多趣味で生きる者の雑記帳

現在は主にごちうさに対する想いについて書いています。

きらま2024年2月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察

 2023年も年の瀬。私は2022年に続けて、2023年でも無事に12回(12ヶ月)分のごちうさの感想・考察ブログをしたためる事が出来た。他にも「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズを、Part1「ファントムブラッド」(PhantomBlood)から、Part8「ジョジョリオン」(JoJolion)まで全て読み進めた上で、最新シリーズたるPart9「The JOJOLands」(ザ・ジョジョランズ)を読んだり、2022年に読んだ「アネモネは熱を帯びる」をきっかけに、一気にその世界に魅了された「百合マンガ」にドハマりしたりと、マンガに関しては大きな変化を遂げた年となった。

 こうして漫画の世界観を大きく広げたのは良かった。だが、世界観を広げるにつれて、ごちうさに対する熱意は徐々に落ち着いたものへとなっていき、今となってはごちうさが掲載されているまんがタイムきららMAXにおいても、ごちうさ以外の作品を読む為に買っている側面が大きくなってきた程。身も蓋もない事を言ってしまえば、「熱意が無くなりつつある」と言う事だが、この事に対して戸惑いはない。正直こうなってしまうのは「宿命」だったと考えているし、何時かはこうなると思っていた。なので、今では「この熱意を絶やさない事」を意識している。熱意は小さくなっても、完全に消え去りさえしなければ案外何とかなるもので、現にこの感想・考察ブログを書き続けていられるのは、熱意が完全に消え去っていない証でもある。

 また、世界観を広げるにつれて、マンガで心が震撼したり、恐怖に慄く機会も圧倒的に増える様になった。特に2023年上半期の終わり頃から読み始めた「コミック百合姫」に対しては、読み始めの頃から既に心震える機会が多かった雑誌だったのだが、今となっては更なる恐怖に押し潰されそうになる事さえ生じる様になり、挙句に「読みたいのに読みたくない!」「助けてくれるなら助けて欲しい!」と、百合姫を読む事が一種の恐怖と化してしまう状態にまで発展してしまった程。こうなると「痛い目に遭うと解っていて、何故あなたは百合姫を読み続ける?」となりそうだが、これはひとえに「百合が好きだから」「懸命なる想いを知って、そこから逃げる事はしたくないから」と言う想いがあるから。今月も百合姫掲載マンガ「君と綴るうたかた」にて、その衝撃的な結末に、完膚なきまでに打ちのめされていたが、それでも私は負けない。抑々として百合姫を読もうと決断したのは、他でもない「自分自身の堅牢なる意思」である以上、戻りたくても、もう戻る事は出来ないのだから......。

 ところで私がよく好きなマンガのジャンルとして「サスペンスホラー、ハードボイルド、クライムサスペンス」の3つを挙げる事がある。これらは全てジョジョの影響故なのだが、最近百合マンガにおいても、この3つの要素の何れかが含まれる展開を含むマンガと出逢う事がある為、正直物凄くワクワクする。ちゃんと「心が磨り減らされる」と言うダメージも負う訳だが、結局私はそういう要素が含まれたマンガが好きなんだと思う。故に恨むならそんな世界観を好きになってしまった自分を恨むしかない。何処まで行っても、自分が選んだ道だ。傷も後悔も、己の手でどうにかしていくしかないのだ......!

 こんな感じでマンガ道を突き進む私だが、今でもクラシック音楽は継続して好きな状態であり、12月には久々にクラシック音楽CDを購入している。その中でもお気に入りなのは、かのモーツァルト(1756-1791)作曲の「セレナード第9番 ニ長調 K.320『ポストホルン』」であり、とりわけカール・ベーム(1894-1981)指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏録音が好き。他にもモーツァルトクラリネット協奏曲 イ長調 K.622」(ベーム指揮:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏)の録音もお気に入りである。

 因みにベームと言えば、私の中ではずっとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との演奏録音を多く遺している」と言うイメージが強くあった。今回私が買った「ポストホルン」収録のCDには「セレナード第13番 ト長調 K.525 『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』」の録音も一緒に収録されており、そちらがウィーン・フィルとの演奏であった為、当初はこのポストホルンもウィーン・フィルとの演奏だと勘違いしてしまっていた。何ともお恥ずかしい話だが、今はちゃんと「ポストホルンはベルリン・フィルとの演奏!」と頭に叩き込んでいるので、勘違いはもう起こらないだろう。

 

 

