多趣味で生きる者の雑記帳

現在は主にごちうさに対する想いについて書いています。

きらファンメインシナリオ第2部「断ち切られし絆」5章の感想・考察

 こんにちは。今回はきららファンタジアのメインシナリオ第2部5章を完走したので、その中で抱いた感想と考察について書き出したいと思います。この第2部に関しては、私の中ではのめり込む様に読み進められる反面、確かに存在している壮絶さや怖さに対して多少なりとも心が痛む面もあります。ただ、それで考えるのを止めてしまえば何もならないので、今回もシナリオを読み進めて考えた事を書き出したいと思います。

※注意※

きららファンタジアメインシナリオのネタバレを含むものなので、その事を了解の上、読み進める事をお願い致します。また、今回は内容が全体的に非常に重くなっており、言葉もきつくなっている部分が度々あるので十分注意してください。尚、本文中に出てくる「リアリスト」は「現実主義、写実主義」を意味するものではなく、「ゲーム内に登場する組織体」です。今回は括弧の有無に関わらず、特に脚注や注意書きが無い場合は全てゲーム内で使われる単語を指します。

1.はじめに

 「断ち切られし絆」の名を持つ、きららファンタジアメインシナリオ第2部。どの聖典にも載っていない謎の存在である住良木(すめらぎ)うつつと共に、きらら達はうつつの故郷を探す為に新たな旅に出る。しかし、その道中はあまりにも壮絶且つ、悲愴的だった……。因みに「悲愴」とは「悲しくも勇ましい」事を意味する「悲壮」とは違い、只々「悲しくそして痛ましい」事を意味している。たった一文字の漢字違いでここまで意味が異なるのは、ある意味言葉の力の凄まじさを物語っている。

 特徴は何と言っても大筋を支配しているシリアスなシナリオで、感動する展開も多いが、壮絶な展開も多い重厚なストーリーに、欺瞞(ぎまん)に満ちた世界*1を正す為に禁呪魔法「リアライフ」を用いて暗躍する、第2部の敵対組織「リアリスト」の思想の根底にある悲しく壮絶な闇等、非常に重い展開がとても印象的である。しかしながら、シリアスで壮絶な分、先の見えない展開にどきどきしながら、のめり込む様に楽しむ事ができる様になっており、また感動するシナリオも多い為、総合的にはカタルシス(精神の浄化)を感じる事の出来る上質なシナリオになっていると感じている。

 今回はそんな読み応えのあるシナリオを、まずはざっくりと展開を説明した上で、メインシナリオ第2部の重要人物のうつつちゃんからと、敵対組織である「リアリスト」からと言う、大きくは2つの視点を中心にして、全体として5章を読んで私が思った事を書き出したいと思う。

2.第2部5章の感想・考察

5章全体の感想・考察

 まずは5章そのものについてや、その5章から読み解けることを中心に書き出したいと思う。当然ながら内容は大分重めなので、その辺りは十分に注意して下さい。

5章とは

 5章はメインシナリオ第2部奇数章と同様、禁呪魔法によって呼び出されたクリエメイトを助け出し、クリエメイトを元の世界に返す為に、きらら達がクリエメイトと共に冒険する内容になっており、今回呼び出された作品は「ご注文はうさぎですか?」である。その事もあってか、5章の舞台は「美食の交易都市」となっており、全体的なストーリーも「喫茶店」に因んだものがしばしば登場している。

 この章はシリアスで壮絶な展開が多いメインシナリオ第2部の中でも特に壮絶な展開が多い章であり、初っ端から「嫌がる心愛ちゃんに対して一切の情を見せず、冷血な心をもって執拗に絆を断ち切り、絆を『脆いもの』と一蹴するサンストーン」と言う、かなりショッキングなシーンが存在している。しかもサンストーンは、この5章全体のストーリーを見ると分かる事だが、他のリアリストのメンバーの提案から「徐々に心を蝕んで苦しめさせる為に、心愛ちゃんの絆を少しずつ断ち切る」と言う悪趣味な事を行っており、この事からもリアリストの冷酷非道さが垣間見える。

 この様にド頭からメインシナリオ第2部でも随一と言える程の衝撃的な展開から始まる5章だが、そのド頭を乗り越えても「まともに食べ物が手に入らなくなってしまった街」や「聖典の信仰を捨てリアリスト側に寝返った構成員」、そして「大切な人の記憶が奪われていく友達を見て、悲しみに打ちひしがれる智乃ちゃん」と言う様に、思わず心を抉られる壮絶な展開は度々登場し、それだけでも辛いのだが、物語の中程に存在するリアリストの「真実の手」が1人「射手(しゃしゅ)」の名を持つ「スイセン」が「リコリスヒナゲシ」も併せた3人で心愛ちゃんの事を「絆なんて所詮紛(まが)いものだ」等と言って絶望に叩き落そうとする場面の悲惨さは、心愛ちゃんの心からの切実な叫びも相まって、この5章全体はおろか、メインシナリオ第2部1章から5章全体でも特に群を抜いている。

