多趣味で生きる者の雑記帳

現在は主にごちうさに対する想いについて書いています。

きらま2023年6月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察

 こんにちは。最近もジョジョの奇妙な冒険が大好きである事には依然変わりがなく、この間遂にジョジョの奇妙な冒険第9部「The JOJOLands」(ザ・ジョジョランズ)の第1話を読んでみたのですが、読んでいる最中はその展開にずっと興奮しており、改めて私がジョジョ好きである事をひしひし感じる出来事となりました。ホント、マンガを読んでいてここまで興奮するのはジョジョ位なものですよ。なので、お金の関係で7部「スティール・ボール・ラン」と8部「ジョジョリオン」を読めていない現状を思うと、中々に困りものです。まぁ、多趣味故に何かとお金がかかる自分が悪いと言えばそうですし、今でも1部「ファントムブラッド」から6部「ストーンオーシャン」までは全て読んでいるので、ちょっとは我慢しろと言われれば、最早受け入れる他ないですけど......。

 さて、今回はまんがタイムきららMAX2023年6月号掲載のごちうさ感想・考察を書き出したいと思います。今回も前回に引き続き濃密な人間物語と言うテイストが強くあり、それをして最近の私は「ジョジョみたく人間の良い所が深く描かれているのは凄く良いッ!」と思う事もしょっちゅうなのですが、そう言っているからには、私としては「今月号もとても素晴らしいお話だったッ!」と思っている訳でして、まったく最近のごちうさは、めちゃくちゃ粋な事をしてくれるじゃあないかと感銘を受けている所存でもあります。尤も、既に何を言っているのか良く分からなくなりつつあるので、この辺で切り上げたいと思いますが、ここからは真面目に書き出していきますのでご安心下さい。

 

※注意※

最新話及び原作単行本11巻以降のネタバレを含むものなので、その辺りをご了解お願い致します。また、ここで書き出した推察や考察は個人的な見解です。

1.はじめに

 今回のお話は嘗て原作5巻に描かれていたマラソン大会が登場している為、嘗てのオマージュ要素が多いと思いきや、私が見た感じ嘗てのオマージュは若干控えめな印象を受けており、代わりに濃密な人間関係ひいては心理模様が描かれている。そして、その心理描写が一際目立っているのはブラバ組の一人にして、映月ちゃんの双子の妹である夏明ちゃんであり、その夏明ちゃんと深い関わりを持つ麻耶ちゃんとの関係性も相まって、今月号は先月号でスポットが当てられていたメグエルに対比する形で、マヤナツメと言うカップリング及び夏明ちゃんの心情変化が構成されていると言える。

 今回の扉絵は、大人びた雰囲気をふんだんに醸し出している格好をした麻耶ちゃんと夏明ちゃんの2人が手を取り合い、2人にて一定の雰囲気を向いていると言うもので、全体的な雰囲気は色合い含めて先月号の対比となる様に構成されているのも印象的。因みに今回も神々しい雰囲気の扉絵だった事をして、個人的には「ごちうさの扉絵の趣旨は、新手の絵画展来会なのか!?」と言う印象も抱いている。尤も、絵画展覧会と言うのは完全に私の勝手なるイメージだが、私としても他のマンガも色々読む様になって、ごちうさが一際扉絵の美しさが(毎月の様にセンターカラーである事も相まって)際立っている事を鑑みた上での見解なので、断じて何の根拠も無いでっちあげを書いている訳ではない事は言っておく。

 今月号は夏明ちゃんの内なる心情の変化と、それを支えた友達との関わりが光り輝いている回であり、広い目で見れば先月号でも称した「新たな日常の一部」となるのだろうが、今回は夏明ちゃんの内なる心情に大きく踏み込んでいった事に大きな意味を持っている為、私としては単に日常の一部と括るには惜しい、人としての大いなる魅力に溢れている回だと思っている。ただ、最近のお話に共通する雰囲気をもって、自分で「新たな日常の一部」と言う括りを作っておきながら、今月号ではその括りに入れたいのか入れたくないのか。どうにもはっきりさせられないのは我ながら良くない......否、ハッキリ言うと駄目な事だとは分かっている。しかしながら、ごちうさに限らず、人生における出来事と言うのは「点で見れば印象的な事でも、年単位の長い目で見れば正に日常の一部を切り取った一瞬の事」となるので、ここはそう簡単に割り切る事なんてとても出来ないのだと理解して欲しい。本当、何でも簡単に割り切れるなら人生苦労はしないよ......。些か大仰な気がするけど......。

