多趣味で生きる者の雑記帳

現在は主にごちうさに対する想いについて書いています。

きらま2022年5月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察

 こんにちは。毎月の様に「ごちうさの最新話をきらまで読んでは、その感想と考察をブログにて書き出す」のを繰り返している内に、いつの間にか19日が近付くと「そろそろ今月号のごちうさを読んだ感想・考察を書く時が近付いてきた。」と思う様になってきました。私のちょっとしたルーティンとなりつつある訳であり、毎回の様に自分なりに楽しみながら書き進めている所存です。

 さて、今回はまんがタイムきららMAX2022年5月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察を書き出したいと思います。今月号は元々は同じ高校の先輩後輩であり、理世ちゃんが大学生になった現在でも、昔と全く変わりなく親密な関係にある「リゼシャロ」ペアが中心となる回であり、そこから見えてきた様々な魅力は正に感銘の一言に尽きる訳ですが、その一方で私としては最近のごちうさでは度々盛り込まれる事も多い「変化と不変」が今月号においても重要な要素として存在していた事や、理世ちゃんの幼なじみである狩手結良ちゃんがまた新たな一面を見せてきた事にも大きく惹かれた経緯がある為、今回は様々な要素を詰め込んだものになると考えられますが、今回もいつも通り率直に書き出していきたいと思います。

※注意※

最新話及び単行本10巻以降のネタバレを含むものなので、その辺りをご了解お願い致します。また、ここで書き出した推察や考察は個人的な見解です。

1.はじめに

 今回のお話はリゼシャロが中心となる回であった為、最近のごちうさにおいて度々見かける「どことない異質な雰囲気」は大分控えめになっており、それ故に今回は概ね何時ものごちうさらしい日常だと言える様になっていると感じたが、それでも異質な雰囲気そのものは今月号においてもきちんと存在しており、理世ちゃんの幼なじみである狩手結良ちゃんが見せたリアリスト(現実主義)としての一面や、木組みの街の住人の中でも随一の異色な雰囲気を纏う結良ちゃんに対して、人見知り故に警戒心を剥き出しにしてビクビク怯えていた冬優ちゃんがその最たる例である。因みに結良ちゃんに対して警戒心を剥き出しにしていた冬優ちゃんの怯えぶりは、嘗て冬優ちゃんがまだ木組みの街に対して殆ど慣れていなかった頃に見せていたものとも大分異なるものであるが、それでも冬優ちゃんが結良ちゃんに対して抱いていたであろう怖さは何となくでも伝わってくる上、その恐怖度は折り紙付きな事も中々に笑えない。ある意味「ブラックユーモア」*1である。

 また、今月号は扉絵に関しても先月号とは全く違った感触を抱いており、先月号は神沙姉妹が見せた悪魔的な雰囲気に対して、深く考える事も出来ないままに惹き込まれた*2訳だが、今月号は割と冷静さを保ったままに扉絵と向き合う事が出来たと自負しており、そこで私は今月号の扉絵に対して「紗路ちゃんと結良ちゃんにとって、理世ちゃんはこれからもずっと大切な存在。」だと感じ取った。ただ、素性が掴みにくいが故に何を考えているのか良く分からない結良ちゃんが、この関係性に対してどう思っているのかと考えたくもなったが、もしそれを実行した場合、少しでも判断を間違えると訳も分からない恐怖と不安に追い回されると考えた為、今回は止めておいた。当たり前の事だが、訳の分からない恐怖や不安程、恐ろしいものも早々無いものであり、故に回避できるなら回避するべきである為、今回は回避した形を取った訳だが、結良ちゃんに対しても屈託なき想いを持つ私にとっては、正に気持ちを整える為の一時しのぎに過ぎず、何れは逃げられずに呑み込まれゆく、或いは自ら覚悟を決めて飛び込んでいく運命にあるかも知れない……。

 そこはかとなく尖った内容になったが、これはあくまで私自身がその様な考えを持っているだけであり、今月号はリゼシャロの高校時代から変わらない良好な関係性や、ラビットハウスの変わらない雰囲気等、思わず安心する展開も多く、また異質な雰囲気があるとは言っても、10巻終盤から11巻序盤にかけてのそれと比べれば、私が思うに正直かなりマイルドであり、故に今月号は最近のごちうさの中でも比較的穏やかな展開だと捉えている。つまり今月号においては異質な雰囲気は少なく、ほのぼのとした雰囲気の方が多い訳なのだが、これを「一時的ながらも結良ちゃんが見せた雰囲気に根こそぎ持っていかれた人」が書くとこうなってしまうのである。尤も、後半部分は完全に私の主観なので、そういう見方もあると言った感触で捉えてもらえると幸いである。

