多趣味で生きる者の雑記帳

現在は主にごちうさに対する想いについて書いています。

きらま2022年2月号掲載のごちうさを読んだ感想・考察

 こんにちは。遂に今年最後のきらま発売日を迎えましたが、私自身は特に変わりなく、今まで通りごちうさについて思った事・感じた事・考えた事を率直に書き出すのみです。それが、私がごちうさに対して成し得たいと考えている事でもある限りは、余程の事がない限り永久にと……。

 さて、今回はまんがタイムきららMAX2022年2月号掲載のごちうさの感想・考察を書き出したいと思います。今月号は先月号や先々月号とは異なり、一貫した時間軸の中で物語が進んでいく構成の中で、成長について考えていくお話となっていますが、それ故に自分自身の人生観にも大きく関わってくると個人的には考えているので、今月号は先月号と同様にロマンチックな感性を意識しつつ、己の人生観や価値観にも問いかける様な内容にしたいと思います。

※注意※

最新話及び原作コミック10巻まで及び11巻の範囲のネタバレを含むものなので、その辺りをご了解お願い致します。また、ここで書き出した推察や考察は全て個人的な見解です。

1.はじめに

 今回のお話は、先月号や先々月号の様な「場面によって時間軸や世界観が大きく異なる構成」を採っておらず、終始現実世界でお話が進んでいく構成を採っている。それ故にある意味「何時ものごちうさらしさ」が久々にお目にかかれると言う訳になっているが、今月号も先月号や先々月号の様な感動的な描写や、原作10巻収録話の様な回帰を意識した描写もしっかり用意されており、総じて言うなら11巻の序盤に相応しい内容になっていると言える。

 また、今月号はチマメ隊とりわけ麻耶ちゃんに焦点が当てられており、その内容も「精神的な成長における悩み」と言う部分が色濃く表れており、高校生になって徐々に大人と言うものを意識していく中で、今の自分とのギャップに想いを馳せるのが良く分かる様になっている。今回なそんな麻耶ちゃんの心境に深く焦点を当てつつ、先月号の様な感性を持った率直な想いを書き出したいと思う。

2.購読した感想・考察

お茶会までの歩み

 前述の通り今月号は主にチマメ隊に焦点が当てられているが、序盤と終盤においては他にも神沙姉妹の2人にも焦点が当てられており、それぞれが精神的に成長した大人っぽい一面や、まだまだ年相応の子供らしい一面を見せる部分がポイントになっている。因みに今月号の全体を通して高校1年生組は冬優ちゃん以外の5人が登場している。今月号においては冬優ちゃんだけが一切登場しないのは、冬優ちゃんは今までにも深く焦点が当てられたお話があった事や、マヤメグに関しては最近そこまで中心的な焦点が当たってこなかった為、そのマヤメグを中心に焦点を当てる構成にした為に敢えてそうした事が考えられる。また、冬優ちゃんは同じ学校の同級生の智乃ちゃんと特に深い親交があるので、チマメ隊3人の繋がりをフォーカスしようとする際に冬優ちゃんも一緒に登場させると、どうにも中途半端な状態になる可能性も大いに考えられる事や、実際にその中途半端な状態になる事を未然に回避するパターンとして、今月号において登場している神沙姉妹も、基本的には学校が同じであるマヤメグの2人のみに絡みがあり、智乃ちゃんとの絡みは意図的とも思える位に描写がされていないのである。この事からも、上手くバランスをとる為にはある程度仕方が無いのだろう。

 そんな今月号だが、序盤からして早速「大人なのか子供なのか」と言わんばかりにマヤメグの掛け合いが始まり、そこに夏明ちゃん、映月ちゃんと加わっていき、神沙姉妹とは智乃ちゃんの合流前に別れるものの、そこからすぐに智乃ちゃんが加わり、最終的にはココ千夜を加えて「大人と子供」についての掛け合いがあると言う展開がお茶会直前まで続く様になっている。ここからそんな5人が見せる「序盤における大人っぽさと子供っぽさの傾向」を個人的な解釈で細かく紐解いていこうと思う。尚、中盤以降における変化はその都度書き出すものとする。

 まず麻耶ちゃんは序盤においては子供らしい一面が強く表れていると考えている。これは久々のお茶会を一番楽しみにしているのが麻耶ちゃんである事や、自分が一番小柄な事を利用して心愛ちゃんに可愛がられるように誘導させている事や、何より麻耶ちゃん本人が「子供っぽい事を自認して肯定的に捉えている(=子供で良いと考えている)事」や、彼女が持つ子供っぽさや小悪魔さが色濃く表れているが根拠であり、元々人から可愛がられるのが上手い麻耶ちゃんの子供っぽさが特に表れている事からも、序盤における麻耶ちゃんは「子供っぽさが色濃く表れている」と言える。ただ、そんな子供っぽい一面をポジティブに捉えている麻耶ちゃんも夏明ちゃんに子供だと思われるのだけは心底嫌な様で、夏明ちゃんから子供扱いされた時は血相を変えて子供っぽい一面がある事を否定している。尤も、「子供っぽい」と人から言われて、やたらムキになって必死に否定する一面を見せれば見せる程、自分が「子供っぽい一面がある」と言いふらしている様なものなので、ある意味夏明ちゃんの思う壺なのだが……。

 一方そんな麻耶ちゃんとは幼馴染の恵ちゃんは、序盤においては子供っぽい麻耶ちゃんを見てやや客観視した態度をとっている事や、どの様な場面においてもむやみやたらに感情を表に出さずに冷静な立ち振る舞いを見せている事から、序盤においてはどちらかと言えば「大人っぽさ」が目立っており、それを感じさせる姿としてあらゆる場面の受け答えや状況に対して極めて冷静な立ち振る舞いを見せており、それは智乃ちゃんと合流した後、どんどん成長していく高校1年生組を見てやたら子供っぽい振る舞いや発言をする心愛ちゃんを見ても殆ど変わっていない*1。その為、序盤においてはチマメ隊の中でも「一番大人っぽく落ち着いた雰囲気」を持っている印象が強いが、そんな恵ちゃんも夏服バージョンの制服智乃ちゃんを見てぴょこぴょこ喜ぶ等、子供みたくはしゃぐ場面も存在している。