 中盤以降も心が抉られる程の壮絶な展開は鳴りを潜めず、特に心愛ちゃんと最後まで絆が繋がっていた智乃ちゃんとの絆をサンストーンによって切られ、完全に絆を失くした心愛ちゃんは完全なる絶望に染まり、パスを切られた智乃ちゃんは「何者かも分からない人の為に頑張る事は出来ない」と無気力になってしまう展開は、考えるだけでも心が痛く締め付けられる程の絶望的な状況だが、そんな悲愴的な状況下でもある事をきっかけにはっきりとは思い出せないながらも、確かな想いを受け取った智乃ちゃんが再び希望を取り戻した場面は、それまでの絶望的な展開もあって非常にカタルシスと勇ましさを感じられる。

 そして、最終的には皆で力を合わせて敵の本拠地に乗り込み、多くの仕掛けや強敵に苦戦しながらも心愛ちゃんを絶望から救い出す展開は、王道ながらも胸が熱くなる内容であり、特に心愛ちゃんを救い出した後の智乃ちゃんとのやり取りは、原作を知っている人も、知らない人も心温かくなると個人的には思う。そして、最終的には様々な立場の人々の思想が垣間見えて、5章は幕を閉じる。

 全体的に見れば、5章は「今まででも随一の壮絶な展開が多い章」である事は疑いなく、特に序盤から中盤が非常に重い。シナリオ進行としても、何時も明るく元気な心愛ちゃんが、リアリストのあくどい手口によってじわじわと絶望に堕とされていき、最終的には闇に堕ちてしまう展開から、人によって感じ方に個人差があるので一概には断定できないが、ごちうさが好きな人や、心愛ちゃんが好きな人にとっては非常に辛い展開が多い。因みに私の場合は、智乃ちゃんがイチ推しである事と、元々シリアスで壮絶なシナリオに対しても強い耐性がある事から、正直かなり辛い想いが頭を駆け巡ったとはいえ、絶望的なまでに辛かった訳は無かったが、それでも智乃ちゃんが「お姉ちゃん」と呼ぶまでに大好きな心愛ちゃんとの絆が引き裂かれるのはかなりショックだったし、何より心愛ちゃんの心からの悲痛な叫び声は、フルボイスである事も相まって最早トラウマになる程のショックを心に植え付けられている。幾ら私がシリアスで壮絶な展開にも耐性があるからと言っても、それはあくまでどれだけ悲痛な想いに叩きのめされても心から挫けないだけでしかなく、心が痛む事には変わりないのである。

 しかしながら、その一方で智乃ちゃんが新たに決意を表明してからは、それまでの鬱屈したものを払拭するべく、一気に解放へと突き進んでいく展開へと変貌する為、最終的には感動的な展開も相まって凄まじいカタルシスを感じる事ができる様になっている。また、重い展開が続く序盤から中盤も含めた5章全体として、重苦しい展開が続く中でもきらら達(特にうつつちゃん)の力強い言葉には凄く助けられるものがあるし、クリエメイト達(今回ならごちうさの登場人物)の普段通りのやり取りも「どんなに重い状況でも、変わらないものはきちんとある」と思えて、思わず肩の荷が下りる様な安心感があり、その安心感たるや、これらがあるお陰で私の場合「メインシナリオ第2部がどんなに壮絶でもある意味ちゃんと読み進める事ができる様になっている」と思う位である。

 

ここからはメインシナリオ第2部の重要人物のうつつちゃんやリアリストを中心とした感想・考察を書き出す事とする。

ここからも重い内容が含まれているのでご注意ください。

5章におけるうつつちゃん

 メインシナリオ第2部における重要人物たる住良木うつつ。どの聖典にも載っていない謎の存在であり、本人も何らかの理由で「自分の名前や年齢、そして女子高生」であること以外は記憶を失ってしまっている。その為、うつつが一体何者なのかを知る者は自分も含めて誰もいない。ただ、リアリストはうつつの事も何か知ってそうな素振りをしばし見せているが、リアリストは敵対組織である為、きらら達が知る由はないと言える。

 性格は極端なまでのネガティブ思考であり、それ故に事あるごとに自分を卑下する様な発言をしがちな傾向にある。また、中々に切れ味ある毒舌の持ち主でもあり、主に自分に対して毒を吐いている傾向にあるが、傍若無人なリアリストに対して中々容赦ない言葉を投げかける事もしばしばあり、その様にリアリストを冷たく突き放す様はある意味かっこよくもあるが、その冷たさは普段のうつつちゃんからは中々想像できないものである為、個人的には誰よりも恐ろしいとすら思う事もある。ただ、本質的には5章の中盤において智乃ちゃんからも言われている様に他者を思い遣れる優しい人である為、私自身うつつちゃんがリアリストを冷たく突き放す姿を見て、どこか恐ろしいと思うのは、ある意味普段のうつつちゃんなら絶対にしない事をやっているのを見て、「彼女の底知れない怒り」を感じているが故なのだろう。

 度々実年齢以上の教養と思慮深さを感じさせる人でもあり、それ故にきらら達を始めとした「自分を大切に想っている人達」に対しては基本的に毒舌を飛ばす事は基本的になく、この事は彼女が毒舌は「大切に想っている人には向けたくないと考えている」のを窺わせる。つまりうつつちゃんは、きらら達の事を大切に想っているのである。尤も、ランプとずっと行動を共にしている「マッチ」だけは、うつつちゃん本人も心からは大切に想っているとはいえ、うつつちゃんに対して度々余計な一言を添える*2為か、普段はマッチに対してやや素っ気ない態度をとっている事が多く、怒って膨れる事もしばしばである。ただ、マッチも言ってしまえば「毒舌家」の傾向にあるだけなのだが、マッチとうつつでは馬が合わないのだろうか?

