多趣味で生きる者の雑記帳

現在は主にごちうさに対する想いについて書いています。

きらま2022年12月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察

 こんにちは。ここ数カ月は新しいマンガを読む事を心情として、「アネモネは熱を帯びる」・「しあわせ鳥見んぐ」・「紡ぐ乙女と大正の月」・「ななどなどなど」等々、主にきららマンガを読んでいますが、10月中旬に直近数ヶ月で一気に熱意が湧き、10月から第6部「ストーンオーシャン」のアニメ2クール目が放送開始された「ジョジョの奇妙な冒険」の単行本1巻から20巻*1を一気に購入し、順番に読み進めた事により、私の中でジョジョ愛が一気に高まってきています。やはりジョジョは凄く面白く、読んでいて堪らないのです。

 さて、今回はまんがタイムきららMAX2022年12月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察を書き出したいと思います。今回は先月号終盤にて唐突に明かされた「心愛ちゃんの実家帰省宣言」に係る「ココチノ2人の実家帰省」から物語がスタートしており、その過程では「各々が秘めし心情と展望」と「未知たる道筋を歩む発端」が特に重要だと認識しているので、今回はその2つを軸にしつつ、割とフリーダムに書き出したいと思います。

※注意※

最新話及び原作10巻以降のネタバレを含むものなので、その辺りをご了解お願い致します。また、ここで書き出した推察や考察は個人的な見解です。

1.はじめに

 今回のお話は前回の終盤にて唐突に明かされた「心愛ちゃんの実家帰省宣言」の流れを汲むものであり、前回にて実家に向けて出発した心愛ちゃんと智乃ちゃんの2人が、心愛ちゃんの実家で色々な事を確かめ合う事が主軸となっている。また、今月号にて心愛ちゃんの姉であるモカさんが久々に本格登場しており、モカさんと心愛ちゃんが見せる姉妹のやり取りは、2人の関係性ひいては作品全体の信条にさえも大きな意味を投げかけている。

 今月号の扉絵は、まるで童話に出てきそうな緑溢れる雰囲気の中で、これまた童話にありそうな服装の智乃ちゃん、心愛ちゃん、そしてモカさんの3人が一冊の本を一緒に見ていると言うもので、モカさんを中央にして、正面から見て左側に智乃ちゃん、右側に心愛ちゃんが、それぞれモカさんに寄り添う様にしているのが、恰も2人にとってモカさんがどの様な存在であるのかを暗示している様にも思えてくる、何処かメルヘンチックで不思議な扉絵である。因みにモカさんの頭についているお花にも意味はある様だが、お花に対する関心が無い訳では無いとは言え、ガーデニングにてお花を見ても、単純に「このお花は綺麗」だの「このお花は刺々しい魅力があり、その魅力は差し迫る絶対的な恐怖すらも与える」だの、ハッキリ言ってお花に対して全然明るくない(詳しくない)事が露呈している私が、お花に対する幅広い知識と教養を必要とするものを分析しようとすると、「デタラメばかりの全く信用ならない解説」となってしまうのは火を見るよりも明らかなので、その分野に長けた人に譲りたい。

 今月号ではそこかしこに「各々が持つ信条を分かち合い、そして確かめ合う物語」と言うテイストが存在していると私自身認識しており、それは単純に「心愛ちゃん達は相互作用的にお互いを感化し合い、そして高め合う」というメッセージが込められているのもそうだが、一番大きいのは「例え思い描いていた想像図と現実が違っていても、その意思を頭ごなしに否定せずに、全面的に受け容れるだけの覚悟と優しさが各々に備わっているのが証明された事」であり、特に心愛ちゃんの姉として、若き一人のパン職人として先導するモカさんがその様な信条を持っていた事に強烈な意味があると考えており、今回は割とフリーダムに書き出すつもりでいるが、その「信条」の部分は真面目に書き出したい。