 次は序盤においてマヤメグのみが合流している神沙姉妹についてである。序盤において神沙姉妹は「ブライトバニーのバイト面接に行く事」をマヤメグに報告する為に合流しており、それ故にマヤメグからも「大人っぽい」と思われる程大人びた雰囲気を帯びている。因みに神沙姉妹はブライトバニーの社長令嬢(つまり社長の娘)である為、コネクションを使えばなんとかなりそうなのは想像に難くない事であり、実際麻耶ちゃんからもそれ(コネがある事)を指摘されているが、本人達はあくまで「実力勝負」に拘っており、権力やコネに溺れたり驕(おご)ったりせずに、正々堂々と真正面から戦いに身を投じる姿は、マヤメグが言う様に私も神沙姉妹は大人っぽくてかっこいいと思う。勿論、結果が伴うかどうかは全くの別問題だが。

 次は智乃ちゃんである。マヤメグと合流した後の智乃ちゃんはやや複雑だと感じており、そう思うのはマヤメグと言う2人でやり取りしている時には「大人っぽさ」が目立っているが、そこに心愛ちゃんが絡むと途端に「子供っぽい」一面が垣間見える様になっていると感じられる為である。そして、それを象徴するのが「智乃ちゃんの表情の違い」であり、マヤメグとやり取りをしている時の智乃ちゃんは、成長した姿の賜物とも言える様な「凛々しく堂々とした大人な表情」を見せているが、心愛ちゃんがチマメ隊の成長を見て子供っぽい振る舞いをしている際には、智乃ちゃんも「どこか妬いている様にも見える、子供っぽい膨れ顔」をしているのである。この事実は、智乃ちゃんにとって「心愛ちゃんにはどうやっても敵わない」とも見て取れるが、一方で智乃ちゃんも「心愛ちゃんには何か特別な想いを抱いている事の証」とも見て取れる。勿論智乃ちゃんにとっては最早姉と言っても差し支えない心愛ちゃんを含めた友達皆が同じ様に大切なのだが、こと心愛ちゃんに対しては、自分にとってのお姉ちゃんなのも相まってどこか特殊な想いを持っているのが読み解ける。

 ここまでがお茶会までの高校1年生組5人の「子供っぽさと大人っぽさ」の違いである。大雑把に傾向を説明するなら「映月ちゃんを除き、普段の立ち振る舞いがそのまま反映されている傾向にある」と言え、普段から大人びた雰囲気を持つ智乃ちゃん*2、恵ちゃん、夏明ちゃんの3人に関しては序盤においてもそのまま大人びた雰囲気が中心に、一方で普段からやや子供じみた雰囲気が目立つ事も多い麻耶ちゃんはそのまま子供っぽさが色濃く表れている。唯一違うのが映月ちゃんで、映月ちゃんはどちらかと言えば子供っぽさが目立つ人物*3であるが、こと今月号の序盤においては嘗て原作10巻にあたるお話の様に、フルール・ド・ラパンの為に一大決心した上で、自身の父親でもあるブライトバニーの社長に直訴した時の様な大人っぽさを帯びている。また、智乃ちゃんに関しても今月号における心愛ちゃんとの絡みを見れば、普段とは違う「子供っぽさ」が出ている様に見えるが、あくまでそれは基本的に「心愛ちゃんに対してだけのもの」なので、今回は敢えて枠組みから外している。因みにココ千夜についてだが、千夜ちゃんに関してはいつも通り「皆のお姉さん」と言った感じであり、ある意味平常運転なのだが、心愛ちゃんが色んな意味でエンジンがかかっており、いつも以上に「子供っぽさ」が目立つ様になっている。一応心愛ちゃんは9巻の途中から高校3年生に進学しており、9巻の最終収録話時点で既に18歳の誕生日を迎えているのだが、ある意味この様な子供っぽさが18歳になっても遺憾なく発揮出来ると言えば良いのだろうか。ただ、何れにしても智乃ちゃんが心愛ちゃんの事を何かしら心配するのも分かる気は確実にするが……。

お茶会で見せるそれぞれの姿

 チマメ隊がココ千夜と別れた後は、いよいよ高校生になったチマメ隊によるお茶会と言う展開が描写されている。尚、お茶会については嘗て原作4巻で描かれていた様に、チマメ隊が中学生時代に高校生組4人と一緒に楽しんでいたのが印象的であり、今月号においてもその嘗てのお茶会を踏襲する側面があり、「先輩としてのエスコート」はその最たる例である。

 そんなお茶会だが、今月号のごちうさの主たるメインとなる展開であり、チマメ隊の様々な一面が改めてフォーカスされている意味でも非常に重要である。全体的な流れとしては「麻耶ちゃんの将来の理想像」から始まり「高校生になってからのイメチェン」⇒「大人と子供に対する見解」⇒「先輩としての立ち振る舞いと、嘗てのお茶会の想起」⇒「麻耶ちゃんの数々のお茶会における行動の真意の探り合い」と言った感じになっており、多くの場面でチマメ隊の成長が感じ取れる様になっているのだが、その中でも麻耶ちゃんの心境変化が大きな意味を持っていると考えている。ここからはそんな心境をチマメ隊3人のそれぞれの視点から書き出したいと思う。