 彼女は自分を思い遣ってくれるきらら達やメディアちゃんと接して、親交を深める事で大きく成長してきており、4章終盤や5章では自分なりに落ち込んでいる人に対して励ましてあげたり、うつつちゃんから積極的にコミュニケーションを取ったりする等、自身の成長を活かしたうつつちゃんの前向きな行動も多くなってきている。ただ、彼女は大の恥ずかしがり屋でもある為、人から感謝されるとツンデレみたくはぐらかすのがお決まりだが、当然相手はうつつちゃんの気持ちは読み取っており、うつつちゃんの意思を汲み取った上で優しく受け容れている。

 5章では根底にあるネガティブ思考こそ変わらないものの、今まできらら達と共に多くの困難を乗り越え、また多くの人からの信頼を築き上げてきた事から、窮地に陥っている人に対して自分なりに寄り添い、何だかんだ言っても人の気持ちを慮って自分事の様に捉えて考えてあげている等、確実に成長を感じさせる場面が多くある。また、智乃ちゃんとは今回の一件で他の人以上に交流を深めており、それ故に智乃ちゃんと心愛ちゃんのパスが切られた時は、深い悲しみを滲ませながらも、自分には何かできる事はないかと尽力しようとする心の強さも見せている。ただ、智乃ちゃんが新たなる決意を秘めて立ち上がって以降、うつつちゃんは自分が活躍できない事を引け目に感じてややネガティブ色が強まるが、それでも嘗ての様に弱り切って逃げる事はなく、ここでも彼女の覚悟と成長が窺える。

 終盤においては、数々のトラップやウツカイにより消耗していた皆を励ます事を行っており、ここでも彼女の確固たる成長を窺う事ができる。そして、スイセンと再び出会った時には、絆を断たれても尚絆を手繰り(たぐり)寄せようとしているクリエメイトを見て「意味が分からない」と言っていた彼女を「今のあなたには分からない」と毒舌全開でスイセンを切り捨てた上で「自分もこの世界に来た当初は『自分が不幸なら、他人も不幸にしたい』とは思っていたが、やっぱりそうは思いたくない」と、うつつちゃん自身「自分が不幸なら、他人も不幸になって良いと思いたくない(己の身勝手な理由で他人を不幸にしてはいけない)」と考えが変わった事を告白している。やはりリアリストとうつつちゃんとでは、メインシナリオ第2部開始当初(1章や2章)なら同じだったかもしれないが、数多くの経験と優しさに触れて成長した今のうつつちゃんとリアリストでは、最早絶対に越えられない壁が出来たのであろう。

 因みに余談だが、彼女は5章の途中で神殿の管理が行き届いていた所では比較的安定した生活をしていたのを知っていた事から、今回訪れた街の荒廃ぶりと、その荒廃ぶりが神殿の管轄が行き届いていなかった事を重ね合わせた上で「エトワリアと言う世界は少し神殿に依存し過ぎなのでは?」と言う疑念を心の中で抱いてもいる。この事はうつつちゃん自身他の誰にも話していない事であり、あくまでうつつちゃん本人が考えた事に過ぎないのだが、私としてはうつつちゃんのこの考えも、このメインシナリオ第2部を紐解く上で何か重要な足掛かりになるのではないかと考えている。尤も、それがどの様に活きるかは未知数だが、何れにしても「うつつちゃんの何気ない考え事」とスルーするには惜しい何かがあると私自身考えている。

スイセンについて

 「真実の手」が1人であり、「射手(しゃしゅ)」の異名を持つ、リアリストが1人、スイセン一人称は基本的に「ウチ」であり、とにかく食べ物に目がなく、リアリストにいるのも「美味しいものが沢山手に入るから」と言う程。ある意味「魔手(ましゅ)」の異名を持ち、お金に目がない「スズラン」とは一つのものに執着していると言う意味では同じであり、それ故に2人はある種意気投合しそうにも思えるが、2人の関連性については一切不明。尤も、絆を重んじないのがリアリストの基本理念みたいなものなので、深い関係性はないと言って良いのかも知れないし、それを度外視しても「一つの物に執着する人同士は案外そりが合わない事も少なくない」事を思えば、やはり2人は深い関係性は無いとなってしまうが……。

 飄々(ひょうひょう)とした性格の持ち主であり、食べ物以外に何を考えているのか分かりにくい雰囲気を醸し出している。それ故にリアリストの中では暗さをあまり感じさせず、スズランの様に比較的明るくさっぱりしている様に見えるが、根底の思想は間違いなくリアリストのそれであり、リアリスト特有の卑劣さ及び残忍さが滲み出ている。そして、スイセンはその明るそうな雰囲気の内にリアリストの中でも中々にえげつない冷血な本性を秘めており、目的の為なら一切の慈悲なくクリエメイトを絶望に叩き落す様な冷酷さを持っていたり、ぶっきらぼうな物言いで相手を容赦なく追い詰めたりする等、やはりリアリストの一員だと感じさせる本性は存在している。