2.購読した感想・考察

リゼシャロユラが魅せる関係性

 今月号を語る上で外せないのは、何と言ってもリゼシャロの存在であろう。リゼシャロは2人共に同じお嬢様学校に通っていた頃から、学年の垣根を超えた親友であり、それは理世ちゃんが大学生となった今でも全く変わらず、良好な関係性を保ち続けている。また、紗路ちゃんにとっては自身が苦手とするうさぎと膠着状態になっていた際に、たまたま通りかかった理世ちゃんの手によって助けられた経緯から、自分にとっての大いなる憧れでもあり、彼女が理世ちゃんから「別に先輩と呼ばなくても良い」と言われながら、頑なに「先輩」と言う呼称を外さないのも、単純に理世ちゃんは自分より年上(理世ちゃんは早生まれの為、厳密には一学年上)だからというだけでなく、「彼女にとって理世ちゃんは憧れの先輩故に、先輩抜きでは呼べない」と言う彼女の信念がある為であり、理世ちゃんもそれはきちんと理解している。

 そんなリゼシャロだが、今月号においては正に主軸と呼ぶべき存在感を発揮しており、故に大学生になった理世ちゃんと高校生の紗路ちゃんと言う、今までとは一線を画した関係性がより深く見えてくる意味でも重要なのだが、今月号では更に理世ちゃんの幼なじみであり、ごちうさの登場人物の中でも独特の雰囲気を持つ結良ちゃんが少しながらも割って入る事で、今までのリゼシャロとは一線を画した雰囲気を見られるのが最大の特徴であり、前半はそんなリゼシャロを中心に思った事を書き出していきたいと思う。

新しくなった関わり方

 今月号は冒頭いきなり理世ちゃん周りの関係性の変化について言及されており、そこから大学生になって多少なりとも人間関係の変化は理世ちゃんにもあったのだと思いもしたが、そこで一番気になったのはやはり「大学生になってから、結良ちゃんが理世ちゃんに対して絡みを増やしてきた事」だろう。尤も、結良ちゃんは理世ちゃんとは幼なじみである為、本来そこまで違和感は無い筈なのだが、これが「私が知らないだけなのか、本当にそうだったのか」は、抑々の描写や言及自体が少ない為に分からないものの、理世ちゃんと結良ちゃんは幼なじみでありながら高校時代は変に絡みが少なかった印象があり、故に大学生になって急に絡みを増やしてきた事に対して少なからず違和感を覚えた。

 これに関しては、恐らく結良ちゃん自身が抱えている一種のコンプレックスが関係していると考えている。結良ちゃんは原作9巻で理世ちゃんに対してかなり衝撃的な事実を告白しており、それは私が思うに「上下関係や立場の違いも関係ない、対等な幼なじみの関係性になりたかった」と言う想いが込められていると捉えている。ただ、言っても結良ちゃんは何を考えているのか良く分からない性質故に、彼女が大学生になってから何故に理世ちゃんとの絡みを増やしたのかは分からないが、他方で結良ちゃんは最近になって理世ちゃん宅にてメイド服姿で御奉仕している一面があり、これを鑑みると「結良ちゃんは理世ちゃんとの特別な関係性を見出す為に絡みを増やしているのではないのか。」と思えなくもなく、結良ちゃんにとっての特別な関係性が正に幼なじみとの普通の関係性だと言うならある程度は納得できる。そして、そこに大きく関わっているのが心愛ちゃん達の存在であり、理世ちゃんは心愛ちゃん達との出逢いを経て大きく変化しているが、結良ちゃんは心愛ちゃん達の世界観に深く染まっている訳では無い為、結良ちゃんは理世ちゃんとのある種の距離感を感じている可能性も高く、その距離感を埋める為に理世ちゃんとの2人の時間をより密接なものにして、幼なじみとの関係性を改めて強固なものにしたいと願っている事もあり得る。

 つまり結良ちゃんが理世ちゃんとの絡みを大学生になってから急に増やしたのは、結良ちゃんにしても幼なじみの理世ちゃんとの関係性を現状維持のままではなく、もっと深淵たるものにしたいという願望の表れではないかと言う訳であり、これだけならさほど逸脱している様には見えず、故に私が違和感を覚えたのも変な気がしてくるが、結良ちゃんは自分が願うものの為ならあらゆる手段も辞さない所があり、詳しくは後述するが今月号においても理世ちゃんを嗾ける様な発言を見せたり、今までも理世ちゃんに対して妬み嫉みを滲ませた本音を本人相手に躊躇いなくぶつけたり、理世ちゃんの世界観を大きく変えた存在でもある心愛ちゃんに対しても自分の手中に収めたいと言わんばかりに誑(たぶら)かしたりと、他の登場人物なら恐らくできないであろう事も、殆ど臆する事なく実行に移せる一面があり、これが彼女を「異質な雰囲気を持つだけでなく、他の人とはあらゆる意味で違っているミステリアスな人物」と言うイメージにさせているのであろう。