2.購読した感想・考察

 

今月の内容に対する感想・考察

まずは「今月号の中で特に深掘りしたいと思った内容」から書き出していきたい。今月号は先月号以上に濃密な心情描写と、そこに付随する人間関係の美しさが非常に魅力的であり、その魅力は私の深淵たる情熱を突き動かすには十分である。

ラソン大会を通じて見える友情

 まずは今月号の主軸と言えるマラソン大会から見えてきたものについて書き出していきたい。抑々マラソン大会と言うのは、嘗て原作5巻にて心愛ちゃん達が通う高校で行われていた行事であり、この時は紗路ちゃん達が通うお嬢様学校の方では、マラソン大会が開催されている描写は特に無かったが、今回はお嬢様学校も合同と言う形でマラソン大会に参加しているらしく、必然的に大学生となったリゼユラ及び大人組を除いた面々が参加する格好となっている。ただ、その中でスポットが一際当たっているのは、前述の夏明ちゃんと麻耶ちゃんであるが、それに関してはのちほど詳しく書き出すとする。

 その事もあって、常識的に考えてみれば基本的には大人数でマラソン大会に向けた特訓に励む事になる訳なのだが、マイペースコンビたる心愛ちゃんと千夜ちゃんは、朝が弱い傾向にある為に度々特訓をすっぽかしてしまったり、冬優ちゃんと麻耶ちゃんは、特訓に参加するからにはきちんと参加している様だが、2人共早朝故にどこかぼんやりした様子を浮かべていたりと、良くも悪くも各々が割と自由な立ち振る舞いを見せており、改めて「木組みの街の住人達は個性が強い。」と思うには十分である。

 そんな個性豊かな面々によるマラソン大会の特訓だが、ここでは「友達の為に尽力を尽くす光景」が改めて見受けられており、早起きする事に不安がある心愛ちゃんに対して、夏明ちゃんが起きられる様にモーニングコールを提案*1してあげたり、マラソン大会や姉である映月ちゃんの事に関して色々ともどかしい思いを抱えている夏明ちゃんに対して、姉と妹どちらにも憧憬意識を持つ心愛ちゃんが発破をかけたり*2と、総じて友達と助け合う事を前提とした立ち振る舞いが多く見受けられており、木組みの街の住人達の固い絆及び信頼関係を如実に示している。

 また、マラソン大会本番では神沙姉妹2人と麻耶ちゃんがちょっとした熱いバトル展開を繰り広げており、そこでは夏明ちゃんが抱える「一人勝ちに対する戸惑い」が見え隠れしているが、それに対して映月ちゃんと麻耶ちゃんは挑発的な態度で夏明ちゃんを嗾け、結果的に夏明ちゃんの前に出たくても出切れない状態を吹っ切らせると言う、正に「バトルを通じて熱い友情が更に確固たるものになり、また当該人物の気持ちさえも変化させた」と思わせる展開は激アツものである。因みにその場面では普段おっとりしている映月ちゃんが、夏明ちゃんに対して結構強烈にかましていたので、思わず「映月ちゃんにもそういう一面あるんだね。」となったが、映月ちゃんは普段おっとりしているとは言っても、ここぞという時の芯の強さと度胸、そして闘争心は本物なので、案外様になっているのかも知れない。現にちょっとムカつく感触こそあるにはあるが、嫌な気は全くしないし、寧ろ嬉々とした雰囲気でその様なかましさえできてしまう事にある種の魅力さえ感じる位である。尚、その様な嗾け合いもあってか、麻耶ちゃんと神沙姉妹の順位は普通に上位であり、普通に身体能力の良さを披露している。