智乃ちゃんの心境

 まずは智乃ちゃんからである。智乃ちゃんは最初の麻耶ちゃんの展望に対しては割と肯定的であるが、やや抽象的な褒め方ではある為、クールな智乃ちゃんらしい褒め方だとは思う。また、高校生になってからの変化をイメチェンと言う形で提唱した張本人でもあり、智乃ちゃんは高校生になってからは、髪型を嘗ての様に長髪をそのまま下ろしている形*4ではなく、髪を下ろす形をベースにしながらも、両側に髪を結って下ろすと言う変化形のツインテ―ルみたくの髪型に変化しており、これは心愛ちゃんに毎朝やってもらっていると言う。その為、これをして智乃ちゃんは「髪型を誰かに整えてもらうのは子供っぽい」と、少々気にしている節があったが、恵ちゃんも麻耶ちゃんもこの事に対して子どもっぽい訳では無いと言う考えを表明しており、それに対して智乃ちゃんは多少戸惑いを見せている。やはり智乃ちゃんとて甘えている様に見えるのが多少恥ずかしいのであろう。

 麻耶ちゃんの悩みや先輩としての振る舞いに対しては、智乃ちゃんは恵ちゃんと共に悪意は無いとは言え、図らずも麻耶ちゃんの悩みを茶化してしまった事を謝った上で、悩み事に対して親身になって考えたり、麻耶ちゃんの後輩に対するストレートで飾り気ない気遣いに感謝しつつも、後輩が麻耶ちゃんの事を気になっている素振りを見せると、麻耶ちゃんの事を一番良く知っているのは私達だと、どこか嫉妬心を隠し切れなかったりと、麻耶ちゃんと長年にわたる付き合いの中で確固たる信頼関係がある事と、それ故に麻耶ちゃんの事を独占したいと言う欲がどこかしら存在している事を窺わせる描写が見受けられており、最終的に智乃ちゃんは恵ちゃんと共に麻耶ちゃんを子供扱いみたく褒めると言う行動に出ている。何だかチノメグの方が子供っぽく思えてくるが、これらは智乃ちゃんも麻耶ちゃんの事が大切なのが良く分かる描写であり、子供っぽい麻耶ちゃんも含めて好きだという事が窺える。

 今回のお茶会は全体的に麻耶ちゃんに主軸が当てられている為、智乃ちゃん本人に深いフォーカスが当てられていると言うよりかは、麻耶ちゃんに付随した形でフォーカスが当てられている格好になっているといった方が適切だと思う。しかしながら、そのフォーカスの当たり方は非常に重要なものであり、特に麻耶ちゃんに対する切なる想いが垣間見えたのが意味のある事だと考えている。無論、智乃ちゃんにとって麻耶ちゃんがどの様な存在かは本人のみぞ知る訳だが、智乃ちゃんにとって麻耶ちゃんは嘗て心を閉ざして塞ぎ込んでいた自分を引っ張り出してくれた存在である事や、その後も数々の楽しい事を教えてくれた親友でもある事を鑑みれば、どれ程意味のある事かは凡そでも窺い知れるだろう。

 因みに私が最も印象的だったのは、智乃ちゃんがこのお茶会において「心愛ちゃんに毎朝髪を結って貰っている事を恥ずかしそうに話していた」ものだった。ただ、智乃ちゃん自身元々甘えん坊な所がある事を分かっていた事や、私自身も誰かに髪を結ってもらう事は別に恥ずかしい事でも何でもないと考えている為、私もマヤメグ同様「それで良いと思う」と言う感情が沸き上がっていたものである。また、このお茶会における智乃ちゃんの属性ぶりだが、これも序盤同様全体的には大人っぽさが目立っているとは言え、要所で心愛ちゃんに髪を結ってもらう事を恥ずかしそうに打ち明ける等、子供っぽい振る舞いをする場面もある。尤も、成長しても子供っぽさを持ち合わせた方が人(特に心愛ちゃん)から可愛がられる傾向にあるので、無理に捨て去る必要も無いとは思う。積極的に推奨できる様な事でも無いが、子供っぽさ溢れるあざとさも中々武器にはなるし、特に姉の心愛ちゃんに対しては最適だと思う。何だか心愛ちゃんに申し訳ない気もするが、智乃ちゃんは本当に可愛らしいから、ある程度は仕方ないのである。

恵ちゃんの心境

 次は恵ちゃんである。恵ちゃんは麻耶ちゃんとは幼馴染である為、麻耶ちゃんの展望に対しては、基本的には智乃ちゃんと同じ様な事を言いつつも、どこか慣れているかの様な対応を見せていたのが印象的であった。また、恵ちゃんも高校生になってから髪型をイメージチェンジしており、嘗てのトルネードから理世ちゃんを彷彿とさせるツインテールになっている。因みにその事について本人はあれこれ理由を立てているが、2人からは割に大元を突く様な冷静な評価を下されている。ただ、それもチマメ隊ならではの絆がなせる技であり、恵ちゃんも2人からどの様なコメントを貰っても終始乗り気である事がそれを裏付けている。要するに3人でそう言ったやり取りをするのが楽しいのである。

 麻耶ちゃんの悩みや先輩としての振る舞いに対しては、大体は智乃ちゃんと同様の振る舞いをしていたが、恵ちゃんらしいマイペースな振る舞いは健在でありながらも智乃ちゃん以上に熱のこもった言動をとっていた風に感じ取れた。また麻耶ちゃんとは幼馴染である事から、麻耶ちゃんがどんどん遠い人になってしまわないかと言う懸念に対しては、智乃ちゃん以上に恐れを見せていただけでなく、智乃ちゃんから思わず驚かれるまでにあからさまな膨れ顔(やきもち焼き)をも見せていた。やはり麻耶ちゃんが自分の傍から離れていってしまうのが嫌なのが良く分かり、それは恵ちゃんもまた、麻耶ちゃんのあらゆる一面をひっくるめて好きだという事がはっきり分かる様になっている。