 ただ、これらは言い方を変えると「結良ちゃんも理世ちゃんと幼なじみらしいもっと親密な関係性を築きたいと思っている事」でもあり、故に結良ちゃんがミステリアスな雰囲気の中でも度々見せる本心は、結良ちゃんも本当なら仲睦まじい関係性を真っ当に築き上げたいと考えている事の表れでもあると考えている。結良ちゃんは人間関係に関しては決して器用な人物ではなく、人間関係をめぐっては順風満帆では無い事は直ぐに分かる上、本人も周りの人達をどんどん自分の世界に取り込んでいく心愛ちゃんに対してどことなく嫉妬が芽生える事を言及していたが、これも結良ちゃん自身紆余曲折無く、スッと人間関係を育んでいく事に憧憬意識があるからだと思えば、結良ちゃんに対するイメージも大きく変わるものである。

 ここまでリゼシャロと言うよりリゼユラになったが、ここからはリゼシャロといきたい。リゼシャロは理世ちゃんにとってもリゼユラと異なり「高校時代から変わらない良好な関係性」と位置付けており、今月号においてもそれは強調されている場面が多くある。また、元々は同じお嬢様学校の先輩と後輩と言う関係性である為、理世ちゃんが大学生となった現在でも紗路ちゃんは一貫して理世ちゃんの事を「先輩」と付けているが、その距離感は異学年同士である事を鑑みるととても近く、結良ちゃんが多少なりとも揶揄いたくなるのも納得である。

 そんなリゼシャロだが、今月号においては「不変の関係性」として扱われており、全般的に高校時代から変わらない2人の関係性と言うのが良く分かる構成となっている。ただ、冒頭においては変化した理世ちゃんの髪型と、高校時代から変わらず元来のくせ毛の紗路ちゃんをめぐってかなりあたふたした様子が見受けられていたが、今思えば「不変の関係性の象徴たる2人でも、昔と変化している部分がある事の序曲になっていた。」と考えている。因みにその変化とは、理世ちゃんは今までも度々言及されてきた様に「大学生になってから髪型をチェンジ」している事であり、紗路ちゃんは変化してゆく理世ちゃんに引けを取らない様に、自分が出来る範囲でオシャレに磨きをかけていきたい事であるが、今月号でも後述される様にイメージチェンジに伴う知識や、オシャレのトレンド(流行)に対する知識は紗路ちゃんの方が上である為、それをして「色々あってもリゼシャロはやっぱり良い関係性だ。」と思うばかりである。

意気込みと嗾けと空回り

 今月号はリゼシャロが中心となる回である事は先も言及した通りだが、その2人が合流して最初に立ち寄った「ブライトバニー」で結構衝撃的な事実が判明しており、それは「神沙姉妹が落ちたブラバの面接に結良ちゃんが受かっていた」と言うものである。先月号にて詳しく言及されているが、神沙姉妹がブラバの面接に落ちたのは「採用人数が1人の所に仲睦まじい2人が来た事により、どっちを採るのか天秤にかける事などできる筈がなかったため」であり、要は神沙姉妹の事を想った店長が見せた一種の優しさだった訳だが、現実問題としてアルバイト採用と言う名の椅子に誰か1人が座るのに変わりは無く、結果として今回その椅子に座ったのが結良ちゃんその人だった事が判明した訳である。

 そんな結良ちゃんだが、ブラバ勤務時には持ち前の独特な雰囲気と愛想の良さを武器に中々な接客術を見せており、リゼシャロ2人の接客を行う場面では、幼なじみと同じお嬢様学校の後輩故に2人の事を良く知っている事*3を利用して、理世ちゃんに対して一種のマウント(優越性)をとる一面を見せている。また、ただマウントをとるだけに留まらず、理世ちゃんに対して「後輩がいつまでも慕ってくれると思わない方が良い」と、正に悪魔の囁きと言うに相応しい魔性の雰囲気をもって、理世ちゃんにだけ聞こえる様にヒソヒソ話していたのは印象的であり、私としてもここで見せた結良ちゃんの悪魔的な雰囲気に一時根こそぎ持っていかれてしまった。尤も、結良ちゃんが一体どの様な趣旨をもってあんな事を言ったのかは分からず仕舞いだが、可能性としては恐らく2つあり、一つは「自分が先輩だからと驕っていると、人は簡単に幻滅して離れていってしまうから、驕らず精進し続ける意思は絶対に忘れるな」と言って理世ちゃんに対して一種の警鐘を鳴らすもので、もう一つは「慕ってくれるからって油断しているなら、紗路ちゃんの事を私の方に気を惹かせる様にするよ」と言って理世ちゃんを嗾けるもので、どちらにしても一種の牽制になる訳だが、前者は抑々理世ちゃんが驕りを見せる様な人物では無い事と、流石に思想がえげつないものとなってしまう為、恐らくは後者だと思われる。と言うか、実の所前者の思想は「出来るならあって欲しくない仮定論」として私自身位置付けている為、寧ろ外れていた方が有難いのが正直な所である。