2.購読した感想・考察

今回の内容全体の感想・考察 

 まずは「今月号全体について及びそこから読み解ける事実」を中心に書き出していきたい。ざっくり言えば「硬派」な項目である。

実家帰省と新たなる成長の軌跡

 今回は冒頭から完全に「実家帰省編」に突入しており、それ故に先月号にて登場していたキャラの大半が、今月号においては「心愛ちゃんの実家に向かったのがココチノ2人のみ」と言う構成故に一切登場せず、代わりにモカさんとちょこちゃん(心愛ちゃんとモカさんの母親の愛称)そして心愛ちゃんの実家の街の住人たちが登場すると言う、ごちうさと言う作品の性質を考えればかなりイレギュラーな展開になっているが、その内容は最近のごちうさの例に漏れず中々に重厚であり、途中までは所謂「シリアス展開」こそかなり控えめなものの、序盤から「自分を磨き続ける事に余念がないモカさん」「普段のクールで冷静沈着な雰囲気*2が嘘の様な、どこかおどけた立ち振る舞いを連続する智乃ちゃん」等々、インパクトさは健在である。また、序盤の展開は心愛ちゃんが持つ「明るく何事にも前向き」と言う人格形成の礎をも覗かせており、良くも悪くも人が如何に環境に依拠する部分が大きいのか、ひいては「慈愛と無慈悲」の違いがどこにあるのかと言う現実も思わせている。

 中盤は私が今月号の中でも特に重要視している「信条」を深く感じさせる展開になっており、ここで先ほど書き出した様な「心愛ちゃん達は相互作用的にお互いを感化し合い、そして高め合う」と言う訳だが、ここで重要なのは「自分の想像を遥かに超えた他者の意思を頭ごなしに否定せず、それを受け止めるだけの器量が存在する事の証明」であり、これをして私はモカさんの事を「若くして聡明で、尚且つ他者に対する慈愛にも溢れる人格者」とまで思わしめた程である。

 終盤になるとそれまでとは打って変わって「喜怒哀楽、様々な感情が入り乱れる物語」となり、その過程においては「屈託なき『奇跡の賜物』は明確に存在していた事がハッキリと証明」される展開や「ちょこちゃんが抱える、普段は決して見せる事のない心情」等と言った、中々にパンチが強い要素も多く、最終的には「更なる衝撃への幕開け」を示唆して、今月号におけるピリオドが打たれており、それ故に次回は「今まで謎だった部分が、何かしらでも遂に解明される事はほぼ確実となった」だと言えるが、他方でそれはあらゆる意味で「覚悟の強さ」を試される試練の時にもなり得る可能性があり、しかもそのハードルが途轍もなく高い可能性も否定できない為、決して楽観的にはなり切れない何かを醸し出している。因みに後半の見識はジョジョの受け売りである。

 全体的に見れば、今月号は「久々の実家帰省から見えてくる新たな一面」と言う趣旨がそこかしこに点在しており、割にイレギュラーな登場人物構成も相まってかなり特殊な要素が詰め込まれている様にも思われ、確かに特殊な要素もあるにはあるのだが、実際の所は作品の根幹さえもひっくり返してしまう要素よりも、今までの答え合わせと言うべき要素が多く詰め込まれている事から、それを思えば「何時もの延長線上にある物語」と言え、そこには「人生観」にさえも大きな影響を与えている。

姉妹に宿る確かな信条

 ここからは今月号の中でも特に私が重要視している「信条」について詳しく説明したい。抑々「信条」に対して私は「その人が信じている、或いは意思の拠り所にしている固き決意」と捉えており、以前からこの様な見識は篤く持っていたのだが、最近になって様々な漫画を読む様になってからと言うもの、この「信条」に対して更に篤い拘りを持つ様になり、ごちうさに対しても、登場人物それぞれが持つ「信条」を以前よりも更に色濃く意識する様になった経緯がある。その最中で、今月号にてモカさんと心愛ちゃんが持つ信条」が見え隠れしたと言うのだから、私にとって最早眼中に入れないと言う選択肢がある筈もなく、冗談抜きでその様な信条が見えた事だけでも、今月号のお話はごちうさ全体においても相当な意味があると考えた程である。何故なら、今回の信条に明らかになった事で、モカさんの思想が見え隠れした事も勿論重要だが、一番は心愛ちゃんが「普段は誰よりも楽観的でいて、実は『人生観』に対しては姉の涙を誘う程の、誰よりも篤い思想を持っていたのがハッキリと分かったから」であり、それまで明確な確証がなかっただけにどこか曖昧な懸念が拭い切れなかった中で、今月号にてハッキリと確証が持てる「信条」が本人のやり取りから得られた事で、これからは最早少しの迷いもなく、心愛ちゃんが持つ確かな信条を信じる事ができる様になった事があまりにも大きい。