 さて、ここからはまんがタイムきららMAX2024年2月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察を書き出していく。今回は神沙姉妹2人及びココチノ中心に焦点が当たった回だが、その際心愛ちゃんが映月ちゃんの姉役となり、智乃ちゃんが夏明ちゃんの姉役になる*1と言うやや特殊な構図となっている。もう考えてもしょうがないので、いっそ「今回はそういうスタンスで行くんだ」と思った方が楽と言う事で、ここではこれ以上深掘りしないが、こういう事が出来る関係性が相当に貴重なのは間違いない。

 

※注意※

最新話及び単行本11巻以降のネタバレを含むものなので、その辺りをご了解お願い致します。また、ここで書き出した推察や考察は個人的な見解です。

1.はじめに

 今回はココチノ2人及び神沙姉妹2人による姉妹交換から「姉妹と言う関係性の素晴らしさや美しさ」を説く回と言う認識が強くあり、平たく言えば「日常の延長線上にある回」と言える。尤も、このタイミングでこの様な特殊な雰囲気を纏ったお話が出てきた事には驚いたが、それでびっくりしてたって最早しょうがないだろう。

 今回の扉絵は、ギャルみたく雰囲気を醸し出した状態で、心愛ちゃんと映月ちゃんが2人仲良くお揃いの格好でポージングを決めていると言うもので、私からすれば「額面通りに分かる事以上に言える事が見つからない」となってしまったが、今回は2人の純粋な可愛さに魅了されるだけと言うのも悪くないのかもしれない。これで何か重要なメッセージが隠されていたとするなら、私はもう「お手上げだー!」としか言えんが......。

 今月号は正直話の路線が読み辛いが、強いて言えば「固定された関係性から脱却する事で、今まで見えなかったものが見えてくる」と言う印象で捉えるべきかと思っている。物々しい書き方だが、要は「姉妹関係を変化させる事で気付きを得る」と私は考えていると思ってくれればよい。正直に書くと、今月はきらまにしろ百合姫にしろ、フォワードにしろ、衝撃的な展開を内包したお話と対峙しなければならない機会が多く、それに伴い神経が磨り減る勢いも激しかった為、ごちうさに対してもあまり深く考えられなかった。故にこんな単純な見識しか立てられなかった訳である。もうどうしようもなかったのだ......。

2.購読した感想・考察

 

今月の内容に対する感想・考察

 まずは「今月号の中でも特に深掘りしたいと思った事」から書き出していきたい。今回はココチノ2人と神沙姉妹2人による姉妹交換と言う図式があり、故に「今まで見えなかった関係性や一面が見える」と言う意味で興味深いものがあると言えよう。

ココエルの図式

 最初は心愛ちゃんと映月ちゃん2人による姉妹関係について書き出したい。この2人はそれぞれ「智乃ちゃん、夏明ちゃんの姉」にあたる2人であり、ココエル2人の場合は「心愛ちゃんが姉、映月ちゃんが妹」と言う構図になっている。共におおらか且つマイペースなのが特徴であり、どちらかと言えばどっちも妹の方がしっかりしている印象もあるが、2人共に「やる時はやる」一面もある。

 そんなココエルだが、最初の導入からして強烈であり、起きない心愛ちゃんをいい事に、映月ちゃんが心愛ちゃんのベッドに潜り込んでいたと言う導入から始まるのである。これは単純に「心愛ちゃんと一緒に寝てみたかったから」と言う映月ちゃんのかわいい願望があったのだろうが、ベッドに入ってきた事に全く気付かない心愛ちゃんもちょっと危なっかしいし、心愛ちゃんにしても都合よく妹に仕立て上げようとする思考回路を見せ付けており、色々と不安になる立ち上がりではある。

 また、この姉妹関係映月ちゃんのストレート且つ忌憚のない物言いがかなり目立っており、心愛ちゃんの妹になりたいと思ったのは事実であっても、心愛ちゃんから理想の姉に見えるのかと聞かれた時はハッキリ否定する言動をとったり、姉妹でも智乃ちゃんが心愛ちゃんの事を「さん付け」する関係性にある事を心愛ちゃんが言及した際には、映月ちゃんは一切の躊躇いなく「それは(心愛ちゃんと智乃ちゃんが)本当の姉妹じゃないからじゃないの」と言ったりしており、いくら映月ちゃんが「言いたい事は割とハッキリ言う方であり、その上事実を包み隠さず述べるタイプ」とは言っても、それは流石にちょっとデリカシーと言うものが無さ過ぎるんじゃあないかと思う程。