 そして、そんな結良ちゃんの言葉を聞いた理世ちゃんは思わず冷静さを失くしたのか、その後の紗路ちゃんとの行動では「自分が先輩としてエスコートしようとするが、買い物先が紗路ちゃんの得意分野たる食器店だった為、あっけなく失敗に終わる」・「紗路ちゃんが何を考えているのか良く分からず、思わず平静さを失くした行動をとる」と言った感じでらしくない空回りぶりを披露しており、完全に結良ちゃんの言葉に踊らされた格好となってしまっている。その為、ブラバ直後からのリゼシャロはいつも通り理世ちゃんが先導をとっているものの、その先導者がいまいち空回りしているのが否めず、結果的に先輩らしさはあまり発揮できていないが、それでも年上らしい一面は覗かせており、それは「新たな客層の為に、ラビットハウスや私自身を変化させていく」と言う理念であり、これが理世ちゃんが食器を買いに行った理由でもある。

 ただ、その様な理世ちゃんの理念に対して紗路ちゃんはかなり複雑な様相を呈しており、その理由として紗路ちゃんとしては「理世ちゃんが昔の理世ちゃんでは無くなっていくのが寂しい」と言う想いがあったからなのだが、この事を紗路ちゃんは理世ちゃんにハッキリ伝えるのに抵抗を感じていた風に見えたのも印象的である。恐らく紗路ちゃんとしても「大学生になってからどんどん変化を遂げていく先輩が嬉しくもあるが、それ故に昔の先輩では無くなっていくのがやっぱり寂しい」と言う心の葛藤があり、それ故に理世ちゃんに対して自分の本心を伝える事に対して気が進んでいる訳では無かったと思われる。また、紗路ちゃん本人も先輩の成長や変化を自分の勝手な意思で阻害してはならない事は重々承知していたと考えられる事や、紗路ちゃんとしても恐らくながら「私が言ってどうにかなる様な事でもない」と分かっていた事と思われ、その事も本心を明かす事に躊躇いを生じさせていたのだろう。

 しかしながら、紗路ちゃんが大学生になってから更に成長しゆく理世ちゃんに対して一抹の寂しさを覚えているのが事実な一方、どんどん大人になっていく先輩を嬉しく誇りに思っているのもまた事実であり、元々オシャレに対するセンスが良い紗路ちゃんが更にオシャレに磨きをかけていたのも、今月号において元来のくせ毛を気にかけていたのも、今月号においては偏(ひとえ)に「大人な雰囲気を持つ理世ちゃんの傍にいて恥ずかしくない自分であるため」であり、これは紗路ちゃんが大人な雰囲気を帯びていく理世ちゃんをきちんと受け止め、自分の中でしっかり呑み込まなければ出来ない事でもある為、紗路ちゃん本人としても理世ちゃんがどんどん大人になっていく事に対して一抹の寂しさや迷いはあっても、その事実から完全に目を背ける事はしない覚悟を決めていると言えよう。

 因みにそんな気概を持った紗路ちゃんの事を知った理世ちゃんは、紗路ちゃんに対して「お前みたいな可愛い後輩をもって、私は幸せだ。」と言わんばかりに紗路ちゃんの事を可愛がって彼女を思わず困惑させている。思えば先輩と後輩とは言っても1学年差であり、しかも理世ちゃんは早生まれ*4な為、2人の年の差は凡そ5ヶ月*5しか無く、故に抑々論として「リゼシャロが魅せる良き先輩と後輩と言う関係性」に対してどこか不思議な感覚を抱く事もあるが、もし理世ちゃんが紗路ちゃん達と同学年だった場合、今月号の様な関係性はおろか、今の理世ちゃんが築き上げた関係性も全く違っていたものになっていたのはほぼ確実だったと考えられる為、今の先輩と後輩という図式があるのも一種の奇跡なのだろう。