 肝心の信条の中身についてだが、これはあくまで私が見て思った事である為、人によって考え方が違う事は百も承知の上で書き出したい。その上で内容について端的に書き出せば、モカさんの場合「姉として精進を惜しまない一方、大人として妹の信念や成長を全面的に肯定し、背中を後押しできるだけの人間である事を意識している」のを肌身で感じさせるもので、心愛ちゃんの場合「姉と対等の存在になる為には、姉の背中を追うだけではダメだと理解した上で、自分で道を切り開くと言う名の茨の道を選ぶ覚悟と決意をした」と言うもので、どちらもごちうさに魅せられて、1年以上もブログにて感想・考察を書き続けている私にとっては「嗚呼、私が切に望んでいた事をハッキリと読めた……。それが読めただけでも私にとっては幸せな事だ……。」と、心に沸き上がる感動と、自分が大切にして書き続けた事が決して無駄なものでは無かったと分かった事に対する安心感でいっぱいになったものである。尤も、原作において「これが私の信条」だと、直接的に誰かの信条が描写される事は基本的には無いし、今月号においてもあくまで「間接的にそういった信条が見える」と言うものだが、多くのマンガに触れゆく中で「信条」が色濃く見える場面に対して篤い拘りを持つ様になった私にとっては、それしきの壁など最早何があっても乗り越えるだけの対象にしか映らなかった。それだけ私にとって「信条」は、私をどこまでも突き動かすだけの原動力がある訳である。

 尚、モカさんが上記の様な信条を持っている事にも私自身相当に感心しており、理由としてはズバリモカさんが持つ信条は、ある意味で理想的な人間像の1つでありながら、それを成就するのは断じて簡単ではない為で、理想ではモカさんの様な立派な人格者でありたいと考えていても、現実は私も含めて自分が思い描いていた理想にはまだまだ及んでいないと言うのも珍しくない中で、モカさんとしても今回描かれた姿が、それが本人にとって本当の理想像かまでは分からないとは言え、少なくとも私には今月号時点でも既に「理想的な信条」だと見えており、姉と言う名の先駆者として、表立った華々しさを持ちつつもいぶし銀*3の如く常に自分を磨き続けている傍ら、妹に対する面倒見も良く、愛情にあふれている*4モカさんは正に素敵な大人であり、実は初めから何でも器用にこなせる訳では無く、裏では多くの努力を(表には見せない形で)積み重ねて今がある点も含めて、人として大きな魅力に溢れているのである。

 一方心愛ちゃんの場合は、前述した様に「彼女が持つ相当な信念」をハッキリ読み込める信条にも相当な関心を持っているが、一番凄いのは現時点でも「自分を更なる高みへと成長させる為には、誰かを追っているだけではダメな事に気付いている事」であり、心愛ちゃんは普段から感情豊かで積極的な言動を取る事が多い一方で、彼女自身の内面を窺わせる言動に関しては、他のキャラと比べてもかなり少なく、またその様な描写も心愛ちゃんの場合意図的に伏せられているケースもある為、心愛ちゃんの人生観に限って言えば、ある意味「分からないが故の魅力」があるのも事実だが、現実には「一見分かり易そうに見えて、実際には一体何を考えているのか全然分からない」となる事が他のキャラ以上に多く、掴み所のない飄々とした雰囲気を見せる事も意外に多いのも相まって、心愛ちゃんが自身の人生観に対してどこまで関心があるのか、それが分からないが為にいささか疑念が浮かび上がってくる事も正直しばしばあったのだが、今月号にて、弱冠18歳にして既に大人顔負けの達観的な思想を持っていた事が明らかになった事で、その様な懸念が無くなっただけでなく、心愛ちゃんが自身の人生観に対して、念密に練り上げた計画と思想を持っている事がハッキリと示された。その事だけでも大いなる意味があるのは間違いないだろう。