 先の繰り返しになるが、今回のお茶会は全体的に麻耶ちゃんに主軸が当たられているような構成になっている以上、恵ちゃんにしても智乃ちゃん同様麻耶ちゃんに付随した形でフォーカスが当てられている格好になっているとは思うが、恵ちゃんは麻耶ちゃんとは幼馴染だと言う関係性の違いがある為、一見智乃ちゃんと同じ様な言動を取っている様に見えても、恵ちゃんのそれは智乃ちゃん以上に熱のこもったものになっており、また親密な関係性故に麻耶ちゃんが何らかの要因で自分の傍から離れていってしまう事にやきもちを焼く傾向がより強く出ているが窺える様になっている。これを思うなら、やはり「幼馴染故に深く想う事はあるのだなぁ」と心から思うのは言うまでも無い。

 因みにお茶会における恵ちゃんの属性だが、全体的には序盤同様「大人っぽさ」を思わせる様な言動を取る傾向がチマメ隊の中でも随一であり、これは余談だが、要所ではロッカー*5の様な精神で麻耶ちゃんに立ち振る舞いを提案する場面があり、ある意味一番「大人っぽい」と思わせるには十分な描写が多く目立つ。ただ、そんな恵ちゃんにもこのお茶会において「子供っぽい振る舞い」をした場面があり、それは麻耶ちゃんに後輩のファンが沢山いる事を改めて知って、一番麻耶ちゃんの事を知っているのは私達だと顔を膨れさせながら不満そうな感情を露わにした場面である。これには智乃ちゃんも思わず「子供っぽい」と指摘している位の子供っぽさであり、普段不満そうな感情をそこまで露わにしない恵ちゃんにしては珍しいが、ある意味自分の中に潜在する子供っぽさが思わず露わになる程、恵ちゃんは麻耶ちゃんの事が大好きだと言える。尤も、それを麻耶ちゃんに知られるのは凄く恥ずかしいと思うし、事実恵ちゃん本人も麻耶ちゃんには知られない様にする為の立ち振る舞いを見せている。

麻耶ちゃんの心境

 最後は麻耶ちゃんであり、ここからがある意味本番だという事になろう。尤も、今回チマメ隊3人の中で麻耶ちゃんを一番後に据えたのは私の意図的な事であるし、そうでなくてもこのお茶会における主軸的存在である事には変わりないので、ある意味予定調和ではあるが、何れにしてもチマメ隊の中でも比類なき想いを書き出したいと思う。

 まずこのお茶会において麻耶ちゃんは、将来この様な人になりたいと言う理想像を2人に展開する。そのなりたい人と言うのは勿論理世ちゃんであり、麻耶ちゃんは年上組の中でも理世ちゃんの事を特に尊敬且つ心の拠り所としているので、麻耶ちゃんからしてみれば理世ちゃん以外に思いつく答えは無いのである。ただ、2人は言葉は少し違っているが、2人共端的に言えば「目指す理想は高い方が良い」と言ったコメントを麻耶ちゃんに送っており、これは暗に「麻耶ちゃんが理世ちゃんみたいになるのは無理があるのでは?」と言われている様なものである。これに対して麻耶ちゃんは自分の本心を隠す形で必死に取り繕っていたが、私としては「人から何と言われようとも、自分が決めた理想は絶対大事にした方が良い」と思った。抑々誰を尊敬するかは人の自由であるし、現に麻耶ちゃんの幼馴染である恵ちゃんが特に憧憬している年上組は心愛ちゃんだが、当初その事に対して智乃ちゃんから「本当に良いのですか?」等と心配され、また悪気は全く無いとは言え、心愛ちゃんに対する辛辣な毒舌もとい欠点を列挙し、暗に「尊敬する人はよく考えた方が良い」とまで言われている。ただ、この時は智乃ちゃんもまだ心愛ちゃんに対して完全に心を開いている訳では無かったや、それ故に現在の様な親密な関係性が築かれる前の事でもあった為、ある程度は仕方ない側面もあったのだが、これに対して恵ちゃんは一切ブレる事無く、初めて心愛ちゃんを年上組の中で憧憬している事を明かしてから現在に至るまで心愛ちゃんを最も憧憬する人で一貫し続けている。この事からも「自分が一番尊敬したいと思えるなら、それを貫き通せば良い」事は明白であり、それ故に麻耶ちゃんも無理に隠したり、本心とは異なる形で周りに合わせたりせずに、自分の想いをしっかり伝えた方が良いと私は考えている。勿論麻耶ちゃんが無理にでも人に合わせるのは、それだけ友達を想う事の出来る心の持ち主な事を示しているのは分かっているが、それで自分の本心を偽る様になってしまえば本末転倒である。親密な相手程、自分の本心を伝える事は様々な要因から難しくなるものだが、私としては親密な相手だからこそ、自分の本心はストレートに伝えるべきだと思うのである。

 次に話題は「高校生になってからのイメチェン」になるが、麻耶ちゃんは高校生になってからもショートヘア故に容姿を殆ど変えていない事や、中身としてもチノメグと比べて殆ど変わっていない事から、自分だけ容姿も中身も昔と殆ど変わっていない事をコンプレックスに思う傾向が見受けられていた。また、この様なコンプレックスを抱える麻耶ちゃんが理世ちゃんに憧れているのも「年を重ねても殆ど変わらない自分でも、理世ちゃんとは対等だと思える様な存在になりたい」と言う強い想いがある為で、真意を知ったチノメグは(悪気は無かったとは言え)図らずも麻耶ちゃんを揶揄ってしまった事を詫びていたが、これに対して麻耶ちゃんは悟ったかの様な態度を見せており、かなり凹んでいるのが窺える様な雰囲気を醸し出していた。これに関しては「誰が悪い」とかそういう問題では無いので、チマメ隊の誰かが無理に気負いする必要性は無いと思うが、事実問題として「麻耶ちゃん自身、子供っぽく見える自分の特性が何時まで経っても変化しない(できない)事を気にしている」事は明白であり、チマメ隊の中では麻耶ちゃんが一番先導している様に見えて、実はチマメ隊の中で一番壁にぶつかって悩んでいる事が窺える様になっている。ただ、普段麻耶ちゃんは自分が悩んでいる素振りをチノメグの2人にはあまり見せないので、チノメグの2人が麻耶ちゃんの言葉を冗談半分に受け取ってしまったのも無理はなかったのだろう。