変化と不変の象徴

 前半では今月号を語る上で外せない要素として「リゼシャロの存在」を挙げたが、後半では主たる舞台のラビットハウスの雰囲気ひいては最近のごちうさにおいて度々登場してくる「変化と不変」が非常に重要な要素として機能していると見ており、それは今月号の後半の至る所に散りばめられていると考えている。尤も、私としては急に「変わっているのに変わらない」なんて言われると、思わず「変化しているのかそうでないのか分からなくなる」となって混乱しそうになるので、それを避ける為に私は「『変わっているのに変わらない』の意味」について考えを馳せており、最終的に「変化と不変」の意味について私は「中身は変化しながらも骨格は変化せずに保たれていると言う意味」だと位置付けて答えを出している。これは言うならば「例え一部が変化しても全体は変わらない」と言う事であり、今月号のラビットハウスが魅せつけた新たな雰囲気と言うのはそういうものに位置付けられていると個人的には考えている。尤も、これはあくまで「私ならこう考える」と言うだけのものである為、この考え方がどうなのかは人それぞれ意見があると思うし、まして「これが本当に良い結果をもたらす選択なのか」と言うのも非常に難しい話ではあるが、私としては「この様な意見もある」と思ってくれれば幸いである。

 ここから一気に話題が変わるが、後半からは私自身今月号の要と称したリゼシャロの関係性にも変化が生じており、前半においては多少頼りない部分はありつつも、基本的に理世ちゃんが先導をとると言ういつも通りのスタイルであったのに対して、後半においてはカフェイン酔いを起こした紗路ちゃんによって完全に立場が逆転し、それまで先導を切っていた理世ちゃんが、カフェインに酔った紗路ちゃんによって逆に懐柔されてしまうと言う、いつもと立場が完全に逆転したリゼシャロを見る事が出来るのも特徴的であり、前半との対比と相まって印象的なものとなっているといえよう。

変化と不変の雰囲気

 今月号後半において外せない要素と言うのは、何と言っても智乃ちゃんの祖父が建てた喫茶店であるラビットハウスなのは先にも説明した通りだが、肝心の内容についてそれぞれ解釈を入れると、変化は「最近増えてきたお客さん(特に子供さん)のニーズに応えるために中身を少しずつ変化させている事」で、不変は「高校生時代の理世ちゃんにとってはある種のチャームポイントでもあったツインテを始めとした、ラビットハウスの骨格を変えずに維持している事」だと捉えており、どちらも今後のラビットハウスの世界観を創り上げていく上で大変重要な要素だと認識している。因みにこの事実は言うならば「今まで築き上げた世界観を残しつつ、今後私達が創り上げていかなければならないラビットハウスを模索している事」も意味している為、この事は智乃ちゃん自身の喫茶店創りにも大きく影響するものがあると思う。

 また、今月号においては理世ちゃんのツインテが割と頻繁に取り沙汰されているが、そのツインテをめぐっては私自身興味深い事が一つあり、それはツインテ即ち今まで通りの理世ちゃんの方が子供さんには好評な事」である。抑々最近のラビットハウスは元来のシックで落ち着いた雰囲気から一転して、多くの「楽しい」で溢れた喫茶店へと変化しつつある事や、「ラビットハウス3姉妹」を始めとしたキュートでほんわかした印象が、雑誌や周りからの評判等々を通して世間一般に広まった事もあってか、何やら新しい客層として子連れさんが増えている様で、故に子連れのお客さんにも楽しんでもらえる様にする為の新しい工夫が随所になされており、それ故に今月号で度々出て来ている様に、細やかな部分が正に「変化」していく事にも繋がっているのだが、理世ちゃんのツインテだけは例外的に「昔の雰囲気を残したままの方が新しい客層には好評」と言う事実があり、細かな理由は何であっても「不変の方が新しい人達にも受け容れて貰いやすくなる」と言うのは中々に興味深かったし、単純にツインテの方が子供受けが良いと言うのは、子供好きな一面を持ち、将来は小学校の先生になると言う夢を持つ理世ちゃんにとっても(本人は照れ隠すと思われるが)嬉しいと考えている。

 その為、現在のラビットハウスは「変化した方が良い場合と、敢えて変化させない方が良い場合もあるのが混在している」と言え、今月号においてもそれが意識された構成となっているが、個人的にはそれ故に「ラビットハウスは中身が変化しても骨格は変わらない」とも捉えており、それが与える安心感は紗路ちゃんが見せた反応が証明していると思う。尤も、その紗路ちゃんはコーヒーを飲んでやはりと言うか何と言うか、カフェイン酔いを起こしてしまう事になるのだが、それは後述。