 尚、他の面々については本編においてガッツリ描かれている訳では無かったので、どの様な様子かを逐一窺う事は難しい。ただ、コマとしては描かれているので、そこから察する事は出来るが、総じて言うと「ちょっとぉ......。色んな意味でもっとしっかりしないと駄目だよぉ......。」と言った感じであり、特に心愛ちゃんと千夜ちゃんに関しては「去年から何も変わっていねぇじゃあねぇかッ!しかも何だったら去年より悪化してねぇかッ?!」と、思わずお笑い的なノリのツッコミを入れたくなるものだった。つまりお世辞にも結果が振るったとは言えない訳であり、色んな意味で心配にもなる有様だったが、当の本人達はガチガチの勝負に拘っていた訳ではない様なので、それでよいのかも知れない。尤も、それにしても心愛ちゃんと千夜ちゃんの面倒見をする羽目になった紗路ちゃんは気の毒だが......。

夏明の内なる心情と後押しした麻耶

 次に今回のマラソン大会にて一際スポットが当てられていた夏明ちゃんが秘めていた内なる心理と、その夏明ちゃんを大きく後押しさせた麻耶ちゃんの言動について書き出したい。抑々夏明ちゃんと麻耶ちゃんのコンビと言うのは、お嬢様学校高校1年生組においてはメグエルと双璧を成す存在であり、普段はお互いに負けん気が強い性格故に何かについて言い争いをしたり、お互い素直になれない性格が災いして意固地になったりする事もしばしばだが、心の底ではお互いの事を認め合っており、その気になった時の相性はとても良い事から、いかにもバトルマンガに出てきそうな「良き理解者であり、良きライバル」と言う構図を感じさせるコンビである。

 そんな夏明ちゃんと麻耶ちゃんのコンビだが、今回は夏明ちゃんの内なる心情にスポットが深く当てられており、夏明ちゃんは以前麻耶ちゃん達から「内弁慶」と称された様に、一見すると威勢が良い様に見えるが、実はかなり臆病な所があるのだが、今月号ではその臆病さが彼女の弱さもとい「自分を出し切れない要素」として描かれている節があり、今回はその臆病な部分をどの様にして克服していくのか。その部分に焦点が当てられていると言える。また、夏明ちゃんには良く言えばどんな時でも他人思いで優しい、悪く言えば勝負事においても非情になり切れないと言う面もあり、麻耶ちゃんからは夏明ちゃんのそういう一面をして、勝負事においても他人に慈愛を見せられるのは、その気になれば自分が何時だって勝負を制する事ができると思っているからと言う意味で「自惚れ屋」と称されているが、個人的には「言う程自惚れ屋なのか?」と思っており、確かに夏明ちゃんが人には負けないと心のどこかで思っている自信家である事は否定しないが、自惚れ屋と言う程調子乗りには見えない*3上、如何なる状況においても優しさを示せる事が、直ちに自惚れに繋がるとも思えない為、私としてはちょっと賛同しかねる節があった。とは言え、ここは夏明ちゃんのそういう一面を控えめに言っても遠慮なき言葉で突き刺し、夏明ちゃんの秘められしスイッチを入れさせた、色々な意味で人から可愛がられたり、人を嗾けたりするのが上手い策略家「条河麻耶」(麻耶ちゃんのフルネーム)の戦略勝ちと言った所か。恐るべき魔性の人物である。

 今回の夏明ちゃんと麻耶ちゃんの関係性と立ち回りで重要だと思ったのは、マラソン大会を始めとした勝負事や、自分一人で積極的に動き回る事に対して「自分だけが独り勝ちしても良いのだろうか......。自分の意思だけで動き回って、周りの友達や映月*4はどう思うのだろうか......。」と、周りがどう思うかが気になって二の足を踏んでいた*5夏明ちゃんを、持ち前の気遣いの上手さと物怖じしないストレートな言動をもって後押しをした麻耶ちゃんと言う関係性にあると考えている。事実、麻耶ちゃんから嗾けられた後は、映月ちゃんからも嗾けられた事も相まって、それまでの臆病で友達や姉妹に対しても、思いやりがあるが故にどこか煮え切れない所があった彼女から一転、勝負事に対して一切の妥協も遠慮もせず、自分が望む道に向けて一気に駆け上がる、エネルギッシュで勝負事に対して熱血な彼女へと変貌しており、マラソン大会の勝負こそ持ち前の優しさにつけ込んだ麻耶ちゃんの奇策によって、それに便乗した映月ちゃんの2人の前に敗北したものの、その後も自分のしたい事を友達に対してガンガン提案し、無理矢理にでも誘い込もうとすると言う多少なりとも強引且つ激情的な一面をも覗かせており、このマラソン大会を経て、夏明ちゃんは大きく変化したと言うには十分である。