 5章においては同じくリアリストの「真実の手」の「リコリス」と「ヒナゲシ」と共に「美食の交易都市」を荒廃させ、またご注文はうさぎですか?の世界が描かれた聖典を汚染させる事で、絶望のクリエを搾取しようと暗躍する。それに加えてスイセンは心愛ちゃんを利用して、自分が大好きな美味しい食べ物(パン)を作らせて独り占めにもしている。尚、この時も心愛ちゃんの姉のモカさんを引き合いに出してモカさんのパンの方がもっと美味しいだろうな~」と、心愛ちゃんが姉にかなわない事を気にしている事を知りながら陰湿且つ悪辣な精神攻撃を行い、それに付随してリコリスヒナゲシが2人して「心愛ちゃんと智乃ちゃんは偽物の姉妹」だの「偽物の姉妹なんて誰でも良い」等と言って追い打ちをかけると言う悪逆非道な手口を使っており、リアリストの退廃ぶりが如実に表れている。その後、完全に闇落ちした心愛ちゃんを利用して自分の欲望を際限なく満たそうとするが、きらら達が再び攻め入る事を知り、決戦に臨む事になる。

 決戦では「ガーディアンウツカイ」と呼ばれる、闇に堕ちた心愛ちゃんが持つ絶望のクリエを動力源にしたウツカイを用いて、きらら達と対峙する。ここで遂に彼女が聖典を嫌う理由が明かされたが、それは聖典ではお腹いっぱいにならず、空腹に喘いでいた彼女を一切助けてくれなかった聖典や神殿に失望したから」と言うものであった。確かに聖典は書物である為、お腹が満たせるものでは無いのは事実だし、彼女が言う様に満足な食事さえ碌に手に入らない中で、書物内で美味しそうな食べ物を見せられたら激しい憎悪を覚える*3のも納得は出来るが、だからと言って彼女の行動は決して看過できる様な事では無い。ただ、他方でこの事実そのものは、私が考えているスイセンひいてはリアリストには「何か壮絶な過去を抱えている」と言う仮定論がより現実味を帯びた形になるが、果たして真実は一体どうなのだろうか……。

 その後の展開についてだが、彼女はガーディアンウツカイを用いて一度はきらら達を退ける事に成功する。だが、きらら達の発想の転換により心愛ちゃんの絆を取り戻されたのが運の尽きとなり、スイセンは一転して窮地に立たされるが、再三にわたって大切な人達を罵り続けたスイセンに向けて、智乃ちゃんからトドメの一言を言われた事により、激怒しながらガーディアンウツカイと共にきらら達に襲い掛かると言う往生際の悪さを見せつけるものの、最早原動力の源たる絶望のクリエを失くしたガーディアンウツカイでは、例えタッグを組んでも力不足であり、あえなく返り討ちに遭ってしまう。そして、術を失くした彼女は捨て台詞を言い残して逃亡するのだが、例えこの一件が済んだとしても、彼女の非道な行動が許される事は最早無いだろう……。

 この様にスイセン表立っては飄々とした比較的明るい人物に見えるが、その一方でクリエメイトを地獄の果てまで追い詰めにかかる様な冷酷非情さも持ち、更にクリエメイトを都合良く自分のものに仕立て上げようとするしたたかさをも併せ持っており、そこには彼女が持つ悲痛な過去が大きく関連していると思われる。その為、他のリアリストの例に漏れず、一筋縄ではいかない経緯を持つ人物だと言えるが、一方で内に秘める冷血さはリアリストの中でもトップクラスである為、彼女を理解するためのハードルは途轍もなく高い。

5章について思う事

 ここからは5章全体とりわけリアリストに対して個人的に考えている事、思っている事を中心に書き出していきます。ここも非常に重い内容が含まれているのでご注意ください。

錯綜と清涼の想い

 ここでは5章についての全体的な印象を書き出したいと思う。まずはこのメインシナリオ第2部全体の印象についてであり、5章に限った事では無いが、メインシナリオ第2部は全体的にシリアス且つ非常に重い展開が多く、それがメインシナリオ第2部の魅力でもあるのだが、やはりその重さに辛さを全く感じないと言えば嘘になる。しかしながら、それでも私はシリアスで重い内容ながらも重厚で非常に読み応えのあるシナリオ構成に心惹かれ、今まで1章から4章を全力で読み進めながら攻略をしてきた。特にメインシナリオ第2部2章、4章は今までにないシナリオ構成*4をしていた為、驚きながらもどんどん世界観にのめり込んでいる自分がいたものである。

 しかし、5章のシナリオに私がきらら系の中でも特に好きな作品で、原作・アニメ共に今まで嗜んできたご注文はうさぎですか?が登場する章だと分かってからと言うもの、心から拒絶反応を覚えたとまではいかなかったものの、多少なりとも不安な気持ちが芽生えていた。ただ、メインシナリオ第2部1章から4章を見るに、絶対に重い展開になるとは正直分かっていた上、メインシナリオ第2部のプロモーションビデオを見るに、どこかのタイミングでごちうさが登場する事も把握していた為、不安な気持ちはありながらもある程度気構えは出来ていたので、覚悟を決めてシナリオをがっつり読みながら攻略する事にした。