逆転の関係性

 ここからはラビットハウスにおけるリゼシャロの関係性について書き出したい。今月号前半においては、度々逆転している部分はありつつも理世ちゃんが先導をとり、紗路ちゃんがそれに追従すると言う体裁が保たれていたのに対して、後半においてはカフェイン酔いを起こした紗路ちゃんの手によって完全に逆転し、理世ちゃんが紗路ちゃんの手によって調子を狂わされ、紗路ちゃんから自分の本心をストレートに言われて思わず赤面すると言うレアな展開が多くあり、色々な意味で可愛さが溢れる展開になっている。因みに紗路ちゃんがカフェインに酔いやすい体質*6だと言うのは昔からなのだが、彼女は自ら「カフェインを摂取しても大丈夫」だと言いながらカフェイン入りの喫食物を摂取して、結果的にカフェイン酔いを起こしてしまう事もある。ただ、これは「友達の想いを無下にする様な事はしたくない」と言う彼女なりの優しさと固い意思故である事も少なくない為、彼女の友達想いな一面が良く表れている。

 そんな一面を持つ紗路ちゃんだが、今月号においてもカフェイン酔いを起こしやすい一面は健在であり、今回も諸事情あってカフェイン酔いを起こしてしまう訳なのだが、紗路ちゃんはカフェイン酔いを起こすと普段の紗路ちゃんとはまた違った面が表れる特徴があり、例を挙げると「自制心が弱くなり、自分の気持ちに正直な言動をストレートに取る様になる」・「テンションが桁違いに高くなり、周りを振り回す事もしばしば」・「ノリが普段とは比べ物にならない程良くなり、普段からノリの良い心愛ちゃんや千夜ちゃんですら凌駕する程」等々があるが、今回のリゼシャロにおいて良く見えていたのが「自分の気持ちに正直な言動をストレートに取っていた事」であり、仕事姿が昔のままの理世ちゃんの事を「さっきのお返し」と言わんばかりに手懐けて、彼女を思わず赤面させたり、自分の素直な気持ちを理世ちゃんに伝えて、やはり彼女を恥ずかしさでいっぱいにさせる等、普段のリゼシャロからは想像もできない様な場面が連続して登場しており、挙句の果てには紗路ちゃんが理世ちゃんの事を多少ながらも揶揄っている面すらも表れている為、私としては驚かされる事ばかりであった。

 この様な事から、後半のリゼシャロは完全にカフェインに酔った紗路ちゃん優位のペースになっているケースが大半なのだが、個人的にはそれ故に前半との対比を成しているだけでなく、紗路ちゃんが「先輩である理世ちゃんや、皆の憩いの場たるラビットハウスが変わらない一面を備えている事に対して安心感と歓びを覚えている事が良く分かる」と捉えている。紗路ちゃんは今月号の前半において明かしていた様に、先輩がどんどん大人になっていくにつれて、先輩の昔の雰囲気や特徴が見られなくなっていく事に少なからず寂しさを覚えていた為、彼女が変わらぬものを見て安心感や歓びを覚える事は、普段以上に重要な意味を持つのは明白であり、紗路ちゃんが珍しく理世ちゃんの事を少しばかり揶揄っていたのも「彼女が変わらないものに対して安心感を覚えている証拠」だとするならば、ラビットハウスで見せたリゼシャロの関係性はある意味「不変の意義、ここにあり」となる訳だろう。

 ところで、個人的には紗路ちゃんがいくらカフェイン酔いの状態だったとは言え、先輩である理世ちゃんの事を手懐けたり、揶揄ったりして大丈夫なのだろうかと一瞬過りもしたが、当の理世ちゃんは後輩から懐柔させられる事で恥ずかしそうにしていたり、揶揄われる事で照れ隠しに走ったりしていたものの、この様な事に対して本気で怒りを覚えた様子は一切無く、寧ろ満更でもない様子を見せていたので、理世ちゃんとしても表立っては恥ずかしさ故に上手く表現できないとは言っても、本心では紗路ちゃんから「昔のツインテのままの方が良い」のをハッキリと言われたり、ツインテであり続ける事を喜んでくれたり、ちょっとからかってくれたりした事が嬉しかったと言えよう。そう考えると、リゼシャロはやっぱり良き先輩と後輩なのだと思う。

 尚、抑々理世ちゃんが紗路ちゃんに対して頼りない一面が出ていたのも、結良ちゃんの言葉によって心が少なからず動揺していたからなのだが、この頃には結良ちゃんから言われた言葉の内容をすっかり忘れてしまっていた事が明らかになっており、結果的に曖昧模糊な結果に終わっている。