 特に「姉妹の関係性が云々」に関しては、人によっては聞いた瞬間にたちまち「そんな事二度と軽率に言うもんじゃあない!」と、烈火の如く激怒しかねないデリケートな部分でもある為、幾ら心愛ちゃんが一時的な姉妹関係を抜きにしても確かな信頼関係で結ばれた「仲間」であり、今回に至っては「姉妹関係」を結んだ間柄とは言っても、そういう発言は流石に控えた方が良いんじゃあないかと思った次第でもある。尤も、そういう事にも切り込んでいかなければ、姉妹と呼べる様な関係性にはなれないと言う考え方もあるし、時には怒られる覚悟でそういった事情も聞かなければならない時もあるので、一概には絶対に「こういう時は○○すべし」と断言できない難しい問題ではある。

 こういう気になる点は幾分かあるが、姉妹関係自体は終始極めて良好であり、映月ちゃんが前述した様なストレートな物言いの後、心愛ちゃんの事を「姉様」と呼んで心愛ちゃんの自尊心を回復させたり、2人してパン作りに仲良く励んだりと、遠慮のない良き関係性が見えていたのは普通に良い所である。そして、この関係性で最も輝いていたのは「映月ちゃんの勇気を真正面から受け止めた心愛ちゃん」と言う構図であり、双子の妹である夏明ちゃんの為に一肌脱ぐ行動を見せ付けた映月ちゃんを、姉としてだけでなく、1人の人間として称賛していた所に、この姉妹関係の真髄が見えてくる様であった。そう思うと、夏明ちゃんの為に思い切りのいい行動を起こせる映月ちゃんは流石と言った所だろう。

チノナツメの図式

 ここからは智乃ちゃんと夏明ちゃん2人による姉妹関係について書き出したい。この2人はそれぞれ「心愛ちゃん、映月ちゃんの妹」にあたる2人であり、こちらは2人共に同い年且つ同学年である*2が、智乃ちゃんからいろいろ学びたいと言う夏明ちゃんのお願いにより、智乃ちゃんが姉役を担う事になっている。普段はマイペースな姉を持つ妹であるが故、2人共にしっかり者だが、とりわけ姉と言われた智乃ちゃんは、姉に対して憧憬意識を抱いているのが丸分かりの場面があると、年相応に無邪気な所もある。

 そんなチノナツメの2人だが、この2人組も最初から強烈な導入があり、それは智乃ちゃんの服装が俗に言う「地雷系ファッション」だった事である。智乃ちゃんはどちらかと言えば清楚系の私服を好むタイプであり、地雷系ファッションなんぞ、自らの意志で手に取る様な人ではなく、今回地雷系の服を着ていたのも映月ちゃんからの借り物だそうで。そうなると「映月ちゃんってそういう地雷系ファッションを好む趣味もあるんだ」とならなくもない*3が、実際に智乃ちゃんの地雷系ファッションを拝見した所、私としては「思いの外様になっていて可愛いと思った」と言うのが正直な所である。何と言うか、ちょっと別物にはなるが、地雷系ファッションが似合う智乃ちゃんなら、ゴスロリファッションも似合うんじゃあないかと思った程であり、智乃ちゃんのコーディネートの新たなる視点を目撃した様な、そんな気がしてならなかった。

 この姉妹がメインに行った事は、木組みの街で根付いている「シスト」*4であり、作中でもこれまで何度も描かれてきた。その難易度は物によってまちまちらしく、今回のシストは難易度が高い方だったらしく、苦難の末に残念ながら宝箱の場所までたどり着く事は出来なかったそうだが、それでも「姉だからと言って『つねにちゃんとしなちゃ』と気負い過ぎなくてもいい」「姉を支えてあげるのも妹の務め」と言う夏明ちゃんの助言もあって、結果的にシストを通じて「姉と妹」の関係性の在り方を熟考していくにあたって、大きな糧となる経験が出来たと見ている。

 また、この2人は基本的にしっかり者なので、今回のお話においては心愛ちゃんと映月ちゃん程インパクトのある展開を起こした訳では無い。しかしながら、智乃ちゃんが珍しく夏明ちゃん相手に呼び捨てで話しかけたり、普段は無いレアな関係性に多かれ少なかれ浮足立っていたりと、この2人とてココエルと同じ様に姉妹交換を楽しんでいる様子が解るのが良き所と言えよう。

 