 そうして攻略した5章だが、結果から言えば私の想像を遥かに上回る辛い展開が待ち受けていた。シナリオ自体が非常に重いのもあるが、とにかく心が締め付けられる様な苦しさを覚える場面が多く、特に章の冒頭及び中盤にある「金切り声を上げてまで嫌がる心愛ちゃんに対して、サンストーンは一切の慈悲なく絆を断ち切り、絆を断ち切られたショックで悲鳴を上げ、そのまま気絶した心愛ちゃんを見て容赦ない言葉で切り捨てた」場面や、章の後半初めの「智乃ちゃんと心愛ちゃんの絆が断たれた事により、何もかも絶望に染まっていく」場面は、思わず目を背けられるものなら背けたいと本気で思った程で、この場面に関してはもし私がごちうさを全く知らなかったとしても、この凄惨さに対しては「絶対にショックを受ける」と咄嗟に思った程である。その為、私としても正直ここまで心苦しくなるとは予想できなかった事もあって、メインシナリオ第2部を今までがっつり読み進めていながらここまでショックを受けた事実には、最早言葉を無くす以外に無かった。正直重苦しい展開に心からどんなに打ちのめされても、根底は決して挫けないと思っていた私だったが、そんな事はないのかも知れないと本気で思い知らされてしまった。

 この様に相当心苦しい想いを抱える事になってしまった5章だったが、一方で要所にあるきらら達とりわけうつつちゃんの力強い言葉や、クリエメイト(ここではごちうさの登場人物)の何時もと変わらないやり取りには、重い展開が続く中であっても心の負担が少し軽くなったし、後半「ある事をきっかけに智乃ちゃんが新たな決意を誓った」場面以降、それまでの鬱屈したものを全て晴らしていく様に展開が進んでいくのに対しては、思わず強いカタルシスを感じたものである。そして、章の終盤にある感動的な展開には、今までの辛い展開もあって心動かされたのは言うまでも無かった。その為、総じて言うなら、この5章は「メインシナリオ第2部らしく前半は非常に重い展開が続くが、後半からは劇的な展開に強いカタルシスを感じる事の出来る」構成をしていると考えており、それ故に最後の最後に壮大な感動を噛み締める事の出来る展開に仕上がっていると考えている。

傍若無人なリアリスト

ここは特に言葉がきつい内容になっているので、特にご注意ください。

 

 リアリストに対しては、これまでも悪逆非道の限りを尽す様な傍若無人に思わず憤りが隠せなかった事もしばしばあったが、その一方でリアリストの一部メンバーから感じ取る事の出来る、自暴自棄とも言える立ち振る舞いから見える彼女達の壮絶な過去と闇について思いを馳せるなら、自分勝手な行動である事には変わらないとは言え、一概に否定する事は出来ないという良心の呵責(かしゃく)に思い悩まされる事もしばしばあった。尤も、だからと言って私がリアリスト達を看過できる訳ではなく、寧ろ決して看過してはならないと考えている部分の方が多い位なのだが、何にしてもリアリスト達に対しては色々な意味で複雑な想いを抱き続けているのである。

 しかしながら、5章におけるリアリストを見た時の私は、これまでとは違う感想を抱かざるを得なかった。と言うのも、5章におけるリアリストの振る舞いが、あまりにも横暴が過ぎていた為であり、それはこれまで書き出してきた通りだが、それに加えて個人的にはリアリストに自分自身の想いをも踏みにじられたのがショックだった。無論、リアリスト達からしてみればそんな事は全く関係無いとは理解しているし、所詮は自分自身の思い込みに過ぎない事も分かってはいるが、それでも一度はリアリスト達に対して抱いた慈愛をリアリストの手によってあっけなく潰されてしまったのは悲しかった。

 特にショックだったのはスイセンであり、嘗て私はスイセンに対して「癖のある人物で、お世辞にも褒められた性格ではない」とは思いつつも、その一方で「根っからの悪人ではない」と思っていたのだが、今回心愛ちゃんに対して執拗な精神攻撃を平然と仕掛け、挙句「自分の腹だけはどうなってでも満たせ」等と言う身勝手極まりない様を見て、最早かける言葉が無かった。尤も、彼女自身も過去に壮絶な体験をしているが故にあのような思想を持つに至ったと言うのは想像に難くない為、一概に彼女を悪く見る事は出来ないが、それでも彼女の傍若無人な横暴ぶりには流石に失望感を覚えた。と言うか、改めてストーリーを見返してみれば、失望する以外に道は無いと思わざるを得ない程、彼女があくどい行動を繰り返した事に気付かされ、もう彼女に対して快く思える事はないとすら思った。因みに私が「やっぱりリアリストはリアリストだった」と思ったのもこの経緯故であり、その事実も余計ショックを大きくさせる事となってしまった。

 また、5章におけるサンストーンも中々に冷酷非情な行動が多く見受けられ、自分達の願いの為に心愛ちゃんの絆を容赦なく断ち切り、そのショックで心愛ちゃんが気絶しようものなら容赦ない言葉を投げつけるのはその最たる例である。更に彼女は5章において「自らの存在意義を他者に依存するのは情弱」とも言っており、これは私なりに解釈すれば「誰かに頼り切る形で自分の存在意義を見出すのは弱い人間がやる事だ」という事であり、彼女が絆ひいては「人間同士の繋がり」と言うものを全くもって軽視しているのが良く分かるが、勿論私としてはこの様な意見は看過出来ない。その為、正直幾らリアリストに対して理解を深めたいと考えていて、実際に自分なりに理解を深めてきた私としても、流石に怒りを隠せなかった。いくら何でも絆もとい「人間同士の繋がり」と言うものを侮辱し過ぎだと本気で思ったし、抑々「そこまで人間同士なり世界なり、それらの繋がりをそこまで憎んで一体何がしたいのか?」と、本気で彼女の思想を疑った程である。ただ、サンストーンからしてみれば「他人に自分の思想についてとやかく言われる筋合いはない」と思うだろうが……。