幼なじみ故に持つ特性

 今月号は基本的にリゼシャロが中心となる回であるが、最後の局面はブラバで結良ちゃんと千夜ちゃん、それに冬優ちゃんの3人が登場するものであり、これだけでもかなり異色な組み合わせだと思うのだが、内容も例によって異色であり、流石はミステリアスな雰囲気を持つ結良ちゃんの存在ありと言った所である。また、個人的には今月号序盤において結良ちゃんを書き出し、今月号終盤においても結良ちゃんを書き出すとは、今月号の構成上そうなるのは明白だったとはいえ、それを律儀にしっかり書き出している私としても、それだけ結良ちゃんの事がお気に入りなのだろう。

 この最終局面では意外な事実が明らかになっており、それは結良ちゃんが明かしていた「幼なじみを相手にするといつも揶揄い過ぎる節がある事」であり、これには同じく幼なじみコンビを擁する千夜ちゃんも同調している。元々千夜ちゃんは紗路ちゃんに、結良ちゃんは理世ちゃんに対して他の友達や親友にも見せない一面や言動を度々見せており、どちらも己の内面がもろに表れている為、2人共に「幼なじみだからこそ見せられる一面がある事」は何となくでも察しはついていたが、今回本人の口からそれが語られた事で正式に裏付けが取れる様になり、同時に結良ちゃんが顕著に見せる「異質な立ち振る舞い」に対して、一定の根拠をもった説を設ける選択肢が広がった意味でも重要である。尤も、それで結良ちゃんが見せた数々の衝撃的な行動例えば9巻後半で見せた「理世ちゃん相手に嗾けた壁ドン」の説明が出来るのかはまた別の話な上、今月号においては深く掘り下げると言うよりは、話の流れを端的に説明すると言った流れであった為、私としてもこれ以上の事は何とも言えないが、何れにしても幼なじみ相手だからこそ見せられる一面が、ごちうさにおける幼なじみコンビにも存在している事実が明らかになった事は、何か意味があると思うし、今月号では登場していないマヤメグと言う幼なじみコンビにも同じ事が言えると思う。

 但しこの様な意外な一面を見せたとて、今月号では主に理世ちゃんを引っ掻き回した結良ちゃんが異質な雰囲気そのものを持っている事には変わりなく、冬優ちゃんが結良ちゃん相手にビクビクしていたのがその根拠である。尤も、冬優ちゃんはその場に居た千夜ちゃんも言及していた様に、人見知り故に人と話す事が苦手な一面があり、実際に異質な雰囲気とは無縁とも言える心愛ちゃんや智乃ちゃん相手にも出逢った頃は警戒心を緩める事はそこまで無かった事から、例え結良ちゃんが異質な雰囲気を持っていなかったとしても、冬優ちゃんはある程度警戒していた可能性もあった為、冬優ちゃんと同じく人見知りな面がある私としては、冬優ちゃんが結良ちゃんに対して警戒していたのは、確かに結良ちゃんが異質な雰囲気を持っていた事もあったのは紛れもない事実だと思うが、単純に冬優ちゃんが人見知りなのが大きかったと考えている。人見知りな人からしてみれば、単純に良く知らない人に対して自分から積極的に話したり、関わったりするのが苦手なのであり、相手がどの様な特性および雰囲気を持っているのかはまた別である為、冬優ちゃんがどう考えているかは分からないとは言え、少なくとも私から見ればこう思った訳である。

 因みに今月号後半においては人見知りな一面を強く見せていた冬優ちゃんだが、腹話術を用いると途端に言いたい事はハッキリと言う様になる一面も健在であり、これは「仮面を被る事で恥ずかしさが少しでも払拭できる」とも「年上相手でも物怖じせずに指摘できる様になる」ともとれるが、何れにしてもこの時の冬優ちゃんのコメントは的を射たものであり、その的確なコメント力は千夜ちゃんと結良ちゃん相手でも普通に納得させている事が証明している。この事を思えば、冬優ちゃんと結良ちゃんのコンビは冬優ちゃんが本領発揮さえすれば案外バランスが取れるのかも知れないが、本領発揮の結良ちゃんはかなりの迫力がある為、実際の所は分からない……。

3.あとがき

 以上がきらま2022年5月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察である。今回は全体的にほのぼのとした雰囲気であった為、実の所今までの様に素早く取っ掛かりを掴むのが難しかった印象があったものの、私も日常系作品に対して後れを取らない為にも自分が持つ見識に磨きをかけている上、ことごちうさに対してはどんなに苦労する事があっても、自分の想いをしっかり表現する事を忘れないと言う意識が強くある為、結論から言えば今回も前半と後半では書式が多少変化しているとは言え、今までと比べても遜色ない様に纏められたと考えており、故に私としては満足たる所存である。