 思えば心愛ちゃんは原作10巻終盤での発言を筆頭に、旅行編前後辺りから「自身が持つ人生観」を強く想起させる発言が増えてきた印象があるが、これらも木組みの街での数々の経験と成長が、何時しか彼女自身の価値観にも大きな影響を及ぼした結果だと言え、その一つの答えが「誰かの背中を追うだけではいけないと気付き、自分で道を切り開く為に木組みの街を離れる覚悟さえも持つ」と言うものだったのだろう。そう思えば、彼女の突拍子のない衝撃発言の数々も、彼女が打ち立てている人生観に沿うものなら理解できる。何故「人生観に沿うものなら」と強調したかと言えば、彼女自身の人生観に沿わない意味での突拍子のない発言は相変わらず全然分からないからであり、この「奥底にある思想が全く読めない行動原理」が地味ながらもある種の恐怖をもたらしている。

 また、この様な深き信条を感じさせる内容を何気ない日常の延長線上で書き上げるごちうさもとい日常系作品はやはり凄まじいとも思わされており、私はジョジョの影響もあってか、どちらかと言えば「壮絶な局面で深き信条が突き刺さる様にして描かれるシチュエーション」の方が思い浮かびやすい*5のだが、ごちうさはそれを日常の延長線上でやってのけてしまう上、その影響力も上記と比べても遜色ないので、これもごちうさがきらら作品の中でも長きにわたって最前線を走り続ける事の出来る理由の一つとなっているのは最早疑いないだろう。

智乃ちゃんが知る足跡

 次に今回の実家帰省における智乃ちゃんの足跡について説明したい。先月号終盤にて、心愛ちゃんの実家帰省に飛び込む様にしてついていく道を選んだ智乃ちゃんだが、今回の実家帰省においても、最近の智乃ちゃんの例に漏れず心愛ちゃんと出逢いたての頃の彼女とは最早別人とも言える程の立ち振る舞いが目立っており、例を挙げると心愛ちゃんとモカさんから「妹」と呼ばれてもまんざらでもない表情をしていたり、一つ一つの局面に対してリアクションがとても大きくなっていたり等々があり、正直嘗てのクールさが時と共に鳴りを潜めつつあるのも事実だが、これは彼女が持っていたクールな雰囲気が後天的な物だったとも言え、ある意味彼女本来の感情豊かさが戻ってきているとも言える。ただ、感情の出し方が些か過剰になっていると思わなくもないが、それも良くも悪くも心愛ちゃんの影響なのだろうし、何があっても顔色一つ変えない無表情さと、どんな事があっても感情の欠片さえ見えてこない無感情さよりも、多少オーバーでも喜怒哀楽がはっきり見えた方が良いと思う。

 そんな智乃ちゃんだが、今月号において私が重要だと思うのは今月号終盤の展開であり、端的に言えば「ちょこちゃんとサキさんの嘗ての足跡を辿る事になる」と言うものだが、今月号においてはその導入で終わっており、故に実際に中身に入るのは次月号以降になる訳だが、個人的にはその導入だけでも既に「智乃ちゃんが遂に自分の母親と、その親友の過去を親友の口から知る」と言う意味で相当な事だと考えており、しかも智乃ちゃんの反応を見るに、智乃ちゃん自身嘗て心愛ちゃんの母親と自身の母親の関係性に関しては、彼女としても明確に知っている訳では無かった可能性が高く、その意味でも見逃せないと考えている。

 また、今月号終盤のやり取りで、智乃ちゃん自身頭の中に疑問符が浮かんでいたとはいえ、彼女も「心愛ちゃんとの出逢いが文字通り『運命的』なものであり、決してレールに敷かれた確定事項では無かった事」を知ったのも重要であり、前述の様に今月号は導入部分で終結している為に、上記の事実に対する智乃ちゃんの明確な反応が読み解ける訳では無いものの、自身の母親の足跡を辿る事の出来る話を母親の親友から聞けるとなって何も思わない筈がなく、恐らく智乃ちゃんとしても何か相当な想いがあると見ている。

