えたが為に後味は決して良いものでは無い*5事から、本編と外伝では最早別物として捉えた方が良いとすら思う事もある一方で、本編における結末が、外伝におけるリアリスト達の改心のきっかけとなった事も間違いない為、全体的な流れとして8章から外伝は聖典をめぐって人はどの様な思想と行動を見せ、そして一連の騒動が集結した後に人は何を思うのか」と言う流れが凝縮されている様にも感じている。

 メインシナリオ第2部においては付き物でもある「シリアスさ」についてだが、結論から言うと8章、最終章、外伝共にシリアス要素は存在するし、パンチが強い要素も普通に含まれているが、それでも何れの章も他の章(特に1章及び5章)と比べれば幾分控えめと言った感じであり、これには私のシリアスに対する感覚が多少なりとも麻痺しているのもあるのだろうが、それに関してはメインシナリオ第2部自体、人間なら誰しも持っている「心の弱さ」や、容赦ない問題として付き纏ってくる「絆の脆弱さ」等々、精神的にじわじわと追い詰めにかかってくる話題が何れの章においても多かれ少なかれ含まれている為、一々過剰に反応すると身が持たなくなる事に対する防衛策として思って貰えれば幸いである。尤も、私自身シリアス展開に対する耐性が何だかんだ言っても強い事も絶対にあるのだろうが......。

 8章から最終章は、リアリスト達が聖典の破滅を実行し、1章から7章にかけて続いていた「聖典の汚染」にピリオドを打つ為にかなり過激な行動を見せている事から、云わば「雌雄を決する時」と見て概ね違いないだろうと思う一方、聖典が持つ真の力を見せ付けられ、それまでの平静さとはうって変わって狼藉を働いたハイプリスや、何を言っても最後まで聞く耳を持たなかったサンストーンを見て、私は改めてリアリスト達が如何に聖典に対して深い恨みを持っているのか、いかに聖典と言うものに失望していたのかを見せ付けられた様な気がして、リアリスト達側にも多くの非があるとは言え、一概に答えは出せない感触に駆られたものである。

 また、神殿側とリアリスト側で聖典に対する考え方が全く違う事が分かるシーンとして、ソラ様が言う「更なる絶望に苛まれる事があっても、人々にある希望の心を最大限に信用しているからこそ、希望の源である聖典は必要なもの」と、ハイプリスが言う「下手な希望(聖典の事)が更なる絶望を生むのなら、希望(聖典)そのものを根絶やしにすべき」と言うのが8章にて存在しており、両者共に聖典にはどう足掻いても限界がある事を知った上でこの答えを出している為、言ってしまえば「どちらが正しいと言える次元ではない」事になる訳だが、同時にそれは「どう足掻いても交わる事はない主張」と言う事実をただ只管に掲示させる為、ある種のもどかしさと闇深ささえも垣間見える場面だと認識している。尤も、現実問題としてエトワリアにおいては聖典=生きる為には必要不可欠な活力」とされている為、その聖典を排除したならば、その先どの様な運命が待っているかはハイプリスもといリアリスト側も知っている筈だが、聖典と己の無力さに絶望し、聖典の破滅を心から望んでいた頃の彼女からしてみれば、最早その様な運命にも躊躇する事は無かったのだろう。

 ただ、外伝では一転してリアリストの首謀たるハイプリスが改心した事と、そのハイプリスが真実の手達に新しい道を進む様に進言した結果、皆々が聖典を完全に信じ切る事ができる様になった訳では無いとは言え、少なくとも悲しみと怒りにまみれた自暴自棄な思想は鳴りを潜め、過去の贖罪及び過去の自分を変える為に新しい道を進み始めていた事から、リアリスト達が抱えていた悲愴的な過去のインパクトはかなり大きいものの、少なくとも未来が暗い訳では無いのは明確であり、人によっては外伝の展開に簡単に納得できる訳では無いと思うが、個人的には本編の内容が内容だったので、外伝はこれで良かったのではないかと思う。