 他にも5章で再び登場していたリコリスヒナゲシについても、正直やり過ぎにも程があると思わざるを得なかった。作中において「自分達が絆なんて大切にしなかったし、自分の気持ちを紛らわせてくれるなら誰でも良かったから、心愛ちゃんだって私達リアリストと同じ様なものだ」等と言って心愛ちゃんを罵っている場面があるのだが、これには流石に「いくら何でも心愛ちゃんを侮辱し過ぎだ」と、心の中で怒りを滲ませながら読み進めたものである。元々リコリスヒナゲシに関しては、今までの章でも登場してきており、それ故にある程度は人物像も理解していたし、今回の様な悪逆非道な言動も見受けられてはいた為、正直「彼女達がこの様にクリエメイトを罵る事は分かっていた」のだが、5章における数々のあくどい言動はあまりにも常軌を逸しており、流石に見逃す事は出来なかった。「腸(はらわた)が煮えくり返る」*5とは正にこの事である。

 この様に5章におけるリアリストは、最低限の思慮分別さえ平気で無視した上で、人を侮辱する場面が他の章に比べても質・量共に高レベルであり、それ故に怒りやショックも他の章以上に大きく表れる様になっている印象が強くある。この時点では「リアリストは人の心をどこまでも悪びれる事も無く平気で踏みにじる組織」と言う印象を強く抱かざるを得ないが、ここにリアリストが抱えるであろう「壮絶な過去や背景、それに大きく蠢く闇」を加えると、多少なりとも見方が変わってくるものである。無論、それでリアリストに対する怒りが完全に治まるかどうかは全くの別問題だし、正直私自身も5章においてあまりにも度が過ぎた横暴な振る舞いを見せつけられた事により、怒りの感情が完全に消える事はないと思うが、それでも何か少しでも変化するならそれに越した事はないので、ここからはそんなリアリストの壮絶な背景について書き出したいと思う。

悲しきリアリスト

 前述する様にリアリストは悪逆非道の限りを尽す様な傍若無人が目立つ一方で、リアリストに属する面々の言動と、一部メンバーの自暴自棄とも言える立ち振る舞いを見るに、彼女達には何か壮絶な過去を抱えている様に感じられる事が多々あり、ここではリアリストの背景に存在しているであろう壮絶な過去や闇について書き出したいと思う。

 但し注意点が一つあり、これらは基本的にリアリストの言動を土台に、自分なりに整理をしたものである為、リアリストの面々が自ら口にした「過去に聖典や絆に裏切られたり、蔑ろにされたりした経緯がある」と言う趣旨の内容が、実際には彼女達の思い込みが多分に含まれている可能性もザラにある事を承知しておく必要がある。勿論、彼女達の言う事が全くの出鱈目とは思えないし、本当に聖典や絆に裏切られた若しくは蔑ろにされた環境にいた事も恐らくは間違いないとは思うが、あくまで「その可能性がある」と言う域を出ない事は理解しておいて欲しい。

 ここから改めて本題に入る。抑々リアリストの面々が基本的に聖典や絆を忌み嫌っている」のはここまで書き出してきた通りだが、これを見て個人的には「何故ここまで忌み嫌うのか」と気になった事が今までも多々あった経緯があり、これこそ「リアリストには何か壮絶な過去を抱えているのではないか」と私が思い立ったきっかけでもあり、それを紐解く為に使ったのがリアリスト自身の言動と言う訳である。

 その様にしてリアリストの背景や過去について考えてきた所、リアリストの大半は過去に「絆(聖典)に対して何かしらの形で裏切られた若しくは蔑ろにされた経験がある」事が分かったのである。尚、リアリストは現時点でもスズランやロベリア、エニシダダチュラも登場しているが、彼女達については過去にどのような経緯があったか明確には分かっていない為、ここでは記載していない。因みにこの4人については何れも4章でお目にかかる事ができ、その中でもスズランとロベリアの2人は4章の重要人物である。尚、基本的にダチュラを除いて性格に関しては概ねお察しで、何れもリアリストらしい曲者である。

上記の太字を自分なりに解釈した結果は下記の通り。

  • スイセン「自身が空腹に喘いでいた時に、聖典は一切助けてくれないどころか、聖典内に美味しい食べ物が沢山記載されていた事に憎悪した」
  • リコリス聖典を理解できないだけで周りから駄目な人扱いされた」
  • ヒナゲシ「どの世界*6からも自分を必要としてくれなかった」
  • サンストーン「過去に聖典には記載されていなかった世界の真実を知り、それ故に聖典に失望した」

 この様に何れも聖典若しくは絆に蔑ろにされた若しくは裏切られたと言う過去が共通している。因みにリアリストの首謀たるハイプリスについては、5章最後において過去に自身も聖典を愛していた時期があった事を仄めかしている。ただ、ハイプリス本人はリアリストの首謀者らしく聖典を愛していた事を既に「過去の事」と割り切っているが、やはりハイプリスにも何か痛々しい過去を持っている可能性は捨て切れない上、この事実は「リアリストが聖典に絶望し、それを根絶やしにしようとする理由」にも深く関わっている可能性も大いにあるとも考えられる為、リアリストの真意を解き明かしていく上でも非常に重要な手掛かりになる可能性すら秘めていると思う。