 ただ、懸念事項として「智乃ちゃんだけがちょこちゃんの話を聞く事で、心愛ちゃんとの知識の差が生ずる事」「明らかになる内容で智乃ちゃんにどの様な影響をもたらすのかが全くの未知数である事」が挙げられ、どちらも必ずしも悪影響をもたらすとは言えない上、マイナスな方向に進むとも思えないが、少しの知識の差が後にとんでもない落差を生み、最終的に取り返しのつかない事態に発展する可能性があるのも事実である上、ごちうさとて破壊力のある事象は普通に容赦がないので、来月号を見れば恐らく分かる事だとは言え、分からないが故に懸念が燻っている訳である。

今回の内容について思う事

ここからは主観的な展望や想いを強めた内容を書き出したい。今回は前半も割と主観が入っている為、ここ数回のブログ記事とも少々異なっているが、後半は通常運転で行きたいと思う。

精進し続ける姉

 今月号を語る上で絶対に外せないのは、心愛ちゃんの姉であるモカさんの存在であり、モカさん自身は原作9巻終盤にて、旅行編にて心愛ちゃん達が滞在していたホテルにて研鑽を積んでいたのが記憶に新しいが、今月号時点でその研鑽は一区切りがついた様で、心愛ちゃん達を半ばサプライズと言う形で出迎えていたのも印象的である。因みにモカさんがホテルにてどのような事を行っていたかについては、今月号でも全く触れられていない為、いったい何をしていたのかは分からず仕舞いだが、ごちうさはあくまで心愛ちゃん達が主役の物語であり、その心愛ちゃん達が現在大きな岐路に立たされている事を思えば、その心愛ちゃん達よりずっと先をいくモカさんは、自身の過程については敢えて何も語らず、心愛ちゃん達が自ら歩む道を自身の手で決めて欲しいと願っていると仮定すれば、次回以降何かしら明らかになる可能性もあるとは言え、敢えて細かくは語らないのも1つの正解だと思う。

 モカさんの特徴として「心愛ちゃん達と出逢う度に何かがスケールアップする」と言うのがあり、これまでもおもちゃの楽器から本物の楽器を嗜む様になったり、自転車乗りからバイク乗り*6になったり、故に毎度見る人をびっくりさせる傍ら、モカさんが如何に普段から精進を意識している人なのかを窺わせる構図でもある。そして、今月号では「バイクから車に進化」しており、毎度進化を続けるモカさんは流石と言った所だが、この様な事をする背景の1つに「妹達を驚かせる為」もあると思われるのだから、姉としても大人としても精進し続けても、彼女の「妹を溺愛している」と言うのは何も変わっていないと言え、そこはモカさんの可愛い所であり、大人になっても妹想いの素敵な姉と思うには十分である。

 そして、妹達に恥じぬ姉でいる為に日々精進する事を意識し続けると言う事は、モカさんは決して最初から万能な人物では無かった事の裏返しでもある*7と考えており、実際にモカさんはこれまでも陰ながら相当な努力を重ねてきた経緯があり、その姿を本人は基本的に他人には見せたがらないが、私としてはモカさんのそういう所が、心愛ちゃんを秘かな努力家にした」と考えており、故に心愛ちゃんも「努力している所を人には決して見せない」と言う価値観が何時しか芽生えていた*8様だが、今月号にて姉であるモカさんと心の内を明かし合った事で、心愛ちゃんに対して新しい価値観を提供し、妹のさらなる成長を促進させた所を見るに、モカさんはやはり立派なお姉ちゃんと呼ぶに相応しく、心愛ちゃんもそんなお姉ちゃんがいるからこそ、持ち前の楽観思考とアクティブさで人を楽しませ、時には振り回す事もありながら、その一方で陰では努力を惜しまず、将来に対して理路整然とした展望を持つと言うしっかりした一面を持っているのだろう。正に「この姉あってのこの妹」であり、結構なネタバレ*9にはなるが、ジョジョ2部にも細かくは違うとは言え、2部の主人公「ジョセフ・ジョースター」が持つ、ある特長に対して血の繋がりを感じさせる局面があり、私にとってはそれが思い浮かぶ。