今回の内容について思う事

 ここからは主観的な展望や想いを強めた内容を書き出したい。今回は今まで程特別な想いを抱いた訳でも無い上、今月は百合姫にて己の心情を砕かれかねない程の衝撃を受けた事もあって、正直ごちうさに対してあれこれ考える程の余裕はなかった。ただ、例の如く「百合」の雰囲気を感じる場面があった事や、あれこれ考える余裕は無くとも、全くもって考える事ができない訳でも無いので、書きたい事はちゃんと書けると思う。

イレギュラーな構成と一面

 姉妹交換を筆頭に、普段なら絶対見られない一面を多く拝見する事が出来た事。それが、今月号を読んだ後に最も印象に残った事だった。これが、仮にもごちうさを単行本で読み始めてより5年、きらまでも3年以上連続して読み続けている人の感性なのかと言われるかもだが、単行本1冊分ならいざ知らず、1話1話毎に前回、前々回の様な重厚な感想を書けるだけの感性を働かせ続ける事は、正直言って無理に近い事なのだ。もしそれが可能だとするなら、それ自体は「一種の才能」だと思って良い。こういう事は誰しもが出来る事では無いのだ。

 こんな事を言っているが、特定分野に対する見解の深さなら案外何とかなる。一例をあげるとこの後書くつもりである「百合」や「好きなマンガに引っ掛けた内容」等であり、最近はそういう事ばかりやっている節が強くあるが、これで何とかなるなら御の字である。今回はそれで「姉妹交換」から見える意外な一面に着手した訳だが、個人的にその様な流れから気になった一面は、何と言っても智乃ちゃんの地雷系ファッションと、映月ちゃんの良くも悪くも一切物怖じしない発言だった。前者に関しては、単純に「可愛い」や「思いの外似合っている」と言う好意的な意見を投げかける事が出来たが、後者に関しては、内容が内容だけにちょっと難しい所だった。

 映月ちゃんの「言いたい事はハッキリ言う」一面は、決して嫌いじゃあないし、目的の為ならどんな困難でも乗り越えようとする行動力の高さと決心の強さも好きなのだが、今回の「ココチノ2人の関係性の核心を突きかねない発言」は、流石に本気でマズイんじゃあないかと思った。確かに映月ちゃんの問いかけた内容は、客観的に見て「事実は事実」だし、間違った事は何一つ言っていないのもそうなのだが、それらを考慮しても尚、聞き方があまりにもストレート過ぎるし、悪意は無くてもそれがきっかけで禍を招いてしまう可能性も十分ある為、今回は角が立たずに収まったとは言え、何でもかんでもストレートに聞くのも些か考えものだと思った。ただ、私自身映月ちゃんのストレートな物言いが悪いと言っている訳では無く、TPOさえ弁えれば長所になると言う事で、彼女には「言いたい事はハッキリ言う一面をうまく活かしてほしい」と思っているので、ここは勘違いしないで欲しい。

 他にも私がイレギュラーだと思った一面は、ココチノ2人と神沙姉妹2人が姉妹交換した事を知って、嫉妬心を剥き出しにしていた冬優ちゃんであり、この際冬優ちゃんは普段の彼女からは想像できない程の流暢さで、姉妹交換の詳細を詰問しようとしていたのが印象的だった。尤も、冬優ちゃんは以前から何かと嫉妬心を見せ付ける事はあったので、嫉妬心を見せた事自体はさほどイレギュラーではないが、嫉妬心の見せ方が明らかに「ずるい......、ずるい......、私だってそんなことやりたい......」と解るものなのが、個人的にはちょっと怖かった......。

恍惚させる百合の魅力

 思わず心奪われてうっとりする事。恍惚とはそういった事を表すと言えば良いだろうか。つまりこの小題は、今回描かれた百合によって思わず恍惚めいた心情を書くと言う事で、言ってしまえば「百合のこじらせ話」ともなる訳だが、それも多くの百合マンガに触れて、百合の魅力に感化された者の宿命と言う事だろう。

 今回ごちうさを読む中で、私は「これは百合の魅力を感じる!」と強く思ったのは、姉妹交換をした一日を終えたココチノ2人が、2人でその日あった事を話し合う流れから発展して「お互いの事を試しに呼び捨てで呼んだ事」であった。元々百合マンガにおいては、それまで上の名前で呼んでいたのを、ある事をきっかけに下の名前で呼ぶ様になる事や、口調が敬語からタメ口に変わる事、呼び方に敬称が無くなる事(ココチノ2人の例)等々が現れる事に対して、個人的には正に「距離感が一気に縮まり、相手に対する『好き』と言う気持ちが大きく膨れ上がった事の証」だと思っていて、今回ココチノ2人がやった事は、その筋書きをもろ則るものであった為、そう思うのは必然だった様にも思う。