謎多き者たちの正体

 次に8章から外伝と言うメインシナリオ第2部終盤の局面を駆け巡る事で明らかになった「うつつちゃんとサンストーンの正体」に対して思った事を書き出したい。うつつちゃんもサンストーンも、どちらもこのメインシナリオ第2部における重要人物でありながら、8章以前は断片的な示唆こそあったものの、ストレートに「正体」が読み解ける場面が皆無に等しく、それ故に2人共に一体何者なのか、それが分かりたくても分からないと言うもどかしい思いがあったが、この度うつつちゃんは最終章にて、サンストーンは外伝にて明確に彼女達が何者なのかを知る事ができる場面が存在していたので、それ自体は判明して良かったと思った反面、うつつちゃんに関してはハイプリスから責め苦を与えられる様な形で告げられていた為、その意味では痛々しい想いも存在したが、何れにしても「分からない」「分かる」になった事は、登場人物に対する理解を深めていく事で必要不可欠である為、総合的には「知る事ができて良かった」と思えている。

 うつつちゃんの場合は「消滅世界に居たが、そこから混沌の使者によって救い出されたクリエメイト」と言うかなり複雑な経緯持ちである事が明らかになった事と、悪用したハイプリスに問題があるとは言え、本人が望んで会得した訳では断じてない自分の能力をもって、結果的にリアリスト達にとって都合の良い様に自分の能力が利用されていた事実を知った事で、うつつちゃんが相当に思い詰めてしまう場面があった為、私としても「もしかすると自分の正体を知らない方が幸せな事もあるかもしれない」と思わなくもない。ただ、他方で彼女は8章までで培ってきた精神力で自分の出自さえも受け止め、その後もしっかり地に足ついた姿を見せ付けているので、結果論にはなってしまうが、今回のうつつちゃんの正体が明らかになった事は、同時にうつつちゃんがきらら達と旅を続ける中でどれ程の精神力と胆力を培ってきた事の証明にもなっているとも考えており、複雑な出自と自身の性格に裏付けられたような特殊能力を持つが故に、これからも多くの壁にぶち当たっていく可能性は十分にあるが、メインシナリオ第2部における旅を通じて培ってきたかけがえのない仲間達と、怖気づいてしまう事はあっても、最後は何事にも諦めずに立ち向かっていける胆力があれば、彼女の未来はきっと明るい何かが見えているものになると思う。

 サンストーンの場合は「きららとは実の姉妹関係ながら、姉とは正反対に『絆を断ち切れる能力』を持っていた事で、絆の脆弱さに失望して姉(きらら)との絆を断ち切った人物」と、こちらも中々に悲愴的な経緯持ちだが、彼女はうつつちゃんと違って「己が決めた目標の為なら迷いを捨て、過去も基本的に振り返らずに猛進し続ける」と言う一面がある上、彼女にとってその一面を存分に生かせると思える存在である「ハイプリス」が居た為、サンストーン本人だけに目を向ければ大した問題はなかった様にも思えなくもない。しかしながら、サンストーンとの絆を断ち切られたきららは、実の妹との絆を無くしてしまった事に対して無意識の内に涙を流していた為、結局の所サンストーンの決断は周りの大切な人達の心に傷を付けるものだったと言わざるを得ず、その意味で「サンストーンはとんでもない事をした」と思う訳だが、他方で外伝にてサンストーンは絆を断ち切った姉のきららに対して、今までの蛮行を洗い浚い話した上できららから赦しを受け、妹との絆を繋ぎ直す事を承知した姉から姉妹の絆を再びものにしてくれているので、いかにきららちゃんが寛容且つ器量の深い人物なのかが分かる様だが、サンストーンにとって関係が深い人物の1人であるきららちゃんが赦しているのなら、外野がこれ以上とやかく言う事ではないだろう。

精神的な弱さと強さ

 最後に8章~外伝もといきららファンタジア第2部全体にも繋がってくる「精神的な強さと弱さ」に対して思った事を書き出したい。ここで書く内容はシンプルに「根底にあるめげない部分」に関する事であり、焦点を当てるのは普段は気弱且つ極端なネガティブだが、友達の為ならどんな事でもめげない強さを持つうつつちゃんと、普段は気丈且つ冷静な立ち振る舞いだが、窮地に追い込まれた際にそれまでの冷静さを失い、怒りや憎しみの感情に流されるままに、自暴自棄とも言える行動をとったと言う意味で精神的な弱さが露呈したハイプリスである。