 尚、今回の実家帰省では心愛ちゃんに加えて、咄嗟に彼女に付いていく道を選んだ智乃ちゃんも来訪している訳だが、今月号においてもモカさんは智乃ちゃんに対しても心愛ちゃんと同じ「妹」として相当に可愛がっており、それに対して智乃ちゃんも多くの場面で満更でもない様子を見せていた為、以前よりもさらに成長した様子が窺えるのも良きポイントだと考えている。

新たな気付きを得た妹

 次はモカさんの妹たる心愛ちゃんに関する事である。心愛ちゃんは今月号においては、自身の実家に帰省した事もあってか、どこかテンションが高くなっている場面も印象的だが、それよりも印象的なのはモカさんとの対談を経て、精神的に更なる強みを得た事」であり、それについては先に書き出した通りだが、ここでは私自身もう一つ注目したいと思った事があり、それは心愛ちゃんが「姉は妹に対して完璧な姿を見せるだけでは無いと言う気付きを得ていた事が、本人の口から語られた事」である。

 心愛ちゃんは智乃ちゃんの事を初対面の時から「自身の妹」だと称する程に可愛がっているのは最早周知の事実だが、最初の頃は姉らしく自分の良い所を見せようとするも、心愛ちゃん自身の能力が伴わずに空回り若しくは失敗に終わってしまうケースが多く、それを見た智乃ちゃんから半ば呆れられてしまう事もしばしばだった。その後、時間の経過とともに心愛ちゃんと智乃ちゃんが心の底から信頼関係を築き上げていったことと、心愛ちゃん自身も成長を遂げていった事もあって、心愛ちゃんも姉らしい振る舞いを見せる事が多くなったが、心愛ちゃん自身はある段階まで「姉は良い所を見せ続けるべき」と言う考えが根強く残っていたとも考えており、それは心愛ちゃんが「自分は決して立派な姉ではない」と、自分が姉としては決して至らない存在であると弱気になった事が示していると考えている。

 ただ、心愛ちゃんが何時上記の様な考えを持ち始めたのかは最早私には分からないが、少なくとも旅行編後の智乃ちゃんを見て心愛ちゃんは姉に対する考え方を大きく変えたと認識しており、言うならば姉の良い所もそうでない所を見て、高校生になってハッキリと自分で歩みを進めている智乃ちゃんを見て、心愛ちゃんとしても「姉だからと言って、常に完璧である必要は無くても良い」と言う考えに至れたと見ている。そして、その構図は正に嘗て「心愛ちゃんが見ていたモカさん」でもあり、一見完璧に見える人物であっても、実は最初から完璧では無く、多くの失敗とたゆまない努力の上に今があると言う意味で姉妹そっくりだと捉えている。

 また、その様な事から、私自身「心愛ちゃんは所謂『完璧主義』とはちょっと違うんだな」とも思っており、それには完璧主義な人なら恐らく自分が努力している姿や、些細な失敗さえも妹には一切見せない所を、心愛ちゃんは最初こそ中々出来なかったとは言え、今となっては姉らしからぬ一面も智乃ちゃんに対して臆する事なく見せているし、自分が努力している姿も恐らく智乃ちゃんに対してむやみやたらに隠す事も無いだろうと考えているのが大きな要因だが、心愛ちゃんの性格的に「自分が今実行している事を、良い所も悪い所も全て妹に見せ付ける」と言うのは合っていると思うし、今後も一人の人間として、目標に向けて歩みを固める姿や、時には迷いを隠せない姿を妹達に見せる事を厭う必要は無いと思っている。

過去に向けた大きな一歩 

 最後に今月号終盤にて智乃ちゃんが直面していた「ちょこちゃんと自身のお母さんの過去」について思った事を書き出したい。これに関してはまず一番に「智乃ちゃんも遂にこの時が来たんだな」と言う、長期間ごちうさを追い続けているが故に、ある種の物思いに耽る様な感情を抱いたものであり、確固たる意志をもって成長を遂げ続けている智乃ちゃんにとって相当な意味を持つのは間違いないと考えているが、その一方で智乃ちゃんにとっては心を閉ざす大きな要因ともなった「嘗ての辛い記憶」にも繋がる事でもある為、その意味では「智乃ちゃんは本当に大丈夫なのだろうか……。」と言う不安もあり、今月号では詳細が語られるタイミングでピリオドが打たれている事もあって、正に「期待と不安」が錯綜する結果になっているが、それも次月号になれば分かる事なので、今はその時を待つだけである。