 夏明ちゃんのこれらの変化に対して、彼女は以前にも理世ちゃんにピアノを教えた時に代表される様に、その気になればエネルギッシュ且つ熱血な一面を発現させていた事があった為、変化自体はさほど驚かなかった。ただ、変化のレベルに関しては「まさかここまでとは......。」と言う形で完全に驚かされており、特に自分がやりたい事に関して友達を誘う際に「乗ってくれるよねッ!そうだよねッ!」と言わんばかりに是非賛同して欲しいと、奇策にハメられて負かされた事が余程悔しかった事も相まってか、半ば興奮しながらガンガン詰め寄っていたのには「周りが受け容れてくれているから良いが、流石にやり過ぎと違わないか?!」と思わなくもなかった*6が、逆に言えばそれらはそれまで自分を出し切れずにいた夏明ちゃんが、周り(特に麻耶ちゃん)からの助言を受けて吹っ切れつつある証拠でもある為、総合的には自分を遠慮なく出せる事を覚えた夏明ちゃんに対しては賛同の立場をとっている。つまり「どんどん自分を遠慮なく出していけば良いんだよ。夏明ちゃんッ!」と言う立場に私はある訳である。但し、心愛ちゃんが朝起きられずに特訓をすっぽかした際に見せた夏明ちゃんの所作に関しては、正直に言うと「それ、周りには極力見せない方が良いよ......。最初は受け容れてくれていてもその内絶対に引かれるから......。」と思ってしまったが......。

 また、夏明ちゃんの内なる心情に引き出させ、彼女の煮え切らない一面を正に煮え切らせた麻耶ちゃんの功績は、最早称賛以外の何物でもないだろう。麻耶ちゃんは言いたい事はハッキリ言う性分でありながら、友達の心情を汲み取った上での行動が上手く、過去にもチマメ隊の先駆的な役割を担い、今ではチマメ隊を超えた影響を与える事も多い存在なので、夏明ちゃんの枷を解き放つには正にうってつけの人物ではある。しかしながら、麻耶ちゃんの凄い所は「物事を運んでいく際の絶妙なバランス感覚」であり、今回も夏明ちゃん相手にいつもの調子で発破をかける事もあれば、彼女を心から理解していないと中々掛けられない気遣いを見せる事もあった訳が、この際に心の許せる友達として遠慮のない物言いをしながらも、心の底では相手を尊重し、相手の尊厳を決して踏みにじらない様にしつつ、それでいて相手の為を思って一歩進んだ発言を何気ない形でかけられる事ができると言うのは、本来そう簡単には出来ない事であり、色んな意味で物事の調律を図るバランス感覚が優れている麻耶ちゃんだからこそできる芸当だと考えている。故に麻耶ちゃんのそういう一面が凄いと思っているのであり、夏明ちゃんの本音を引き出した功労者として、麻耶ちゃんの事を称賛したい。

 

今回の内容について思う事

ここからは主観的な展望や想いを強めた内容を書き出したい。先月は全体的に言いたい事がまとまらなくなってしまった題目だが、自分の想いを言語化して書きまとめると言うのはそう簡単な事では無いので、今思うとそれが原因かと思う所存である。