 この様に自分の将来の姿に対してかなり悲観的になっていた麻耶ちゃんだったが、注文したアフタヌーンティーのお菓子が到着するや否や、大層幸せそうな顔を浮かべつつ、今までの悲観的な雰囲気からは想定できない様な明るさをもってお菓子を食べている光景を見せつけている。さっきまで悲観に暮れていたのが嘘みたいな変貌ぶりだが、麻耶ちゃん本人も言っている様に人間お腹が空くとちょっとした事で悲観に暮れたり、イライラに苛まれてしまったりする事も少なくないので、その事を思えばあの時の麻耶ちゃんはちょっと危ない方向性に足を踏み入れかけていたとも見て取れる為、2人は戸惑っていたとはいえ、私としては普段の元気な麻耶ちゃんに戻って良かったとは言えると思う。因みに美味しそうにお菓子を頬張る麻耶ちゃんの幸せそうな顔は、本当の子供みたく無邪気だが、その屈託なき喜びの表情は本物であり、麻耶ちゃんの絶対的な強みが垣間見える様にも感じられる。

 そしてここから、麻耶ちゃんの絶対的な個性の強みがどんどん目に見えて分かる様な場面が多く登場してくる。まずはティースタンドの食べ方をめぐって後輩の中学生が高校生たるチマメ隊の姿を参考にしようとしている事を知った時、戸惑うチノメグをよそに麻耶ちゃんはまどろっこしさも飾り気も全くなく、ド直球も良い所とまで言える様なストレートな言葉をかけて、後輩達を釘付けにしているのである。これは麻耶ちゃんが「スマートに言葉を伝える事や、堅苦しい事が苦手な事」が大きく関わっているが、麻耶ちゃんの場合それが良い方向に働いており、麻耶ちゃんが持つサッパリした立ち振る舞いも相まって、人を惹きつける雰囲気を醸し出している。また、その威力はチノメグの嫉妬具合や、2人が「麻耶ちゃんは今のままで良い」とか「麻耶ちゃんの数々の行動は私達に気を遣ってやった事」だとのべつ幕無し(絶え間なく)に言って、その後ご奉仕と言う形で子供扱いみたく麻耶ちゃんを手懐けていた事からも良く分かる事であり、これらに対して麻耶ちゃん本人は大分恥ずかしそうに戸惑いを隠し切れていない様子や、2人があからさまに子供扱いしている様にしか見えない事をしてくる事に不満そうな態度をとる様子が見受けられていたが、これは「麻耶ちゃんが遠い存在になってしまう」と言う2人の焦りも多少なりともあるが、それ以上に「麻耶ちゃんは今の麻耶ちゃんで十分だよ」と言う2人の気持ちの裏返しでもある為、私としては麻耶ちゃんも十分大人っぽい所を兼ね備えていると感じている。

 全体的な立ち振る舞いについてだが、麻耶ちゃんは途中まで「自分がチノメグに比べて子供っぽいままである事を気にしている」様子が彼女の言動から見え隠れする印象があったが、アフタヌーンティーのお菓子を食べて調子を取り戻してから、一転してチノメグが思わず妬いてしまう程に「麻耶ちゃんの絶対的な強み」を披露していき、最早「大人と言っても全く遜色ない麻耶ちゃん」が表れていた印象が強かった。ただ、それでも麻耶ちゃん本人は子供扱いされる事にかなり不満そうにしていたが、その一方で本調子になった麻耶ちゃんの数多くの行動は間違いなく大人っぽいものであった為、麻耶ちゃんも自分が大人っぽい一面がある事に気付いていない可能性が高い。何だか奇妙にも思えるが、人間自分の事は案外分かっていない所もあるものなので、それを思えば案外あり得る事だと思うし、なにより麻耶ちゃん自身大人っぽさと子供っぽさに対してコンプレックスがある傾向を見せていたので、自分を低く見がちな事も鑑みると、ある種の視野狭窄に陥っている可能性すらあるとも言えるが、何れにしても麻耶ちゃんはこのお茶会で「自身も気付かない様な特性を発揮していた」と言えるだろう。

繰り返す出逢い

 ここまでチマメ隊のお茶会について書き出してきたが、そんなお茶会が終わった後、チマメ隊は(恐らく)帰り道の関係上智乃ちゃんとマヤメグの2人に別れ、以降はマヤメグに視点が当たる構成になるが、このタイミングでマヤメグに対して威勢よくバイトの面接に行く事を報告してきた神沙姉妹と再会する。ただ、神沙姉妹はかなり落ち込んでおり、その理由は言わずもがな、面接の結果がふるわなかった為である。本人達は何故駄目だったのか心当たりは無い様だが、私としてはこの様な失敗も後々絶対に良い経験にはなると思う。尤も、惨めな記憶が無くなる訳では無いが……。また、この時の神沙姉妹の凹み具合はかなりのものであり、面接前の2人が如何にも成し遂げてやりますよと言う空気感が滲み出ていた為に落差が激しいが、一方でその様な逆境にも凹まずに2人共にリベンジを誓っている。ただ、泣きながらリベンジを誓った事が災いして、まるで子供の如く泣きじゃくるような格好になってしまった為、マヤメグから「子供っぽい」と指摘されている。