 しかも、その際心愛ちゃんは余裕溢れる表情だったのに対して、智乃ちゃんは明らかに照れを隠し切れない表情を浮かべており、その表情とセリフ回しは、正にガチの百合マンガ若しくはGLマンガを彷彿とさせるものであった為、これで百合を思い浮かべないと言うのが無理な話だった。その後、2人共に顔を真っ赤にして必死に取り繕った様な言葉を並べているが、そのやり取りも初々しさを感じる百合であるのも良き所。ココチノ2人は、現時点でもう2年以上一緒に暮らしている訳だが、基本的に2人はお互いを呼び捨てで呼び合うなんて事は無かったので、あんな初々しい反応になるのも納得できる。

 これら一連の百合を見て、私は当然の事ながらその魅力に恍惚めいた感情を覚え、そして惹き込まれた。元々ごちうさに対しては他の作品、例えば私にとっては百合の魅力を教えてくれた作品であり、今に至る百合好きのきっかけを作ってくれた、フォワード掲載のマンガにして、学生王道百合展開が心惹くアネモネは熱を帯びる」や、目を背けたくなる様なSMプレイや悲愴的な描写の数々が、背徳感と緊張感、そして恐怖感を際限なくそそり、お互いにお互いの事を罵り合っても、結局はお互いに離れる事なんて出来ないと言う、共依存と倒錯*5した感情に満ち溢れた百合と言うなら他の追随を許さないと思う程の魅力があり、私にとってはこの作品がきっかけで、百合マンガひいてはマンガそのものの好みさえ多大なる影響を与えた、百合姫コミックスの「きたない君がいちばんかわいい」等々に比べれば、百合の魅力を探す事に重きを置いていた訳では無かった。

 しかし、時間の経過とともに百合が持つ魅力にハマり、それに伴い百合を示唆する様な描写を見付ける審美眼(?)なるものが鍛えられるにつれて、ごちうさに対しても百合の魅力を見出す事に躍起になる様になった。実際、私がごちうさに対して百合の魅力を見出した例として、今月号におけるココチノ2人のやり取りだけでなく、直近のリゼユラ2人のやり取りも挙げられ、故に2ヶ月連続して「百合の魅力について書き連ねる」みたく、百合好きとしての感情をこじらせる事になっている。後悔は全く無い。ただ只管に「自分が書きたいと思ったから書いた」と言うだけの話である。

 

3.あとがき

 以上がきらま2024年2月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察である。今回は日常の雰囲気をベースに、姉妹交換と言う中々突飛な発想が乗っかっているお話なので、正直捉え方には困ってしまった。ただ、突飛な発想とは言っても、結果的には普段だと中々お目には掛かれない一面を見る事が出来たし、他にも2ヶ月連続にはなるが、今月も百合の雰囲気をごちうさでも堪能できたので、満足度そのものは高い。これできらま、百合姫フォワードの3つによって心を砕かれていなければ、もっと内容を洗練できた可能性はあったが、もし心を砕かれていなくても、結局はあまり変わりはなかった様な気もするので、どちらにしても「これが私の運命」だったのかもしれない。

 因みにきらま、百合姫フォワードの3つによって私の心が砕かれたと言う事で、ジョジョPart4「ダイヤモンドは砕けない」(Diamond is Unbreakable)のラスボス「吉良吉影」のスタンド「キラークイーン」が持つスタンド能力に準えて、心砕いた三つの雑誌をそれぞれ「第一の爆弾」「第二の爆弾(シアーハートアタック)」「第三の爆弾(バイツァ・ダスト)」として捉えると言う、半ば冗談めいた事を思ったりもしている。尚、この3つの中で最もダメージが大きかったのは百合姫であり、次いでフォワード。きらまは最もダメージが低かったものの、そのきらまを最初に読んだ事もあって、後々めちゃめちゃきつい思いをする羽目になってしまった。一応、フォワードは発売がこの3つの中では最後なのでこれは致し方ないが、百合姫ときらまは百合姫の方が1日違いながらも発売が早いのだから、これに関しては何とかなったんじゃあないかと思う所。まぁ、結局はハードボイルド色全開の過酷な運命を先に見るか後に見るか。どちらであってもその先に待つのは「地獄を見せられ、絶望の淵に叩き落される未来」に変わりは無いのだが......。