 ちょこちゃんとサキさんと言えば、学生時代からの大親友である事はこれまででも読み解ける事であり、そこから客観的に見れば今のココチノも「ちょこちゃんとサキさんの流れを継いだもの」と見る事ができるが、今月号を見ると、少なくとも智乃ちゃんに関しては、自身の母親と心愛ちゃんの母親がとても仲良しだった事を今まで知らなかった様な反応をしている事から、次月号で語られる事は、恐らく智乃ちゃんにとって自身の人生観にさえも多大な影響を与え、心愛ちゃんと一時的にでも離れ離れになると言う命題に対して、何か大きな突破口を見つける契機にもなるのではないかとも考えており、どうなるのかは未知数とは言え、智乃ちゃんが心愛ちゃんの実家に来訪した事で何か大きな経験を掴み取るとするなら、恐らく「ちょこちゃんと自身の母親の関係性」が関わってくると思われる為、大いなる可能性を掴み取る意味で私も智乃ちゃんの意思を受け止めたいと思った所存である。

 ただ、前述した様にちょこちゃんとサキさんの過去話を智乃ちゃんだけが耳にする事に対する結構な懸念点が私自身存在しており、理由としてはある意味でココチノのルーツにも関わる重要な事象にも関わらず、片方だけが知る事態になると、2人の知見に大きな差が生じたり、また自分達のルーツを知っているかそうでないかで、自分達の繋がりに対する想いが全く違ってきたりする可能性があるからで、今月号時点では智乃ちゃんが確実に知る事になり、心愛ちゃんは今の所不明慮と言った所だが、他方で2人の知見に差ができる位でどうかなるココチノではないとも考えている上、心愛ちゃんの事だから、今回のお話も何かしらの手段で何れは聞き付けるとすら思う側面もあり、要は「そこまで深刻に思う事も無いのでは?」と、私としても心の何処かで思っている訳だが、何れにしても本当に智乃ちゃんだけが「ちょこちゃんとサキさんの過去」を知る事になれば、ココチノの関係性にも何かしらの影響があるのはほぼ確実な事から、楽観視するのも考えものだとは思う。

 そして、お話を聞く事になる智乃ちゃんにしても「彼女がお話を聞いて一体何を思うのか、それが良く分からない」と言う不安要素が浮かんでおり、智乃ちゃんは嘗てに比べれば精神的にも大きく成長している上、育ちの環境故に最近では年相応の振る舞いも多いとは言え、現時点でもかなり大人びた雰囲気を持っているものの、客観的に見ればたった15歳の高校生である為、どんなに厳しい逆境や重い事実に対して、自分の力だけでも受け止められるだけの丹力が十分に備わっている訳では無く、増して智乃ちゃんは正に「成長途上」である事から、何があっても前を向いていけるだけの保障が、現時点でも完全に備わっているとは言えないと考えており、無論心愛ちゃんを始めとした、かけがえのない家族同然の人の存在が、新たな自分に向けて成長途上にある智乃ちゃんを支えているのは周知の事実だが、他方でどんなに大切な仲間が支えてくれていても「最後に自分の精神をどうにかするのは自分自身」と言うのも事実である為、どうにも不安な想いが燻る訳である。

 しかしながら、私は同時に智乃ちゃんが持つ心の強さを信じてもおり、現時点でも心愛ちゃんがあらゆる形で教えてくれたあるいは経験として自分の身へ会得したものを活かして、新しい環境に中々慣れず、戸惑っていたブラバ組とりわけ冬優ちゃんに安心感を与え、ブラバ組に対して精神的に躍動する後押しをした事からも分かる通り、智乃ちゃんは最早嘗ての心を閉ざしていた智乃ちゃんでは無いのは明らかな事から、私自身「智乃ちゃんならどんな事でもきっと乗り越えられる」と言う想いも存在しており、言うならば気持ちのせめぎ合いが生じているのだが、絶対的な気持ちの強さは「智乃ちゃんを信じる」方が大きく、どうなるか分からないとは言え、智乃ちゃんの心の強さを信じる気持ちだけは揺らがせるつもりなどないのは事実である。