 これらの事から、私自身リアリストに対しては悪逆非道とも言える様な傍若無人な振る舞いに対して怒りを覚える事はありながらも、同時に決して看過できない様な行動に走るまでに自暴自棄で退廃的な言動、そして上記の様な壮絶な経緯に思わず複雑な想いを抱える事も少なくなく、この意味でもリアリストに対して心が痛くなる事も、過去の章の感想・考察を書く時からしばしば発生していた。これには上記の様な数々の複雑な想いが私自身にあるのもそうだが、それ以上にリコリスヒナゲシ、そしてスイセンに代表される様に「どの様な事になってでも、自分達の理想の目標を手段を選ばず遂げようとする自暴自棄とも言える姿」があまりにも痛々しい且つ悲しく感じた事が大きかった。

 また、リアリストに対して複雑な想いを抱える理由は他にもあり、それは自暴自棄とも言える様な状態になってしまったリアリストとて「元々は人間らしい優しさを持った人格者」であった事を、リアリスト達の過去や言動から感じ取れる事が挙げられる。尚、ここでも5章未登場のスズラン、ロベリア、エニシダダチュラについては詳細が良く分からない為、掲載しない事とする。

太字の具体例は下記の通り。

  • リコリスヒナゲシの場合、本人達はお互いを「たまたま都合良くそこにいただけの関係」などと称しているとはいえ、少ないながらもリコリスヒナゲシを、ヒナゲシリコリスを想っていると感じさせる言動が存在しており、それ故に昔は今ほど絆を憎んではいなかった可能性を思わせる。また、2人共根は優しい一面も覗かせており、環境が彼女達を変貌させた可能性も十分考えられる。
  • スズランの場合、5章においては冷酷非情な本性を見せつけてきたとは言え、普段は比較的明るく人柄も決して悪いとは言えない為、元々の彼女は多少自分勝手な部分はありながらもここまで劣悪非道な人物ではなかったが、聖典への強い憎しみが彼女をその様に変貌させた可能性がある。
  • サンストーンの場合、特殊な経緯故に断定は難しいが、元々は絆を尊ぶ能力持ちのきららと深い関係を持っていた為、聖典に対する理解がある故に聖典を捨てた可能性がある。その為、元々は聡明で真っ当な人格者だった可能性も十分に考えられ、本来なら周りから憧憬されてもおかしくなかったとすら言える。
  • ハイプリスの場合、リアリストのトップながら、元々はランプと同じく聖典に対して無償の愛を持っていた過去」があった事を本人が明かしており、それ故に元々は聖典に対する理解が深く、慈愛に溢れる人だったが、何らかの理由でサンストーン同様聖典を見限った可能性が考えられる。

 この様にリアリストも元々は自暴自棄でも無ければ悪辣非道でも無く、人間らしい優しさを持った真っ当な人物だった事を窺わせる発言やそれを思わせる描写は少なくなく、それ故に私はリアリストに対して「最初から聖典を憎んでいた人達が、聖典を破滅させようと画策した」と言うより「元々は至って真っ当な人格者だったが、何らかの理由で聖典に失望し、その聖典を破滅させようと願う内に、徐々に心や性格までも醜くさせてしまった」という事もあり得るのではないかと考えている。尤も、それは後述する様な「推察による思い込み」の可能性もあるが、私はどうにもどうしてもその様にも思えてやまないのだ。

 ここまで私が感じている「リアリストは嘗て真っ当な人物だったと思う例」について書き出してみたが、当然の事ながらこれらは全て「自分が感じ取っている事」である為、実際にリアリストが過去にどの様な人柄であり、過去にどのような経緯があったから今の様な人格と思想に至ったのか、その真相は本人のみぞ知る事であり、私はそれを推察しているに過ぎない。しかしながら、どんな事があろうと私にとってはリアリストが抱えているであろう重い過去について、彼女達の言動から度々心が痛くなる事もある程に感じ取れる事には変わりなく、それはこの文章を書いている時でもそうである。尤も、何故そこまでしてリアリストに対してここまで真剣に考察するのかに関しては、最早自分でも理由が良く分からなくなる事も時にはあるのだが、何れにしても私は「リアリストに対して複雑な想いを持っている傍ら、深き想いを持とうともしている」と理解して貰えると幸いである。尤も、その果てに何が待っているのかは私でも分からず、一方では「紆余曲折ありながらも、結末はしっかり噛み締められるものだった」と思うかも知れないし、また一方では「結末までも非常に重く、最後まで重い心が晴れやかになる事は遂に無かった」となるかも知れない。全てはこの物語の終着点に委ねられている……。

3.あとがき

 以上が今回メインシナリオ第2部5章で私が考えた事である。5章は今までの章の中でも特に壮絶で、特に序盤から中盤までの悲惨さは今までの章の中でも群を抜いていると思う程であり、リアリストのあまりにも度が過ぎた横暴さも相まって、今までのメインシナリオ第2部の中でも途轍もなく辛い章になっているとは正直思う。ただ、その一方で中盤以降の劇的な展開は、今までの鬱屈したものを全て晴らしていく様な清涼感と勢いがあり、ここから「物語の中ほどまで鬱屈した展開が続く分、中盤以降怒涛の勢いで全てを取り返しに行き、終盤に改めて絆を認識し合う事に大きな意味が生まれてくる」とも言える為、言うならば「途中まで展開が非常に辛いが故に、最後の感動的な展開がより意味を持ったものになる」と感じている。