前に向けて走りゆく気概

 まずは今月号の印象について書き出したい。前述した様に、今月号は嘗て原作5巻にて登場したマラソン大会を踏襲している為、原作9巻以降度々描かれているセルフオマージュの要素が多く含まれていると思いきや、実際には確かにセルフオマージュも含まれているとは言え、それ以上に先月号にも引けを取らない濃密な人間物語が印象的であり、メグエルにスポットが当てられていた先月号と対比する様に、夏明ちゃんと麻耶ちゃんの心理模様が描かれていたのがとにかく強烈だった。また、作中において今年からマラソン大会が、心愛ちゃんが通う学校と、紗路ちゃん達が通う学校による二校合同になった事も地味ながら結構重要な点だと思っており、個人的には「この二校ってどういう関係なんでしょうね。心愛ちゃんが3年生になってから度々合同行事開いているけど。」ともなるが、合同開催になったからこそ今回のお話は成立する訳なので、そこは合同開催に尽力してくれた人々に純粋に感謝すべきだろう。

 今回は良くも悪くも友達や姉妹に対してもどこか遠慮しがちで、勝負事に対して非情になり切れない一面や、他人想いが故に自分を出し切れていなかった一面があった夏明ちゃんが、麻耶ちゃんと映月ちゃんからの嗾けをきっかけに、勝負事なら友達や姉妹であっても一切容赦しない冷徹さと、多少強引であっても自分がしたい事を友達と一緒にしたいと願う、良い意味で強情さと遠慮のなさを発揮できる様になった事に大きな意味があると思っており、これはある事をきっかけにして性格が大きく変貌したり、隠された一面が顕在化したりする展開が好きな私らしい視点でもある。ただ、その様な変化のきっかけは何も今回の夏明ちゃんの様に、何も良い方向性に向かうものばかりではなく、それがきっかけで果てしない絶望の淵に堕ちていってしまったり、身も心も悪魔の様になってしまったりする事だってある事も知っている為、結果的に「人生を変える出逢いがもたらすものは、何も良い事ばかりではなく、それがきっかけで果てしない闇へと引き摺り込まれてしまう可能性だってある。」と言う思想を持ってもいる。しかしながら、私自身ごちうさに関しては「何が起ころうとも、あってはならない程の悪い方向には決して転がりはしない。」と言う信頼を寄せており、故にごちうさに対しては、今後も何があっても必ず前へと進んでいくと言う高い信頼を置くつもりでいる。

 思えば今回のお話はマラソン大会が主体と言う事で、全体的に前向きな気持ちになれる展開が多かった印象もあり、それをして「前に向けて走り続ける」と言う、マラソン大会と気持ちの持ち様をかけた、お笑いとしては取るに足らない事を思い付いてもいる。ただ、取るに足らないとは言っても思想としてはあくまで真面目に考えており、その意味としては「前向きに走り続ける事の難しさを知っているので、夏明ちゃん達には何が起こっても、マラソンの様に長く前向きに走り続けて欲しい」と言うのがある。まぁ、こうやって書き起こしてみると、改めて自分の考えの拙さが見えてくる様だが、少なくともその想いに関しては嘘偽りない真実である。

皆で勝ち得ゆく未来

 次は前回同様、今月号ひいては最近のごちうさを読んで私が度々思う事について書き出したい。私自身最近のごちうさを読んでいて、度々「濃密な人間物語が描かれる事が多くなった。」と思う事があり、具体的には先月号のメグエルと、今月号における夏明ちゃんと麻耶ちゃんが見せた物語や、ティッピーもといおじいちゃんと智乃ちゃんの関係性、心愛ちゃん達は将来的に進むべき道をどの様に考えているのか等々がそれに当たる。そして、それらは原作9巻以降に顕在化しているものが多い為、それをして「最近のごちうさはテーマ性が深化してきている。」と思う事も多く、故に嘗ての様に可愛さが前面に押し出されているイメージは正直かなり薄れているのだが、テーマ性が深化しているお陰で長期的なモチュベーションは寧ろ保たれているので、個人的には今の作風の方が好きであり、好みにも合っていると思う次第である。まぁ、実の所初期のココチノの関係性が嘗てそんなに好きじゃあなかった事も、今の確かな信頼関係を感じさせるごちうさの方を好む要因ではあるのだが......。