 だが、そこから恵ちゃんは神沙姉妹に「面接の練習相手になってあげる」と言う感じで手を差し伸べており、さながら面倒見の良さを発揮している。また、そこで麻耶ちゃんに対しては「先に帰っても良い」と言う声かけもきっちりしており、やはり恵ちゃんは大人みたくしっかりしていると思うには十分である。これに対して1人になった麻耶ちゃんはそんな恵ちゃんの大人っぽさに憧憬意識を持ちつつも、そこから彼女は再び自分自身の「子供っぽさを何時まで経っても変えられない」と言うコンプレックスを思い浮かべてしまい、1人暗い影を落とす事になってしまう。やはり麻耶ちゃん自身のコンプレックスは早々解消できるものでは無い事が良く分かるが、普段明るく先導的な行動力もある麻耶ちゃんがここまでしょげているのは、私自身も中々心にくるものがある。

 そして、そんな時である。麻耶ちゃんにとって、幼なじみの恵ちゃんとも、同級生の智乃ちゃん、神沙姉妹、そして冬優ちゃんとも違う、年上組の中でも一線を画す様な信頼を置いている人と突然出逢うのは……。

一線画した信頼関係

 恵ちゃんに大人っぽい一面を見せつけられ、再び自身のコンプレックスに囚われてしまった麻耶ちゃんだが、その折に年上組の中でも最年長であり、麻耶ちゃんにとって特別な信頼関係を置いている理世ちゃんと出逢う事になる。ただ、理世ちゃんは麻耶ちゃんが思い悩む事を知ってか知らずか、麻耶ちゃんの悩み事を悟ったかの様な言葉を発しながら麻耶ちゃんの傍に突然現れている為、麻耶ちゃんは思わず自分の悩みが口に出ていたのではないかと、焦った素振りを見せていた。直ぐに分かる事だが、理世ちゃんもあくまで当てずっぽうで言った事に過ぎず、それ故に合致したのは全くの偶然だったのだが、何れにしても周りから見て何となくでも分かる程、麻耶ちゃんが思い悩む素振りをしていたのは疑いないし、何より理世ちゃんが近くまで来ても麻耶ちゃんは理世ちゃんに全く気付かなかった辺り、麻耶ちゃんは自身のコンプレックスの事になると周りが碌に見えなくなる(つまり視野狭窄)程に思い詰めてしまう傾向にある事も疑いないと言える。言ってしまえば、チマメ隊の中では麻耶ちゃんが見た目一番強そうに見えて、実は一番脆弱な部分が露呈しやすい(=打たれ弱いのかも知れない。

 そんな異質な状態から始まった麻耶ちゃんと理世ちゃんの唐突な出逢いだが、この出逢いは今月号終盤のメインにして今月号全体でもお茶会に並んで重要な局面だと捉えている。尤も、終盤の展開はお茶会に比べてシリアスと言うよりポジティブ寄りになっているが、それ故に麻耶ちゃんのカッコ良い一面も見る事ができる様になっているので、ここからはそんな麻耶ちゃんのカッコ良さや大人っぽさを重視して書き出したいと思う。

 前述の通り、麻耶ちゃんと理世ちゃんの出逢いは些か唐突なものであったが、その後理世ちゃんは麻耶ちゃんの顔を見て、2年前の夏の事を思い浮かべていた。理世ちゃんが言う2年前の夏と言うのは、嘗て麻耶ちゃんがまだ中学2年生だった時にチマメ隊で将来の進路について話し合いをした際に、ふと「高校生になって学校が違えば3人はバラバラになってしまうのではないか」と、一抹の不安を覚えて理世ちゃんに思い切って相談しに行った時の事である。尚、その時のことを振り返って理世ちゃんは、麻耶ちゃんが昔と悩んでいる時の顔つきが全く変わっていない事を指摘して、麻耶ちゃんを揶揄っているが、その一方で「あの時より成長している」とも声を掛けており、自分もまだまだ子供である事*6を引き合いに出してしっかりフォローしているが、当の麻耶ちゃんは理世ちゃんの大切な後半の言葉はそっちのけでアイスを買いに行っており、理世ちゃんにして「中身は全く変わっていない」と言わしめている。麻耶ちゃんらしいと言えばそれまでだが。

 ただ、麻耶ちゃんがアイスを買いに行ったのには複数の理由があり、まずは素直に自分が食べたかったのも当然ながらあったと思われる。よくよく考えれば、さっきお茶会でお菓子を食べていたと言うのに、そこから更にアイスを食べるとは如何にも麻耶ちゃんらしいが、それ以上に「理世ちゃんに奢りたかった」と言う気持ちがあったと考えている。また、ただ奢るだけでなく「日頃の感謝の気持ちを込めて」と言うのが重要であり、それを垣間感じさせる要素として、麻耶ちゃん本人はアイスが1つ分なのに対して、理世ちゃんの分はアイスが3つ分となっており、理世ちゃんに対して多くなる様に奢っているのである。ある種の大盤振る舞いだが、その時の麻耶ちゃんの表情は大変に凛々しいものであり、さながらの「大人を余裕」感じさせる程に眩しくカッコ良く、思わず理世ちゃんを魅了させている程である。因みに理世ちゃんはその際、そんなカッコ良い麻耶ちゃんを見て自分が送れる最大限の言葉を顔を赤らめながら麻耶ちゃんに送っているが、その際に麻耶ちゃんの頭を撫でていた為、麻耶ちゃん本人は困惑していた。麻耶ちゃんが困惑していたのは「理世からも子供扱いされている?!」*7と彼女が感じとったからと考えられるが、当の理世ちゃんからしてみれば子供扱いと言うより、今後への期待として頭を撫でている。因みに物語はここで終わっており、最後はリゼマヤの良き関係性が光る内容になっている。尚、ここまで書いていなかったが、麻耶ちゃんと出逢った理世ちゃんも髪型をイメージチェンジしており、印象的だったツインテールから、ロゼちゃんの時と同じ様な髪を下ろすのをベースにサイドテール(?)を結う髪型をしており、より大人っぽくてお淑やかな印象が強くなっている。尤も、良くも悪くも髪型が変わっても理世ちゃんのサバサバした特性は何も変わっていないが。