 今月号は同じ高校の先輩後輩のペアたるリゼシャロが中心な回であり、その高校時代から今に至るまで全く変わらない強固且つ良好な関係性は正に「尊き関係性」の一言に尽きる訳だが、今月号では更に理世ちゃんが先導を切る先輩主導の構成だけでなく、紗路ちゃんが理世ちゃんの事を可愛がってみせる後輩主導の構成もあると言う中々に贅沢な組み合わせが披露されていた為、私としては最早これ以上ない位の良き関係性を観察できたと捉えており、また色々な意味で激震走る展開も度々表れてくる最近のごちうさにおいて、ここまで昔と変わりない関係性を見られた事も嬉しいものだと感じている。尤も、今月号とて決して異質な雰囲気と無縁な訳ではない事も忘れてはいけないが、それを考慮してもなお今月号のリゼシャロは良き雰囲気に満ちていたと思う。

 また、今月号においても最近のごちうさでは度々表れる「変化と不変」がきちんと登場してきた事も中々に重要だと考えており、今月号では主に「リゼシャロとラビットハウス」が「変化と不変」に対する何かしらの関わりを見せていた傾向にあったが、個人的にはそのどちらも「称賛」の一言に尽きる程のクオリティであったのは勿論の事、そこから改めてごちうさにおける変化と不変とは何かについて意識していかなければならない」と思い浮かべてもいる。尤も「変化と不変」は極めて抽象的な概念でもある為、その答えに辿り着くのは至難の業ではあるのだが、それでも事あるごとに意識を張り巡らせるのは、偏にごちうさに対してどんな事でも自分の考えを馳せ続けようと考えている私の矜持故であり、私が持つ限りない情熱故でもある。

 そして、今月号において限定的ながらも登場していた理世ちゃんの幼なじみにして、ごちうさの中でも特異的な雰囲気を持つ結良ちゃんの存在は、個人的には色々な意味で「劇的な程に効果てきめん」であり、結良ちゃんが魅せる異質な雰囲気と立ち振る舞いと、私自身結良ちゃんに対して並々ならぬ想いを持っている事が相まって、今月号においては最早リゼシャロと肩を並べる程の想いを叙述した訳であるが、これは私自身結良ちゃんが特異的な雰囲気を持ちながら、その内心は誰よりも人間味溢れる所が好きだからであり、そこには確固たる信念が存在している。ただ、その信念は「特異的な雰囲気を帯び続ける事に対する畏敬(若しくは畏怖)」或いは「孤高な雰囲気に対する心酔」なのか、それとも「純真たる想いの結晶ゆえ」なのか、はたまた「複雑に絡み付いた恐るべき想いから」なのか、何を拠り所としているのかは良く分からないが、それでも分かる事があるとするなら「私が持つ狩手結良に対する想いは、良くも悪くも最早一義的な物では説明できない程に複雑なものになってしまった事」だけであり、その錯綜たる心意気は他の追随を許す事はないだろう……。

 最後の項目でも中々に深淵たる内容になったが、これも私自身ごちうさに対する屈託なき想いがあるが故であり、今後もその想いが揺れ動く事があっても、ごちうさを読み続ける事には変わりは無い事をもって、この感想・考察の締めとしたい。

 

おまけ

今回の文量は全て合わせてのべ400字詰め原稿用紙37枚分である。今回は正直内容を推し量るのが難しかった為、ここまで書くのは容易ではなかった。やはり何気ない日常から何かを読み解いていく事程、簡単そうに見えて実は難しいものも早々無いのであろう。

*1:笑いの後に恐怖が走る事。

*2:これには私が悪魔的な雰囲気を好みとしているのが大きいが、それは同時に悪魔的な雰囲気に触れた際に冷静さを失いやすい事を意味する為、扱いには我ながら気を付ける必要があると思う。

*3:ここでは紗路ちゃんがオシャレのトレンドに詳しい事と、理世ちゃんが紗路ちゃんとは対照的にオシャレのトレンド(と言うかトレンド全般)に弱い事。

*4:因みに理世ちゃんの幼なじみである結良ちゃんも早生まれであり、もっと言うなら智乃ちゃんの親友たる冬優ちゃんも早生まれである。

*5:尚、4月生まれの心愛ちゃんに至っては僅か2ヶ月程度の差しかない。

*6:コーヒーは勿論の事、カフェインが少量でも入っているならお菓子でも酔う。