 また、原作9巻以降それまでのごちうさではあまり描かれてこなかった「乗り越えなければならない運命」が度々描かれている事にも着目しており、これは将来的に木組みの街を離れる人物がいる事、更なる成長の為には、心の拠り所にしていた人物との別れをも乗り越えなければならない事等が該当すると捉えている。そして、こちらは明確に「哀しみ」がある為、これらが描かれる時のお話は、何時ものほのぼのした雰囲気は鳴りを潜め、代わりに「シリアスな雰囲気」がそこかしこに漂う緊迫した傾向にあると見ている。

 ここで一番大切なのは「如何にしてその様な哀しみを乗り越えていく事」だと思っているのだが、ごちうさでは細かくは違うとは言え、大筋としては「哀しみを覆う程の楽しい事で、現在進行形における自分の心持ちを覆い尽くす」「哀しみや不安を皆で一緒に乗り越えていく」等が挙げられると見ており、前者は心愛ちゃん、後者は智乃ちゃんが代表的だと考えている。尚、これらは「友達の事を想った上で、楽しい事や支える事を意識しているならどちらも正解」だと思っており、ここは純粋に心愛ちゃん達を尊敬している部分でもある。

 そして、この様な事を最近になって思い浮かべる機会が多くなった理由は、私がジョジョ好きになった事と大いに関係がある。個人的には5部「黄金の風」の「ブローノ・ブチャラティ」と、6部「ストーンオーシャン」の「ナルシソ・アナスイ」の2人が、作中でも言及されていた事もあってとても印象的なのだが、ジョジョでは度々「廃れゆくしかなかった心が、ジョジョ(歴代主人公の愛称)との出逢いによって希望がもたらされ、何かを成し得たいと思う気概が生まれた」と言う展開があり、この2人の場合は原作を知っている人なら分かる通り、最終的に辿る運命(さだめ)は現実の無情さを感じずにはいられないものではあったものの、その様な残酷な運命にも臆さず、覚悟をもって突き進んでいく姿には、何と言うか、最早「自分の人生を駆け抜けていく上で大きなメッセージが込められている」とまで思う程である。そこからその様な姿に激しく影響を受けた結果が、ごちうさに対してもジョジョが持つ「運命に対する向き合い方」「運命を知りつつ、その運命に立ち向かっていく意思」を往々にして適応しようとする私な訳だが、そのお陰でごちうさの解像度がまた一つ上がったのも事実であるし、ジョジョの理解度アップにも一役買っているのだから、これもある意味「運命の巡り合わせ」と言うのだろう。

 思えばこのテーマにおける表題についての言及をしてこなかったが、この表題には「乗り越えなければならない厳しい運命も、一時的にもバラバラになる境遇も、心の内では皆と何時も一緒に居る事を意識しつつ、自分の力を存分に発揮して乗り越えていき、その先にある素晴らしき未来を掴み取って欲しい」と言う意味を込めており、さながらサクセスストーリーの如く、皆で最高の未来とセカイを掴み取って欲しいと言う私なりの願望でもある。因みにサクセスストーリーと言うのも、ジョジョ5部の影響をもろに受けた見解である。

 

3.あとがき

 以上がきらま2023年6月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察である。今回は先月号のメグエルと対比するかの様に、夏明ちゃんと麻耶ちゃんの関係性及び切磋琢磨が行われていたのが印象的であり、更におっとりしたメグエルと違って、良くも悪くも少々荒っぽい所もある2人なので、細かく見れば見る程、その対比関係が絶妙なものになっている事が分かるのも凄い所だと思う。尤も、それを考慮しても夏明ちゃんと麻耶ちゃんが、お互いの事になると多少なりとも口が悪くなりがちな点に関しては少々複雑ではあるが、これもリゼユラに比べれば全然可愛いものではある。無論、これでは口が悪くなるのだって上には上があると言っている様なものなので、余計複雑な気分にはさせられるが......。