 これらを見て私が思ったのは、理世ちゃんも「麻耶ちゃんに対して子供っぽい事を過度に気にする必要は無い」と考えている事であり、これは麻耶ちゃんをフォローしつつ「自分もまだまだ子供」だと言った事がその裏付けとなっている。何故理世ちゃんがこの様な言葉をかけたのかは本人のみぞ知る所だが、年上組の中でも一番の年上である理世ちゃんでも「子供みたいな一面はまだまだある」と言う事で、高校1年生の麻耶ちゃんが「子供っぽい所があるのはごく普通な事」だと伝えたかったのではないかと考えている。年上だからこそできる芸当だが、理世ちゃんらしい優しき言葉だと感じ取った。

 また、理世ちゃんと一緒に居る麻耶ちゃんの立ち振る舞いについてだが、理世ちゃんが話をしているさなかにアイスを買いに行くあたり、ここでも自由奔放で子供みたいな一面を見せている。だが、その一方で理世ちゃんを思わず魅了させる程にカッコ良く、且つ大人っぽい一面も見せており、麻耶ちゃんも同級生組にも引けを取らないまでに大きく成長しているのがここでも窺える。ただ、それでも本人は自分が周りから一目置かれる程に大人っぽくなっている(=成長している)面がある事に対して自覚がない様な反応を見せている為、麻耶ちゃんは周りに対する視野は広い一方で、やはり自分の事になると案外鈍感になるのかも知れない。ただ、そんな麻耶ちゃんも含めて人を惹きつけるとは感じている。

大人っぽさと子供っぽさに対して思う事

 今月号の感想・考察として書き出す主なテーマの最後として、今月号において度々登場して取り巻いていた「大人っぽさと子供っぽさ」について、私が思う事を書き出したいと思う。

 抑々「大人っぽさと子供っぽさ」については、ごちうさにおいては今月号に限らず初期の頃から度々言われてきた事なのだが、今月号では全体的なテーマとして採用されていた事から、改めて関心が湧いてきた所存である。因みに「大人と子供」と言う観点で私がごちうさを読みながら思う傾向としては、全体的な観点として「大人っぽい所もあるが、全体的には子供っぽい部分が多く目立っている」と言うのがあり、特に年上組(とりわけ心愛ちゃんと理世ちゃん)に対してその様に思う事が度々あった。尤も、年上組が年下組に対して時に年下組より子供の様に振舞える事は、それだけ信頼関係がしっかり存在している(=自分の内側を見せられる)証(逆もまた然り)でもあるので、悪い気は全くしないのだが、単純な感想として子供っぽい感じになっている時にそのまま「子供っぽくて可愛い」と思う事もしばしばである。まぁ相手は可愛いを前面に押し出してくる様な個性派の美少女なので、ある程度は致し方ないのだろう。

 そして今月号では、全体的に麻耶ちゃんが「子供っぽい自分を気にしている事」が強く印象にあった。麻耶ちゃんとしては「周りがどんどん大人っぽいと思われる様な落ち着いた雰囲気や、しっかりした統率力を兼ね備えてつつあると言うのに、自分だけ昔と全く変わらない子供っぽさが色濃く残っていて、ちっとも成長していない様に思える事」を気にしていると思うのだが、今月号の麻耶ちゃんが取った数々の行動を見る限り、私としては麻耶ちゃんが子供っぽいままだとは決して思わないし、寧ろしっかり大人っぽい所を発揮できるまでに成長していると感じている。にもかかわらず麻耶ちゃんが子供っぽい事を気にしているのは、今月号の台詞を見る限り、恐らくだが麻耶ちゃん自身が自分自身の事を良く分かっていないのが要因にあると思われる。何とも難しい話なのだが、何度も記述した様に麻耶ちゃん自身がそういう変化に意外と鈍いのも要因の一つなのではないかと考えている。

 尚、私が「大人っぽいと子供っぽいをどの様に捉えているか」についてだが、私が考える大人っぽいと言うのは「物事を冷静に捉えて客観的に判断できる力を持ち、且つ周りに対してもきちんと気配りできる様な人」と言うものである。これは私が考えている大人の理想像のほんの一部なのだが、要するに「自分で物事を多角的に考えられて、誰かの為に自分には何ができるかをよく考えられる人」が、私が考える大人っぽいという事である。何だか変に難しい話になりかけたので手短に切り上げた次第だが、この様な価値観を持つが故に麻耶ちゃんに対しても、たとえ本人が「何時まで経っても子供っぽいまま」だと嘆いていても、私は「麻耶ちゃんにも大人っぽい所はきちんとある」と思い続けられる根拠にもなっている。

 一方で子供っぽいと言うのも、私自身色々思う所はあるのだが、一番は「幾つになっても信頼できる人に対して遠慮なく甘える事が出来たり、幼心を忘れずに大切にできたりする事が出来る様な人」だと考えている。何だか「人に対して甘い」と思われそうなので誤解なきよう書いておくが、私としても子供っぽいと聞いて真っ先に思いつく様な「マイナスイメージ(わがままや自己中心的等)」も持っているのも事実であり、人に対して何でもかんでも甘い訳では無い事は言っておく。その為、あくまで「人としてある程度はちゃんとしている事」は前提としての話にはなるが、赤文字で書いた事は言うならば「信頼できる人にその身を委ねる事や、何時までも子供の時の事や記憶を大切に維持する事」を表している。この価値観を今月号の麻耶ちゃんに当てはめると、麻耶ちゃんは「何時までも幼心を忘れずに子供みたく無邪気に何でも楽しめる所」が子供っぽい部分になるが、私としてはこの様な特性も麻耶ちゃんの絶対的な強みとして捉えている。とどのつまり、そこまで悲観に暮れる必要は全く無いと思う訳である。