3.あとがき

 以上がきらま2022年12月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察である。今回は前回の「海シスト編」終盤にて唐突に明かされた「心愛ちゃんの実家帰省宣言」からの直接的な続編である為、普段のメンバーだとココチノのみしか登場せず、代わりにモカさんとちょこちゃん、そして心愛ちゃんの地元の人達が登場すると言うかなりイレギュラーな構成になっているが、内容自体はごちうさらしく「普段の日常から見える重要なもの」が散りばめられており、その意味では何時もと変わらない。

 今回は「モカさんとの掛け合い」が見所且つ重要な局面として機能しており、久々の姉妹再会ということもあって、時には和気藹々、時には姉妹喧嘩と、正にバラエティに富む雰囲気が流れていたが、1番印象的なのはなんと言っても「姉妹2人きりでお互いの心境や矜恃を確かめ合う姿」で、しかもそれを日常的な雰囲気の延長線上でやってのけてしまうので、別の意味でもインパクトは相当なものであり、今月号屈指の名場面と言って差し支えないと思う。

 また、今回の実家帰省では心愛ちゃんに加えて智乃ちゃんも同行している訳だが、ここで智乃ちゃんが見せた数々の行動もかなり印象的であり、しかもその多くは嘗ての智乃ちゃんなら実行に移す事はまずなければ、そんな素振りを見せる事さえ無かったであろう事ばかりである為、如何に今の智乃ちゃんが些か過剰とさえ思える程に感情豊かな人物へと変化したのか、心愛ちゃんひいては保登家が智乃ちゃんにとって全信頼を置ける環境にあるのか、その事を深く窺い知る事が出来る。

 そして、今月号終盤では智乃ちゃんが遂に「自身の母親とその母親の親友の過去」について向き合う事になるのが示唆され、今月ではその導入部分で締め括られているが、導入部分だけでも智乃ちゃんが相当な事と向き合うのは読み解ける為、一抹の不安はありつつも、彼女が成長と共に培ってきた精神力を信頼して、私も今後の展開を待ち望むだけである。

 今回は時間がさほど無かった事と、次月号の内容が判明してからでないと分からない事もあった為、ややコンパクトに纏めたが、ごちうさひいてはマンガに対する情熱は変わりなく存在する事を書き出して、この感想・考察の締めとしたい。

 

 

おまけ

今回の文量は全て合わせてのべ400字詰め原稿用紙34枚分であり、今回は最近の記事と比較するとコンパクト化しているが、本来ならばこの文量でも相当なものであり、如何に普段から多く書き出しているかが良く分かる。

*1:第1部「ファントムブラッド」及び第2部「戦闘潮流」の全編と、第3部「スターダストクルセイダース」中盤辺りまで。

*2:ただ、現在はともかくとして初期の彼女の雰囲気は、今思えば「クール」と言うより「心を閉ざしている」の方がより的確だったと考えており、「クールな状態と心を閉ざしている状態は全くの別物」だと思えば尚更である。

*3:本来「表立った華々しさ」と「いぶし銀」を並べるのは、言葉の意味的には噛み合っていないが、私にはこんな表現しか思いつかない。

*4:たまに溢れ過ぎてしまうのが玉に瑕だが、そんな所も人として好きになるポイントである。

*5:尤も、ジョジョも何気ないやり取りの中に至極の名言及び信条が詰まっている作品である。

*6:因みにバイクの運転に関しては、普段は普通の運転だが、弾みが付くとかなり荒くなり、割にお転婆な面を覗かせている。

*7:尤も、最初から才覚を持っていたとしても、日々努力を積み重ねる事を意識するケースも普通にある。

*8:ある意味、これも心愛ちゃんが何を考えているのか分からない行動を見せる理由の一つでもあるのだろう。

*9:とは言っても30年以上前に発表されている局面だが。