 この5章に関しては、私としてもどの様な視点から捉えるべきなのか、今でも思い悩む節があるまでに内容を推し量る事にとにかく苦労した章であったのだが、冷静に考えてみても、まずメインシナリオ第2部5章の重い展開は1章から4章を比較しても尚頭一つ抜けていると思う位だし、5章のリアリストは今までになく悪辣非道でどこまでも無慈悲、そしてどうしようもない程に自暴自棄な一面が色濃く表れているし、5章の要所で襲い掛かる悲惨な場面の凄惨さと来れば、最早言葉にもならない程のショックを受けると言うのだから、ある程度苦労するのは当然だったのだろう。そして感想・考察が出来上がってみれば「過去に類を見ないまでに難解な二字・四字熟語や諺が多く、内容もメインシナリオ第2部本編に負けず劣らず重く、喜怒哀楽が凄まじく煮え滾っているのがすぐに分かる」までに異質な内容になり、それ故に私が同じくブログで書いているごちうさ感想・考察文の様な「温かみある世界観」だけではなく、そこに「只管(ひたすら)に複雑な想いが錯綜する冷たき世界観」が加わり、結果的に非常に重い内容となった。我ながらこの違いには驚くばかりだが、どちらも私の本質*7であり、決して無理をしている訳では無い事は言っておく。

 また、私自身ごちうさに関しては原作、アニメ共に観ていた事によりごちうさファンとしての色を強めたメインシナリオ第2部5章の感想・考察か」、はたまた「きららファンタジアファンとしての色を強めたメインシナリオ第2部5章の感想・考察か」と言う二重苦があった事も更なる苦心を招いた。尤も、この様な「きらファンの世界観を重視するか、参戦作品の世界観を重視するか」と言う二重苦は、私にとってはごちうさだけでなく、きららファンタジアに参戦している作品全てに言える事なのだが、この様なある意味クロスオーバー作品ならではとも言える悩みは、私にとっては本来なら天秤にかけたくないモノを使った厳しい決断を余儀なくされる*8為、非常に難しい問題ではあったが、決断としては、私自身が「クロスオーバー作品においては、クロスオーバー作品そのものの舞台も重視する」考えの持ち主であった事や、元々メインシナリオ第2部においては「メインシナリオ第2部の世界観を紐解きたい」と言う想いが強くあった事から、いったんは「きららファンタジアファンとしての色を強める」事にしたのだが、それでも私自身「どんな事があっても、参戦作品の世界観は絶対に尊重していきたい」と言う想いもまた、強くある事には違いない為、最終的には「きらファン色を強めに出しつつも、きらファンとごちうさ、どちらの色もしっかり持たせる様な感想・考察」にする事にした。ただ、私自身もこの様な形で気持ちをはっきり決めた上で書き出す経験がさほど無いので、どれ程上手く行ったのか良く分からないが、少なくとも自分の中では出来る限りを尽くしているし、今後もこの様なスタイルにより磨きをかけたいと考えている。

 最後に、5章は今までの章の中でも特に壮絶で、筆舌に尽くしがたい痛みを感じたり、怒りを覚えたりする描写も少なくなかった事も確かだが、最終的な章の結末は非常に感動的であり、全体的に見れば深き感銘を受ける様な内容だった事は、1人の熱心な「きららファンタジア」と「ご注文はうさぎですか?」両方のファンとして改めて言いたい。色々思う事はあっても、やっぱり私はこの5章含めたメインシナリオ第2部の世界観が好きな事に変わりは無い事を改めて書き出して、今後の章を待つとしたい。

 

 

おまけ

今回の文量は400字詰め原稿用紙44枚分であり、これは過去6番目の文量の多さであるが、きらファンの感想・考察としては最も多くなった。因みに今回のブログは前回のごちうさ感想・考察ブログから地続きに書いており、書いた文量は文字数にしてのべ36000文字強になっている。

*1:世界とは「エトワリア」の事で、欺瞞はここでは「嘘と偽りに満ちた状態」を指す。因みに欺瞞は読んで字のごとく「人をあざむくこと」を意味する。

*2:特にうつつちゃんがイメージに似合わない前向きな行動・発言をした時に顕著。

*3:因みに作中ではもっと凄惨な言葉が使われており、彼女の聖典に対する際限なき憎しみが滲み出ている。

*4:何れもクリエメイトが登場せず、それ故にきららファンタジア独自の世界観が色濃く光る章になっている。ただ、どちらの章も内容がかなり重い上、最後には重苦しい結末を受け止めなければならない辛さも襲い掛かってくる。

*5:怒りが堪え切れない事。

*6:ここでは聖典の世界を含めた既存の世界全てを指す。

*7:と言うか、様々な感情を遺憾なく発揮できると言う意味ではきらファン感想・考察の方が、良くも悪くも私の煮え滾る想いがより深淵まで解放された内容になっている。

*8:ただ、この様な決断力も時には絶対に必要になるものだが……。