 ここまで私が思う「大人っぽさと子供っぽさ」について叙述してきたが、もう気付いている方もいるかもしれないが、今回実は私が持つ価値観の中から、特に麻耶ちゃんの良い所がより光る様な価値観を抽出して書き出している。勿論ここで書き出した内容は全て「私が心から思っている事」なのだが、態々(わざわざ)麻耶ちゃんに合った価値観に拵(こしら)えたのは、それだけ麻耶ちゃんに対して思う事があったからである。その思う事とは、今月号の麻耶ちゃんの言動を見て「麻耶ちゃんは自分の事を少し過小評価し過ぎ(=子供っぽく捉え過ぎ)なのでは?」と言うものであり、私としても自分で自分の事を頗る(すこぶる)蔑む様な見方をしてほしくないと言う想いが存在していた。これは別に麻耶ちゃん以外に対しても等しく思っている事なのだが、麻耶ちゃんは皆の中でも自分の事になるとネガティブ思考に陥る傾向がやや強い為、それに伴い麻耶ちゃんに対しての想いも強めに表れる訳である。

 ただ、私としても麻耶ちゃんが自分の事になると悲観的になり易い傾向にあるとは思いつつも、同時に麻耶ちゃんが持ち前の好奇心と前向きな思考をもって、どんな状況でも楽しく出来る様な強みを持っている事や、麻耶ちゃん自身に自覚はあまり無いとは言え、思わず人をアッと思わせる様な大人な気遣いができる事も知っている。人間自分の事は意外と分からないものだから、麻耶ちゃんが思い悩むのも良く分かるが、私としてはそれでも「自分の良くない所ばかりではなく、良い所にもちゃんと目を向けて欲しい」と、麻耶ちゃんに対して考えており、その表れが今までの内容と言う訳である。

3.あとがき

 以上がきらま2022年2月号掲載のごちうさを読んだ私の感想・考察である。今回は全体的にチマメ隊とりわけ麻耶ちゃんにフォーカスが当たったお話になっていた印象があり、また個人的にはもう一つのテーマとして「大人っぽさと子供っぽさ」と言うものが存在していたと捉えている。その為、今月号は先月号や先々月号とはテイストが幾分異なり、所謂「何時ものごちうさらしいお話だったと考えているが、その中でもごちうさの重要要素はしっかり含まれていると認識している。

 今月号は先月号や先々月号と異なり、「一つのお話の中における時間軸と舞台は基本的に同一のもの」*8となっている為、終始同じ時間軸の中で登場人物の心境がどの様に移ろいゆくのかを観察していくのが重要になると考えており、今回の場合麻耶ちゃんの心境変化を追っていく事が該当すると感じている。再三書き出してきた様に今回は麻耶ちゃんが所謂「大人と子供」の違いについて思い悩むのがキーポイントになっていると捉えており、彼女がどの様に悩んでいるのか、彼女の子供っぽい所、大人らしい所は何かをどの様にして捉えていくのが重要だと考えている。

 そして、今月号は「悩みながらも成長する麻耶ちゃん」という観点が非常に重要だと捉えており、「子供から大人」へ成長していく年頃だからこその悩みに対して彼女がどの様に考えていき、周りはそれに対してどの様な助言を与えていて、そこから彼女は最終的に何を思うのか。それを自分なりに拵えていく事を目標として今回私は書き出してきた。それがどの様な結果になったかは分からないが、個人的にはありったけの想いを書き出してきた所存である。私とて麻耶ちゃんに対する想いは、決して他の登場人物に引けを取らない様な位にはもっていたいのである。

 最後に、今月号で魅せつけられたチマメ隊の成長具合」や、麻耶ちゃんの本人も気付いていない様な「カッコ良さ」は本当に心打たれるものであった事は改めて書いておきたい。また、今後物語の展開がさらに進めば、チマメ隊以外の年上組やブラバ組においてもさらなる成長や葛藤が見られる事も予想する事が出来るし、それもどの様に描かれるか、今から楽しみである事をもって、この感想・考察の締めとしたい。

 

おまけ

今回の文量は全て合わせてのべ400字詰め原稿用紙46枚分であり、これは現時点で過去6番目の文量の多さである。先月号よりも少しコンパクトになったが、それでも膨大な量である。

*1:それどころか、上手く心愛ちゃんを言い包める麻耶ちゃんと、言い包められている心愛ちゃんを見て若干引いている様にも見える。

*2:前述の通り、智乃ちゃんは心愛ちゃんが絡むと意味合いが変化する。

*3:規律正しく朝を迎える事が苦手な事や、普段から妹である夏明ちゃんを頼る傾向に多い事が顕著な例。

*4:尤も、彼女とて中学生時代の時からヘアスタイル自体はツインテ―ルやポニーテール等々、割と豊富だったが、学校に登校する時やラビットハウスで働いている時も含めて、基本的には髪をそのまま下ろしている事が多かった。

*5:尚、学校の「ロッカー」ではなく、音楽の「ロッカー」なのでそこは悪しからず。

*6:因みに理世ちゃんの実年齢は「18」なので、本来は大人と言われても遜色ない年齢ではあるが、精神的な意味で子供と言ったものだと思われる。

*7:因みに麻耶ちゃんが友達の名前を呼ぶ時は、たとえ自分より年上であっても呼び捨てな事がしばしばある。ある意味彼女なりの親近感の表れとも言えるが。

*8:言い方を変えれば、一つのお話の中で「過去と現在」と言った形で時間軸や舞台が変化しないこと。