 今月号も先月号に引き続いて「濃密な人間物語」と思う程、人間関係が織りなす物語が強烈なメッセージ性を帯びており、新たな日常で描かれるテイストに感銘を覚える一方、色んな意味であらゆる既存趣味の勢いを遥かに凌駕するジョジョの影響をもろに感じさせる見識を展望する事は、私自身とて「こんな感じで良いのかな?」と、自分が行っている事に待ったをかける事もゼロではない。しかしながら、それでも決して歩みを止めないのは「それが自分の信ずる道だから」であり、今回も自分の信念ひいては「やりたい事」に付き従っている。やはり、こればかりはどうやっても譲れないのである。

 今回は前回よりかは書くネタに困る事は無く、割とサクサク書き進められた。なので、結果として「先月は何故にあんなに悩まされたんだ?」と自分でも思いたくなるが、先月は多分メグエルの2人が魅せた美しき光景に感化されて、そこから「何か凄い事書かなきゃ!」と言う想いが空回りした結果な気がしてきた。まぁ、実際には本当に書くネタに困窮していただけで、別に凄いものが書きたいとかそういう訳でも無かったのだが、人間頭ではそうだと思っていても、無意識の内に「良く見せたい」と言う願望が往々にして働くものなので、無意識に働いていた意識が、感覚を多少なりとも狂わせていた可能性もゼロではないと思っている。えっ、都合の良い言い訳を並べていると?そう言われると、全くもって「その通り。」としか言えない......。ただ、もとより何としてでも言い逃れをするつもりも無いのだが......。

 色んな意味でごちうさジョジョをはじめとしたマンガの影響が著しい私だが、一方で集中的にきらら系マンガを読んでいる今の環境をして「これぞ、私の求めていたものだッ!」*7と思う事も多く、故に純粋に幸せを感じる事も多い。因みに好きなマンガのジャンルはバトルアドベンチャー、百合マンガ、アクションアドベンチャー、日常系マンガ、コメディーマンガ、サスペンスホラー、サイコホラー、ホラーアドベンチャー、ラブコメ等々多岐に渡っており、ここはクラシック、ロック、パンク、プログレ、ジャズ、ブルース、アニソン、ポップミュージック等々、私が様々な音楽ジャンルを好んでいる感覚とほぼ同じである。何と言うか、沢山のジャンルを好きでいる事に一種の喜びを覚えるのであり、沢山の世界に触れてみたいと言う好奇心が成す業なんだと思う。尚、この様なスタンスはあくまで「自分がそうしたいからやっているだけ」の事なので、「そういう考え方も世の中にはある」と言う形で理解して頂けるなら幸いである。

 今回もかなりフリーダムな構成となり、最初から最後まで自分が言いたい事を詰め込んだ内容となっているが、元々私はこの感想・考察ブログ記事を「自分の想いを展望する」と言う目的で書き始めているので、今の方針はある意味既定路線ではあるし、やりやすいスタンスでもある。なので、今回もスピーディーに書き進められた事をもって、この感想・考察記事の締めとしたい。

 

 

おまけ

今回の文量は全て合わせてのべ400字詰め原稿用紙29枚分である。今回は極めて安定的に書き上げており、生活スタイルの変化に上手く適応させながら書き進められている事が何よりも良きことだと思っている。

*1:その結果はと言うと......、それは各々お察し下さいとしか......。

*2:ただ、その発破の掛け方は気持ちこそ理解できるが、些か暑苦しいのが否めず、個人的には「急にアツくなってもなぁ......。」となってしまった。私とて内に秘める情熱は相当なものなのに、なんだか申し訳ない。

*3:これもまた、夏明ちゃんが外では威勢の良い所を発揮できない内弁慶である事を示している。

*4:夏明ちゃんは姉である映月ちゃんの事は基本呼び捨てで呼んでおり、反対に映月ちゃんは妹である夏明の事は基本ちゃん付けで呼んでいる。

*5:ただ、これは同時に夏明ちゃんが他人想いの優しい子である事の証明でもある。

*6:尤も、夏明ちゃんの例なんぞ全然可愛く見える事例が当たり前の様に登場する作品を好んでいる身としては、正直「まぁ、もっとヤバい例なんてなんぼでもあるから......(震え)」となるのも事実だし、実は言う程気にしていないのだが。

*7:この言葉でさえ、ジョジョ5部の影響を受けているかと思うと、最早マンガの影響は底知れない......。