 ハードボイルド色全開による過酷な展開によって地獄を見せられ、絶望に叩き落されるとは書いたが、今回フォワードにて連載されている薪窯のパンドラ」と言う作品を読んだ際、新手の「しんどいと思うパターン」に遭遇している。それは「地獄に叩き落す程の絶望は無いが、ギスギスした展開の連続によって精神的にじわじわ追い詰められていく」と言うもので、不穏な雰囲気が小出しになって絶えず襲い掛かってくると言う意味では、一気に絶望の淵に叩き落されるよりダメージが大きいとさえ思う程。

 ただ、ギスギスしがちな雰囲気になってしまっていた背景はちゃんと描かれているし、その理由を鑑みたら「これはしょうがない......。時にはこんな日もある......」とは思えるし、今回のお話はそういう「何をやっても上手くいかない不調の日」をコンセプトにして作られていたとも考える事もできる。しかしながら、それを加味しても尚、今回のギスギスぶりは流石にマズイと感じる程だった*6ので、思わぬ角度からダメージを受ける格好になってしまった事も相まって、流石にビビってしまった。とは言っても「薪窯のパンドラ」にてここまでギスギスした雰囲気が描かれたのは今まで殆ど無かったし、繊細な心理描写を多分に含むとは言え、基本的にはわちゃわちゃした雰囲気が中心のマンガなので、次回には多分ギスギスも解消されているんじゃあないかと思っている。後、色々言っても面白いマンガなので、フォワード系統のマンガが好きな人は是非、パン屋さんを通じて繰り広げられる物語を読んで見て欲しい。今月の様にビックリするお話もあるが、基本的にはサクサク読み進められるマンガなので。

 最早自由気ままに書き綴っているが、今月はごちうさ以外の作品に神経を切られており、ごちうさにおいては姉妹交換に係る意外な一面や、それに付随した今までにない雰囲気の百合を見るのが精一杯みたいな所があった為である。ただ、もしごちうさに集中を注げていたとしても、今月の内容からでは先月や先々月の様な重厚な内容を書き出すのは難しかったと思われ、それは「毎月全力を出し続けられる訳では無いから」のと、今月で描かれていた内容には「これまでのごちうさを読む中で、何度も書き出してきた内容も多くあったから」いう言い訳はさせてもらうが、歯がゆい結果に終わったのは己の責任にあると言うのは、当然認識している事実である。

 2023年最後のごちうさ感想・考察記事は、きらま13作品分、百合姫11作品分をそれぞれ3時間以上かけて読み終えた後に書き始め、その途中でフォワード14作品分にして、2話掲載分を計上した合計15話分を4時間かけて読んで、作品数にして40作品弱、時間にして10時間以上かけてマンガを読み切った末に完成させている。尚、百合姫フォワードの間には、フォワードを読む前に「これだけは読んでおきたい!」と思っていた、私が大好きな百合マンガ「アネモネは熱を帯びる」の単行本6巻を読んでおり、正に「マンガずくめ」な数日だった。こんな感じで、残りの2023年ひいては2024年も走り続けていく所存なので、拙い所も沢山ある私だが、どうか宜しく頼む。

 

 

おまけ

今回の文量は、400字詰め原稿用紙のべ28枚分である。今回は2023年最後の記事にして、内容を書き出すにはとても苦労した。ただ、筆自体は早い方で、20日に執筆開始してから4日程度で完成に漕ぎつけている。尤も、書き出そうとしても頭が働かずに苦労したり、前述の様にどの様な内容を書くか。それが曖昧だった事もあって、このくらいの日数が限界だった節はあるが......。

*1:簡単に言えばココチノ2人が姉、神沙姉妹2人が妹。

*2:ココエルの場合は、心愛ちゃんが映月ちゃんよりも2学年上。

*3:尤も、映月ちゃんの趣味趣向がかなりクセモノなのは、以前から散見されていた事なのだが......。

*4:端的に言えば「宝探し」と「宝交換」を混ぜた様なゲームであり、地図を頼りに宝箱を探し、宝箱を見付けたら、その中に入っている宝物を1つ貰える代わりに、自分が今持っている一番の宝物を宝箱の中に置いていくと言うもの。簡単に言えば「宝物の交換」である。

*5:社会的な規範から外れた嗜好を示す事。

*6:しかもそこまでマズくなった原因が、正に「火に油を注ぐ」格好となってしまった不用意な発言や、不調故のイライラが発端となった、必要以上に居丈高な発言に大きな関わりがあるので、それがまた......。