 うつつちゃんに関しては、第2部開始当初は比類なきネガティブ思考の持ち主であり、窮地に追い込まれた際もまだ真正面から立ち向かう事は出来ず、逃げる事を思い浮かべては更なる負のスパイラルに陥ってしまうと言う、正に精神的な弱さをもろに露呈していた人物だった。しかし、彼女はきらら達と旅を重ね、自分の良き理解者となるメディアちゃんと親睦を深め、あらゆる危険や危機を経験するにつれて、徐々に困難に立ち向かう意思や友達を守りたいと言う意思が芽生え始め、それが転じて精神的な強さにも繋がったと言う経緯がある。そして、8章以降の終盤になるとネガティブ思考こそ変わらないものの、根底には「困難に怯えても、友達の為にも逃げ出したくない」と言う意味で精神的な強さを備える一面が窺える様になった事からも、うつつちゃんは「精神的な強さを持った人」だと考えている。

 一方ハイプリスの場合は、元々は優秀な女神候補生であり、結果的に女神になる事は断念したが、それでも聖典を更に布教する為に神官になったと言う経緯の持ち主から、普段はその優秀さに裏付けられた様な精神的な強さを持っており、それは聖典を激しく憎む様になってからも基本的には変わらなかった。だが、きらら達によって聖典の底力を見せ付けられ、今まで自分が行ってきた事を否定された様な格好に陥った際、彼女は聖典をめぐって起こった不幸による怒りと悲しみの感情を抑え込む事ができなくなり、結果的に冷静さを失ってきらら達ひいては聖典を只管感情任せに罵倒し続けると言う意味で精神的な弱さが露呈しており、これに関しては同情の余地があるとは言え、それまでの聡明な彼女との落差も相まって驚きを禁じ得なかった場面でもある。

 この2つから考えられる事は沢山あるが、ここで私が思うのは「どんな人にも精神的な強さがあり、一方で精神的な弱さも持っている」と言うものであり、ごく当たり前の意見と言われればそれまでだが、うつつちゃんの様に「普段は後ろ向きだが、いざとなればめげずに立ち向かう」若しくはハイプリスの様に「普段は聡明且つ冷静だが、窮地に追い込まれると感情任せな行動に走る事がある」と言う様な具体的な例を持ち出せば、この「どんな人でも精神的な強さと弱さが共存しているもの」と言うのが当たり前の様で実は結構重要であると思えるきっかけになると考えている。

 また、精神の強さ弱さと言うのはかなり流動的な物だと思っており、強さが目立つ事もあれば弱さが露呈される事もザラにある。普段精神的な強さが見えない人でも、内側に秘めるものから確かな精神的な強さを思い知る事もあるし、反対に普段精神的に強そうな人でも、それは見せかけで本当は精神的に強くもなんともないと言うケースだってあると思う。このきららファンタジア第2部は、そんな「精神的な一面が如何に流動的であり、時と場合によって変化するものなのか」を表している面もあると考えている。

3.あとがき

 以上が今回メインシナリオ第2部8章、最終章、外伝で私が考えた事である。これらはそのまま「メインシナリオ第2部の集大成及び後日談」となっている為、メインシナリオ第2部で登場した要素が満遍なく盛り込まれており、一つ一つの火力は最大限でなくともそのインパクトは中々であり、第2部らしく最後まで油断ならない構成となっている。しかしながら、外伝ではうって変わって明るい兆しが見える締められ方になっているのも特徴的であり、結果的に最終章の後味の良くない感触を払拭する役割を果たしていると言える。

 メインシナリオ第2部には付き物と言える心の負担に関しては、8章、最終章共に5章、6章と比べればまだマシな気がしない訳でも無いが、メインシナリオ第2部の例に漏れずシリアスな描写はかなりのものである事には変わりなく、油断していると普通に痛い目に遭うし、特に最終章がお世辞も明るい終わり方とは言えない事がそれに拍車を掛ける。外伝でも本編同様正直厳しい雰囲気がある事に変わりは無いが、外伝が本編と違うのは「終わり方に希望が見える構図になっていた事」であり、本編では何かと後味が良くなかったり、結末まで重いまま終わってしまう章も少なからず存在していた為、外伝は締め方としては良かったと思う。

 この8章から外伝の感想・考察を書くにあたっては、今までの様にメインシナリオ第2部を読み進めて私が思った事を率直に書き連ねる方針は貫いた一方、メインシナリオ第2部そのものが評価の割れる作風でもあり、それに対して多少なりとも思う事があった事や、他のマンガを読み進める事を意識した事、私生活そのものも決して暇が多かった訳では無かった事から、ある程度書き進めては手が付かなくなる状態が長期化し、漸く書き終える頃には既にきららファンタジアのサービス終了が間近に迫ったタイミングにまでなっていた。えらく時間がかかってしまった訳だが、メインシナリオ第2部1章の頃からそのシリアス味溢れるシナリオの雰囲気や、決して一筋縄ではいかない敵側リアリスト達の思惑や壮絶な運命に引き寄せられるものを覚え、その惹かれゆく力を糧にする様にして、2章から外伝に至るまで毎回の様にこの感想・考察ブログ記事を書き続け、今回漸く8章から外伝までの感想・考察ブログ記事を完成にまで漕ぎ着けられたので、それだけでも本望である。

 この様な事から、メインシナリオ第2部自体世間的には賛否両論ある事はある程度の段階から知っているし、その重過ぎる作風故に受け付けられない流れが存在する事も知っている上で、私としてはメインシナリオ第2部は1章から外伝まで、一貫して何か惹かれるものがある好みな作風と捉え続ける形で今日まで来た所存であり、その想いの詳細は2章から書き続けてきた感想・考察ブログ記事にて綴ってきたつもりである。尤も、綴りゆく過程で色々と悩む事はあったし、本編の壮絶な展開に対して否が応でも煮え滾る激情的な感情を、理論的且つ冷静な形で文章に落とし込む上でどの様にすべきなのかと思う事も多々あったが、少なくとも最後まで書き続けられた事は印象深くあり、心の荷が下りる様な感覚でもある。

 最後に、私が始めた2019年から今日2023年2月に至るまで、このメインシナリオ第2部を筆頭にメインシナリオ第1部や作家クエスト、数々のイベントクエストに数々の参戦作品にキャラクターをもって大いに楽しませてくれたきららファンタジアに対するお礼の気持ちを表したい。きららファンタジア自体は2023年2月末にサービス終了が決定し、私も最終盤に来て以前ほど集中して出来る環境ではなくなってしまったとは言え、きらファンをきっかけに多数のきらら作品を知り、そこからきんモザを筆頭に心から好きだと思える作品にも出逢えたので、このきららファンタジアを追い続けた期間は相当な充足感に満ちたものであった事をもって、このきららファンタジアメインシナリオ第2部8章から外伝の感想・考察ブログ記事、ひいてはメインシナリオ第2部全体の感想・考察ブログ記事の締めとしたい。

 

おまけ

今回の文量は400字詰め原稿用紙44枚分である。このメインシナリオ第2部において結果的に最も文量が多くなったのは6章であり、今回の記事は5章とほぼ同じ文量となった。ただ、今はここまで走り続けられた事実を嚙み締めたい所存である。

*1:基本的にランプに対して痛い一言を飛ばす事の多いマッチであるケースが殆どで、更に自分に対しても毒を飛ばしてくる事も度々ある為、うつつちゃんはマッチのそういう一面を好んでおらず、マッチを呼ぶ際も彼女は名前で呼ばなかったり、基本的にマッチに対しては塩対応な所がその一例。

*2:罪を償う事。

*3:豹変した理由は語られていないが、恐らく今の聖典の無力さに怒りと憎しみを滲ませたものだと思われる。

*4:但し、ハイプリス様が貶されると怒りを隠し切れないのは依然として変わっていない。尤も、それは彼女がハイプリスの事を心から大切に想っている証拠でもある。

*5:尚、最終章を初めて観た当初は後味が良くないどころか、普通に悪いとすら思っていたものである。